茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1013回「ニュースは、こうでなきゃ」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１０１３回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、さっき、走ってたら公園ににゃんこがいて、その頃考えていたこと。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（１）今朝、英語のツイッターアカウント（@kenmogi）の方のＴＬを見ていたら、ブラドリー・マニング氏が獄中で性転換のための女性ホルモン注射を受けて、今後は「チェルシー」という女性として生きていきたい、というニュースが出ていた。米国版「虚構新聞」のONIONかと思った。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（２）しかし、よく読んだら本当らしい。ロイターも、ＢＢＣも、皆、同趣旨の報道をしている。それで、ぼくは、へえ〜と思ってしまった。世の中って、面白いなあ、というか、マニング氏が女性になりたいなんて、完璧すぎる展開だな〜。そう気づいて、氏の写真を思い出すと、確かにそれっぽい。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（３）先日、某私立の「偏差値一番高い」政経を出たばかりの男性学生と喋っていたら、ブラドリー・マニング氏も、エドワード・スノーデン氏も、それどころかジュリアン・アサンジ氏も知らなかった。「授業で教授が、雑談でもいいからそういう話しなかったか？」と聞いても、ぼんやりしている。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（４）どうも、日本の国内ニュースと世界のニュースは温度差があるようである。世界的に見れば、マニング氏のニュースは大事件だ。米軍の不法な民間人殺害などの情報を、アサンジ氏が始めたウィキリークスに提供した。その結果、米政府は、根拠法令がはっきりしないままマニング氏を拘束し続けた。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（５）法的裏付けがはっきりしないまま人を拘束するのは、中国の専売特許ではない。民主主義と自由の守護者であるはずの米国も同じことをやる。キューバにあるグァンタナモ米軍基地に、テロ容疑者などの名目で、多数の長期拘束者がいることは、周知の事実。多くの議論を呼んでいる。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（６）米国の国家安全保障局（ＮＳＡ）による民間人の情報の不法収集をリークして米政府に追われ、今はロシアにいるエドワード・スノーデン氏を含め、これらの事件が興味深いのは、民主的に構成されている国家という「リヴァイアサン」の暗部をさらけ出しているからである。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（７）国家という「リヴァイアサン」は、今後も消えはしない。むしろ、今の動きは、国家という「リヴァイアサン」が進化して次のステージに行くために必要なインプットであろう。そして、人類の文明がどのように進むか、という視点からも、マニング／スノーデン／アサンジ氏から目が離せない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（８）米国の軍事法廷から３５年の判決を受けたばかりのマニング氏が（この判決に対しては烈しい批判が）、獄中でホルモン注射を受けたい、女性になりたい、「チェルシー」と呼ばれたい、と表明したことは、世界的な注目ニュースのあまりにも見事な展開。ニュースは、こうでなくきゃ。

茂木健一郎 @kenichiromogi

にこ（９）翻って、国家権力に対してでなく、市井で暮らす一般の外国籍の人たちに対して、「ヘイトスピーチ」をするというのはあまりにもトリヴィアルに間違っていて、ニュースの方向性が全然違う。マニング氏は世界の未来を考えさせる。ニュースらしいニュースが日本から出るのはいつのことか。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第１０１３回「ニュースは、こうでなきゃ」でした。