2013年8月6日

山本七平botまとめ/「まね」る状態からの脱却/~「思想の演劇」の観客となるという態度がとれない状態にある為、逆にまるで命令されるようにそれらに拘束されている日本人~

山本七平著『存亡の条件――日本文化の伝統と変容――』/第七章 啓蒙時代の果て/自らの手で自由な思想を選択する/181頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【自らの手で自由な思想を選択する】明治以降の長い長い啓蒙主義の歴史は、ちょうど受験勉強のような形で、その啓蒙の方向にないと見られる対象、いわば試験に役立たないと思われる思想を無視し軽蔑することを人びとに教えた。<『存亡の条件』

2013-07-13 19:57:56
山本七平bot @yamamoto7hei

②この点、教育ママとは、当然に出て来た一つの帰結にすぎないのであって、少しも不思議な存在ではない。 従って、今の日本人ぐらい、自分が全然知らない思想を軽侮して無視している民族は珍しい。

2013-07-13 20:27:50
山本七平bot @yamamoto7hei

③インド的思想も、ヘブル的思想も、儒教も、すべてあるいは封建的あるいは迷信の形で、明治と戦後に徹底的に排除され、ただただ馬車馬のように、″進歩的啓蒙″の関門目がけて走りつづけたという状態を呈してきた。

2013-07-13 20:57:57
山本七平bot @yamamoto7hei

④そしてその結果、 「では、どうしろと言うのか」 という言葉しか口にできない人間になってしまったわけである。

2013-07-13 21:27:47
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤その結果、諸外国を見回って…あちらはああやっているから、ああしようといえば、すぐまねをし、また、こうしたらいいという暗示にかかれば、すぐその通りにするといった状態は、実に、つい最近まで―― 否、おそらく今もつづいている状態なのである。

2013-07-13 21:57:50
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥そのため、自分の行動の本当の規範となっている思想は何なのかということ、 いわば最も「リアル」なことが逆にわからなくなり、自分が、世界の文化圏の中のどこの位置にいて、どのような状態にあり、どのような伝統の延線上にあるかさえわからなくなってきた。

2013-07-13 22:27:49
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦従って、まずこれを、他との対比の上に再確認再把握しないと、自分が生きているその基準さえつかめない状態になってしまったのである。 そして、これがつかめない限り、人間には、前述のように進歩ということはありえない。

2013-07-13 22:58:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧ではそれをいかにしてつかむか。 それは各人が工夫する以外にない。 ただ私は、今まで記したような形で一応これをつかみ、それを自らの規範としているというだけのことである。

2013-07-13 23:27:47
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨そしてそれを一言でいえば、「ババタの書類」のような「根」がやはりわれわれにもあり、それが、確固としてわれわれを規定しているということである。 それは今更復習する必要はあるまい。

2013-07-13 23:57:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩我々は臨在感的把握で対象を捉えても、対立概念で対象を捉えていない事、 終末論的規制を歴史的未来に置いているように見えて、実はそれを臨在感的に把握する事によってむしろ現在に還元し、従って輪廻転生における死後の審判に置いているような形になって、それで現在を規制されている事等々…。

2013-07-14 00:27:39
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪またそれらは、実をいうと、われわれが過去においてすでに清算した思想のつもりでいたこと。

2013-07-14 00:57:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫だが、それらを再把握して、それを客体化して自己との対立関係に置く事によってそれから脱却するという進歩、 いわば「思想の演劇」の観客となるという態度がとれない状態にある為、逆に、まるで命令されるようにそれらに拘束されている事もその一つである。 一体これをどうすればよいのか。

2013-07-14 01:27:40
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬結局、われわれは、これらの拘束から逃れられないのか。 それは「空気」のようにわれわれをしらずしらずのうちに支配しているのか。 実はそうではないのである。 われわれはそれを、知識として再認識し、それを基本として、逆にそれから、将来へと脱却できるのである。

2013-07-14 01:57:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭その一歩は、対立概念による対象の把握であろう。 いうまでもなく私は、 「ではどうしろと言うのか」 という問いに対して 「対立概念で対象を把握しろ」 と言っているのではない。

2013-07-14 02:27:38
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮というのは、そう言えば、対立概念そのものが臨在感的に把握されて絶対化してしまうであろうから、この言葉自体がまるで 「こうすれば自由なのだ、だから、たとえ不自由でもこうしろ」 と言うのと同様の、無意味な言葉になってしまう。

2013-07-14 02:57:50
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯他の言葉についても、結局同じことなのである。 従って、もし、以上のような何らかの指示を得ようと思って本書を読まれた方々は、大変に失望されたことであろうと思う。

2013-07-14 03:27:40
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰ただ私は、失望した人は奴隷で、演劇を見るようにこれを読んだ人が自由人だと考えている。自由とはおそらく、そういった概念だからである。

2013-07-14 03:57:46

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