めうめうのお話まとめ
「そ、そうかなあ……えへへ」 「胸を張って良いと思うよ。誰にでも出来ることじゃあないしさ。ボクもそんな事が出来てたらなって今でも思うし」 こんな凄い子が身近に居たんだなって思いつつ これからも彼女には頑張って欲しいなって思った 素直にそう思って出た言葉がそれだった
2013-08-11 09:04:42「駄目めう!」 とかなんとかいきなり怒られた 「え?え?」 「めうが憧れた人に不可能はないめう!」 いや、そりゃあムチャがあるんじゃ 「だってめうが憧れた人はめうに音ゲー上手くなりたいって思わせた人めう!その人に出来ないことなんてないめう!」 いや……その……
2013-08-11 09:07:37「あのー……めうちゃん?」 「諦めんなよ……諦めんなめう!」 なんかどこぞのクッソ熱いテニサーのようなノリを感じつつもめうちゃんは一点だけは頑なに変えなかった 「めうの憧れの人はそんな弱虫じゃないめう!諦めなんて知らないはずめう!」 ……うん それを言われると正直刺さる
2013-08-11 09:09:55だがそう言われてふと思ったことがあった そういえば自分にも目標としてた人が居たなと その人はとっくの昔に引退しちゃったけど、ある日突然引退宣言をしてそのままどこかへ消えてしまった 事情が変わったとは言え、今ではボクの方が当時のその人よりも上手い……部分もあるかも知れない
2013-08-11 09:12:55そういえばその人が引退した時も 『自分の中ではこの人を超える人は現れないだろうな』ってずっと思ってたっけ 今の彼女が丁度あの頃のボクにあたるのかも知れない そう考えると……めうちゃんが必死になるのも致し方ないことなのか 「わかったわかった……じゃあこうしよう」
2013-08-11 09:15:17「Pluto Relinquishって曲知ってる?」 「知ってるめう!DDRの曲めう!」 通称・プリン DDRじゃ定番化してたNAOKI原曲からの2MBアレンジのDDR SN2初出の曲だ 初登場時は一歩目で誰もが没落したという大変な曲だった そのアーティストコメントがまた面白い
2013-08-11 09:18:09「絶対的な闇は、ただ広がる星空を見ながら静かに佇んでいる。人の記憶からなくなっても、ずっとそこで佇んでいる。輪の外の話。」 というアーティストコメントである 当時はなんのこっちゃと思ったが今にしてみればこういう解釈でもって取れるのではないかと思っている
2013-08-11 09:19:41「時代が変わっても、新しい世代が始まっても、この曲だけはずっとある一つの基準のままでいよう」 拙いながらもそれがボクなりに出したあの曲への答えだった ボクもあの曲は頑張ってクリアしたけどそこから先は全く歯が立たなかった けど今でも紫芋プリンクリアってことは一つの思い出になってる
2013-08-11 09:23:43必死にやり込んで最高レベルを踏破した喜びがあった それを見知らぬ誰かが見ていた その人がいつか音ゲーを始めて“元”最高レベルを軽々とクリアしていた きっとその連鎖がいつまでも続くんじゃないかと ボクはある時からPluto Relinquishのような存在になりたいと思っていた
2013-08-11 09:25:24ああきっとボクはそんな存在で良いんじゃないかなと そこまで話し終った頃 めうちゃんはそれこそなんのこっちゃという顔で首をかしげていた いや良いんだ 今は彼女も一番前を走ってる頃だろうから 「良くわからないけど……なんだかやっぱりすごいめう!」 この通りである
2013-08-11 09:27:22さて、気付けばもう19時を回っていた 流石にそろそろ彼女を送って帰らないといけないな 「そろそろ送るよ。お父さんやお母さんも心配しちゃうでしょう」 「めう!お腹空いたー!」 そういうことでボクはえも言えぬ満足感を抱えながらすっかり日の落ちた田舎道でクルマを走らせ始めた
2013-08-11 09:29:38めうちゃんの住んでるところはボクの家からはそう遠くない場所だった まあチャスコが遊び場だと言えばそうなるだろう 「今日はありがとめう!また今度ゲーセン来るめう?」 「ああ、うん。またヒマになったら行くよ」 「えへへ……♪今度はめうと一緒に音ゲーするめう!」
2013-08-11 09:31:59笑顔で手を振って見送ってくれためうちゃんにこちらもそっとはにかんで手を振って応える クルマを走らせはじめてからもバックミラーに映るめうちゃんはおおきなこえで叫んでいた 「また来てねー!約束めうー!!約束めうー!!」 バックミラーからその姿が消えるまで彼女はずっと手を振っていた
