#今日の神通さん

CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

提督はゆっくりと布団から身体を起こした。――今は何時だ？ 枕元に置いた懐中時計の針は6時前を指している。「あ……おはようございます、提督」「おはよう、神通。気分は大丈夫か？」「えっと、その……」神通は恥ずかしそうに布団をかぶった。「まだ、ちょっと変な感じです」 #今日の神通さん

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彼女は昨晩初めて娘から女になったばかりだ。「すまない、辛かっただろう。私もあまり慣れていなくてね……」「いいんです、提督をあんなに感じられて私は幸せです」布団の中から手を伸ばし、神通は提督の左手を抱きしめた。生まれたままの肌が擦れ合う。 #今日の神通さん

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「しばらく、こうしていてもいいですか？」「あぁ、構わないよ」空いている方の手で提督に髪をなでられ、神通は少しくすぐったそうに目を細めた。「提督……」「うん？」髪を弄っていた提督の手が止まる。「私、今とっても幸せです」「私もだよ」二人で笑い合う。

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「神通」「はい」「服を着てくれないか。ちょっと我慢できる自信がない……それとコーヒーが飲みたい」「もう、提督……」苦笑しながら神通は脱ぎ散らかしたままの服のシワを伸ばして袖を通し始めた。「あの、提督……」「あぁぁ！ すまない！」慌てて提督は神通に背中を向けた。 #今日の神通さん

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「コーヒー、淹れてきますね」服を着終わった神通はゆっくり立ち上がり、よろめいた。「神通！」「大丈夫です、少し腰が変な感じで」腰、というよりも下腹部をさすりながら神通は強がってみせた。「気をつけて任務を遂行してくれ」「はい、10分ほどで戻りますね」 #今日の神通さん

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「おはようございます！ 青葉です！ 神通さん、今のお気持ちをお聞かせ下さい！」「え、えぇ！？ 青葉さん！？」扉を開けた廊下で神通を待ち伏せしていたのは青葉だった。すでに両手には筆記用具が準備されている。「ご、ごめんなさいっ！」「ちょっと！ 逃げないでください！」 #今日の神通さん

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「夜戦はどうだったんですか？ 神通さん！ 戦果は！？ 提督の魚雷はどうでした！？」目をキラキラさせながら追いかける青葉。逃げる神通。「来ないでって言ってるのに！」炊事場に逃げ込んで扉に閂をかけると神通は呼吸を落ち着けた。「あら神通さん、おはよう」「祥鳳さん……」 #今日の神通さん

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「……そう、それは痛かったでしょうね」「でも、私は今とても幸せです」湯が沸くまで祥鳳は神通の話を静かに聞いてくれた。嬉しかったこと、痛かったこと、提督のかけてくれた言葉。思い出すごとに神通の胸は熱くなった。「お湯が沸いたよ。早く持っていってあげなさい」「はい！」 #今日の神通さん

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「姉さん、おはよう」「おはよう神通」今度神通を待ち受けていたのは姉の川内だった。「で、どうだったの？ 提督とのや・せ・ん。少しくらい教えてくれてもいいんじゃない？」「誰にも言わないでね？ 姉さん」「わかった、で？」「うん、実は……」川内は妹のそばに耳を寄せた。 #今日の神通さん

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「ほっほーう、やるじゃない」「うぅ、恥ずかしい……」顔を赤らめる神通。「じゃあ、とっておきを教えてあげる。耳貸して」川内が耳打ちする『夜戦の極意』の一文ごとに神通の顔が更に熱くなった。「えっ、それは……うそ、嘘でしょ姉さん。私、そんなことできない」 #今日の神通さん

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「提督だって男なんだから。大丈夫。神通ならできるよ。頑張って！」ぽん、と妹の背中を押して提督の部屋の前で川内は神通と別れた。「失礼します」「おかえり、神通」提督はすでにいつもの軍服姿に戻っていた。「コーヒーを、お持ちしました」「ありがとう」 #今日の神通さん

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提督はコーヒーの香りをひと通り楽しんでからカップに口をつけた。「うん、美味いな」「恐縮です」神通の表情がほころぶ。「やはり朝は神通の愛が詰まったコーヒーを飲まんとダメだな！」大げさに伸びをする提督。「もう、提督……」「さて、今日も頑張ろうか」「はい、提督！」 #今日の神通さん

