#往来新人 「短歌往来」今月の新人欄を読む・第八回
- hikaritoshigo
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【#往来新人 第八回】吉田恭大(@tanka_daya )・千種創一(@chigusasoichi )による批評ユニット #砂上の塔 で短歌総合誌「短歌往来」の「今月の新人」欄を取り上げていきます。今回は5月号の吉田隼人さんを取り上げます。
2013-08-18 18:16:401. 冴えかへるまふゆゆふやみまよふときアルファ・タウリはかくまで赭[あか]き /吉田隼人「遅延」(短歌往来2013年5月号) #往来新人
2013-08-18 18:16:422. 冬のこと冬に憶[おも]へば消ゆるなり結露の窓にのこせし詩はも /吉田隼人「遅延」(短歌往来2013年5月号) #往来新人
2013-08-18 18:16:453. ゆふ烏ながき射影と化するまで尖塔の上[へ]に死霊とあそぶ /吉田隼人「遅延」(短歌往来2013年5月号) #往来新人
2013-08-18 18:16:494. 櫻に火 放てよ はるのよひのうちやよひのよひをいひよどむうち /吉田隼人「遅延」(短歌往来2013年5月号) #往来新人
2013-08-18 18:16:525. こでまりの影まで開花するごとき四月、ひかりのなか遅生まれ /吉田隼人「遅延」(短歌往来2013年5月号) #往来新人
2013-08-18 18:16:55※※※
※アルファ・タウリは恒星の一つで、アルデバランと呼ばれることもある星みたいです。 ( special thanx to Wikipedia!! ) #往来新人 .
2013-08-18 18:32:034首目が顕著なんだけど、旧かなの表記の読みにくさを活かした作品だと思います。音を読んでから意味が分かるまでに色々手順が必要になる。 #往来新人
2013-08-18 18:28:314首目だったら例えば「櫻に火/放てよ 春の/宵のうち/弥生の宵を/言い淀むうち」みたいに字が当てられるのかな。宵は酔かもしれない。そういう多義性も含めて、読者に読ませる時間と負荷を、恣意的にかけようとしている。その仕掛けが先ずは面白いところかと。 #往来新人 .
2013-08-18 18:33:19庭には二羽ガッルス・ガッルス・ドメスティクスもつと僕にも敬意を払へ/吉田隼人「archaeopteryx diary」(早稲田短歌41号) #往来新人
2013-08-18 18:43:181と4あたり、韻律や表記で遊んでるのに、親父ギャグみたいな残念な感じがしないのは、1ならアルファ・タウリという耳慣れない単語に、4ならごちゃごちゃした旧字の櫻に、うまく読者の視線をずらす仕組みがあるからだろう。仕組みがわかったところでこれは誰にでもできる芸ではないけど。#往来新人
2013-08-18 18:39:59さらに、2とか5のようなキメ歌もあって、韻律や表記での遊びを前面に出してないのが連作の成功の秘訣だと思う。中島さんの最新歌集でもそういうのがあったけど、遊びがメインになったら、それは遊びじゃなくなってしまうからね。#往来新人
2013-08-18 18:44:325首目、すごいよ。上の句で明るさの程度を表す「ごとき」が使われてるんだけど、素直に「ひかり」に掛けずに一回4月を挟んでるのがいい。結句でずらすのもうまい。難しい語彙を使ってないのにこの明るい世界を構築できる力に、乾杯したい…! #往来新人
2013-08-18 18:53:222は失敗してるとは言えないけど、上の句にはぐらかされた感があるし、「のこせし詩はも」の文語に違和感がある。はも、は感動の終助詞でいいのかな。まあ、誰も文語のネイティヴスピーカーではないから違和感てのもいい加減なもんだけど。うまく評価できない。どうですか、吉田さん。#往来新人 .
2013-08-18 19:00:01「はも」は詠嘆でいいんじゃない。冬が消えて、窓に書いた詩も同時に消えていく感じ。景は分かるんだけど、僕は単純に読みにくさでひっかかりました。景に比して文体が大業過ぎる。 #往来新人 .
2013-08-18 19:09:51いつも読んでて思うけど、隼人さんは振りかぶって読者に負担かけてくる文体だよね。短歌外での知識と、修辞の蓄積が半端ない。3も夕方に影が長くなることを「長き射影と化する」と仰々しく言ってるし、アルファタウリ知らないし、でも親切じゃないとこに魅せられる人もいるのはわかる。#往来新人 .
2013-08-18 19:20:543は「死霊とあそぶ」連作の中ではちょっと浮いていると思う。「少女栽培法」とか付くような、昔の連作の感じ。 #往来新人 .
2013-08-18 19:24:29不親切さから来る魅力と言っておいて石井辰彦さんを思い出します。僕は否定はしないけど、そっちには行けないな。歌に情報や文脈を過剰積載する道は、先細りそうで怖いのです。もちろん、短歌の多様性は絶対必要ではあります。#往来新人
2013-08-18 19:35:12