2013-08-11 09:35:13翌日 珍しく2日連続でのゲーセンとなってしまった めうちゃんにああ言われたからってのもあるけど やっぱり自分は音ゲーをしてるのが一番好きなのかも知れないと思ったからだ 「こんにちはめう!」 この日も変わらずめうちゃんは平然ととんでもなスコアを叩きだしていた 「こんにちは」
2013-08-11 09:39:49とりあえずいつも通りの流れでIIDXにコインを入れると隣のサイドに現れる一人の影 「一緒にやるめう!」 とかなんとか言いながらPASSをリーダーにタッチしたのはめうちゃんだった 「え?ああそういえば一緒にやろうとか言ってたっけね」 「その通りめう!さあさ早くやるめう!」
2013-08-11 13:52:07その流れから始まってその日はどういうわけか夕方の退出時間まで延々と音ゲーをやり続けていた ぶっちゃけた話めうちゃんはほぼほぼ全ての機種でボクを遥かに上回るレベルでとにかくピカピカしまくってた印象しかない 「今日もいっぱい遊んだめうー!」 「てかよくそんな遊ぶ軍資金あるね……」
2013-08-11 13:53:55「それは企業秘密めう」 「さいですか」 と、またこの日も昨日と同じ流れでボクのクルマでめうちゃんを家の近くまで送るミッションが始まっていた 一応めうちゃんの希望で少しばかり遠回りしながらゆっくり帰りたいとのことでこの日もクルマの中で談笑しながら帰路を楽しんでいた
2013-08-11 13:56:00そういえば気になってたことが一個だけあった 「めうちゃんのそのヘッドホンの『兎』って字は何で反転してるの?」 いつも頭か首のあたりにかけているヘッドホンのハウジングは何故か兎と言う字が左右反転したデザインなのだ 「ぶー鈍いめう!これハンコめう!」 え?ハンコ?
2013-08-11 13:58:51「なんでまたハンコなデザインなの」 「めうのおうちハンコ屋さんだめう!」 あーなるほど 通りで左右反転してるわけだ 「で、めうちゃんはハンコ好きなんだ」 「ハンコだーいすき!」 いまどき珍しいなこういう子って 稀代の天才音ゲーマーかと思いきやこういう意外な面もあるとは
2013-08-11 14:01:16「あとちくパも大好き!」 「え?なにそれは」 「ちくわパフェめう!」 珍しいとか破天荒とか前衛的とかそういう問題じゃない 何をどうしたらスイーツに練り物を取り込もうと思うのか 「で、それおいしいの?」 「今度一緒に食べるめう!」 「あ、ああ……一緒にね」 地雷踏んだ感がある
2013-08-11 14:04:25他愛のない話に花を咲かせている間にめうちゃんの家の近くまで着いてしまった ほんの1時間足らずのドライブだったけど何だかんだで楽しく過ごせたのだろう 「さてと、それじゃあここらへんで良いかな?」 クルマを脇に停めてめうちゃんにそう言ったときだった 「えと……その……」
2013-08-11 14:10:23何やらめうちゃんの様子がおかしい さっきからそうだが何故かそわそわしてる 「どしたの?具合でも悪いの?」 少しばかり心配になったので問いかけた その結果思わぬ事態になったのである 「こ、今夜は帰りたくないめう……なんちゃって」 は?
2013-08-11 14:11:42いやいやいやいやさすがに出会って2日目のJCとそれはマズいでしょう と言う思考が最初に働いたボクはきっとKENZENである 「えーと……めうちゃん?それはどういうこと?」 一応ここは大人の態度を見せねばと尋ねると 「今夜おうちに誰も居ないからごはんが食べられないめう……」
2013-08-11 14:14:17なんだそういうことか…… 「あーびっくりした……」 「え?何がめう?」 「いや、なんでもない……こっちの話」 「????」 めうちゃんは何のこっちゃと首をかしげるが同時にお腹の虫がぐぅと鳴りだす 「しょうがない……晩御飯食べに行こうか」 「めう!」 このままUターンである
2013-08-11 14:15:59「はー……疲れた」 めうちゃんと一緒に夕飯を食べた帰り道 既に夜10時を回り助手席で熟睡するめうちゃんが起きないように出来る限りゆっくりとクルマを走らせている そういえばこのクルマを買ってから初めてこんなのんびりした運転をしているなあと 意外と難しい 「めうちゃん、着いたよ」
2013-08-11 14:26:23