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「……酷いものだな」沖ノ島海域の強行偵察から戻ってきた神通の報告書に目を通し終わった提督はため息をつきながらそれを机の上に放り投げた。「すみません、私がいながら……」神通は肩をすくめた。他の艦が次々に被弾する中、彼女だけが一発も被弾すること無く戻ってきた。 #今日の神通さん

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「出撃命令を下したのは私だ。そう気に病むな。それに何より――」提督は椅子から立ち上がり、神通を抱きしめた。「君が戻ってきてくれて嬉しい」「だめですよ、提督……まだお昼です」口ではそう言いつつも、神通は提督の手を振りほどこうとはしなかった。 #今日の神通さん

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「こうしていると落ち着くんだ」「提督、あの、今日はなにか変ですよ？」提督を軽く押し返して神通は尋ねた。「やはり、わかるか」「はい。今朝私を送り出すときも何度も装備を点検するようおっしゃっていました」提督は大きく息を吐いて彼女から離れ、執務机に軽く腰掛けた。 #今日の神通さん

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「本当のことを言おう」神通は小さく頷いた。「君が沈んでしまう夢を見た」「えっ」神通は自分の耳を疑った。「だから今日の朝、君がいつものように居てくれて本当に安心した」 「提督……それで応急修理班を私に？」「そうだ。出撃命令を出すときもずっと足が震えていた」 #今日の神通さん

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「大丈夫ですよ、提督。私はずっとあなたのお側にいます。今までも、これからも」こんどは神通のほうから提督に抱きいた。「神通……」提督が神通を抱き寄せようとした時、廊下から物音がした。「誰だっ！？」「青葉、見ちゃいました！ これは大スクープですね！」 #今日の神通さん

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翌日、鎮守府の掲示板には『白昼の執務室、秘書艦と提督の"極秘作戦"』と題されたガリ版刷りの怪文書が神通と睦み合う提督の写真とともに貼られ、神通が一日中部屋に引きこもった結果日常業務が完全に止まったとかなんとか。 #今日の神通さん

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川内姉妹が川の字になって寝てるところを跨ごうとして神通ちゃんに布団に引きずり込まれる提督。「油断しましたね、提督」夜戦モードの神通さん。「なに、夜戦？」川内も目を覚ましおもむろに服を脱ぎ始める。「センターは那珂ちゃんですよね！？」枕営業を仕掛ける那珂！ 提督の運命やいかに！？

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さて、いくか。昨日もらったお題 #今日の神通さん

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「キャー！」ラバウル基地、食堂。夕食後の穏やかなひとときを絶叫が引き裂いだ。「様子を見てくる」提督の向かいで茶を飲んでいた天龍が刀を握って立ち上がった。「何事でしょうか？」神通も不安そうに提督の手を握る。「ここには戦艦が四隻もいるんだ。大丈夫だよ」

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「嫌あああああああああああ！」様子を見に行っていた天龍は血相を変えて戻ってきた。「ご、ゴキ……あぁ、あんなに大きい……お、オレは無理だ！」頭を抱えてうずくまる天龍。パニックはすぐに食堂中に広がった「イヤー！ お姉さま助けて！」山城が扶桑にしがみつき、はずみで扶桑が皿を取り落とす。

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皿の割れる音で何隻かの駆逐艦が驚いて泣き出し、さらに混乱が広がる。「榛名、いざ出撃します！」提督の隣に座っていた榛名が立ち上がり、35.6センチ砲を動かして動作を確認する。「気をつけてね、榛名さん」神通が心配そうに榛名を見送る。「まさか戦艦にゴキブリ退治をさせることになるとはね」

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「提督、私ちょっと他の子達の様子を見てきます」「あぁ、気をつけて」神通は提督にひと声かけて食堂から出て行った。「いやーーーーーーーーーっ！」ばたばたと大きな足音を立てながら榛名は提督のところへ戻ってきた。「あ、あいつ、飛んで、わたしの、目の前に！」提督の背中に隠れて泣き出す榛名。

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「くっ、来たか……」龍田に追われ、巨大な『黒くて素早いアイツ』が提督の方へ逃げてきた。「ふぇ……提督……」「は、榛名……当たってるぞ」榛名の柔らかな胸と35.6cm連装砲が提督の背中にあたっている。「お待たせしました、提督」食堂のドアが大きな音を立てて開き、神通が姿を表した。