2010/09/27 ツイッター小説 お気に入りセレクト

すわぞ @suwazo

#twnovel 響く最後の鐘の音。妖精の女王が呼んでいる。この世界はもうお終いだから帰っておいで。子供部屋のぬいぐるみたちは妖精の国へ帰る支度。大切なものを一つだけ持って帰っていいんだよ。大切な友達、大好きな子供たちを連れ、ぬいぐるみたちは妖精の国に帰っていくよ。さようなら。

kaili @kaili

#twnovel ほの明るいオレンジ色の光に包まれた空港通りに出て、カフェ・スパンキーに向かう。いつもの窓際の4人がけの大きなテーブルへ迷わず向かい、KOOLと単行本を取り出す。「よなよなビールを」物静かなマスターはカウンターの中へ。ページを繰り煙草に日を点ける。ここだけ静かだ。

simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 彼は布団を温めることが趣味だった。冬の夜は冷たい布団の中で高速回転し、温めた布団で恋人を喜ばせた。やがてそれは特技となった。所要時間は十秒を切る。ギネス記録は六秒だった。記録保持者はシベリアの女で、生涯のライバルが極東の島国にいることを知るのはもう少し先となる。

なうなう @naunow00

一人昭和の香りが残るこの部屋で白熱電球を灯しながら眼を閉じる。部屋の四隅には光が届いていなくて、闇も光もいっしょくたの夜。呟く言葉に返事をするのはあやしつけるような優しい雨音で瞼の裏を眺めて意識がほどけるのを待つ。いつまでも独りの夜。 #twnovel

夢名 七志 @mumei7c

待合室。「あなたが先ほどまで暖めていた椅子は立ち上がった事を持って権利放棄されたと見なし私が引き継ぎます」と告げた時には怪訝な顔をしていたのに、立ち去らないのは未練がある様子。顔を上げると目を逸らし小走りで。見込みがありそうな娘だが暖めが優先。また会うだろうさ。 #twnovel