灰色のガンダルフの読心術と、英語と日本語、音韻と形式の話

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にるば @nirvanaheim

あ、ガンダルフって記憶探査が使えたんですね。流石魔法使い。フロドが「記憶ですって!」とか騒げば初回にも印象に残ったんだろうけど、もちろんそんなことはなし。久しぶりに(まともな意味で)読み返すと色々な発見がありますね。

2010-09-17 23:59:44
にるば @nirvanaheim

(家に何故か、旅の仲間下が欠けた旧文庫版と、大版の新版追輔編しかなかったので、新文庫旅の仲間下二冊を買ってきた)

2010-09-18 00:00:23
--- @vanaheimr

(↑電車内 ↓帰宅後)

2010-10-02 17:31:57
にるば @nirvanaheim

携帯から言及した箇所(新版文庫『旅の仲間』下1、p11):「フロド、あんたは眠りながら長いことしゃべっておった。」と、ガンダルフは優しくいいました。「それにあんたの気持ちや記憶を読み取るぐらい、前からわしにはぞうさないことじゃった。 ┉」

2010-09-18 03:50:30
にるば @nirvanaheim

対応する原文:'You have talked long in your sleep, Frodo,' said Gandalf gently, 'and it has not been hard for me to read your mind and memory. ...'

2010-09-18 03:51:02
にるば @nirvanaheim

瀬田訳からは、ガンダルフが割と普段から読心術や精神探査系の術を使っていた(笑)ように読めるが、原文を読むとそうでもない。地の挿入句の前後で、訳文だと意味的な分離がはっきりとできてしまっているが、原文ではあくまでもただの挿入句であって、連続している。

2010-09-18 03:54:07
にるば @nirvanaheim

だから、mindやmemoryをreadしたのは、あくまでも寝ていた間の話とも読めるし、さらに言えば、あくまでも寝言で言っていたことから洞察した、というだけに読めなくもない。まあ、後者については実に「読めなくもない」程度だけど……

2010-09-18 03:59:05
にるば @nirvanaheim

コンマが句点に——少なくとも今比べているバージョン間では——なっていることと、台詞出だしで一回切って「〜は言いました」の類いを挿入する英語ではよくあるが、日本語では一般的でない文体を、構造そのままに置き換えることによって意味範囲に結構なズレが出ているんだな。

2010-09-18 04:01:08
にるば @nirvanaheim

●"it has not been hard for me to read your mind and memory" - Google 検索 約 3,450 件 (0.05 秒) http://j.mp/9BNtjf /そこそこ出た。ツッコミ入れてる日本の方も一人いますね。

2010-09-18 04:07:14
にるば @nirvanaheim

●"あんたの気持ちや記憶を読み取るぐらい" - Google 検索 3 件 (0.19 秒) http://j.mp/90VfqJ /さっきの人と、2chで検討してる人、あと腐の人(この人は特に読心術が云々は言っていない)と……

2010-09-18 04:11:44
--- @vanaheimr

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2010-03-11 01:25:49
にるば @nirvanaheim

昨晩の指輪原文の話を想起し、昔言及したドゥリンの歌を思い出し、見返してみたら脚韻詩。考えてもみれば、物語り詩で口語日本語を使って、節/文単位で脚韻を踏むのって難しそう。節の末尾が同じとかかえって恥ずかしいし、体言止めを多用したりしたら日常言語的には目も当てられないときている。

2010-09-18 14:26:43
--- @vanaheimr

(* 脚韻というのは、文や節の末尾で韻を踏む形式のこと。ピンと来ない人は下に引用したのを口で詠んでみてください。歌うようにね)

2010-10-02 17:38:05
にるば @nirvanaheim

The light of sun and star and moon§In shining lamps of crystal hewn§Undimmed by cloud or shade of night§There shone for ever fair and bright

2010-09-18 14:33:29
--- @vanaheimr

(* §マークは、そこで改行が入ってるということ。もっと余裕のある表記をしたかったんだけど、字数がギリギリなので……)

2010-10-02 17:34:48
にるば @nirvanaheim

瀬田訳:「日の光、また星明り、月明り §水晶を切りなしたランプにともり §雲にくもらず、世の闇にかげらず §美しく明るく、たえず輝いていた」 /瀬田先生流石に超頑張ってる。それはそれとして、最後の「輝いていた」が口語日本語の限界ですね。

2010-09-18 14:40:02
ブート @bootdale

@nirvanaheim そこまで揃えたなら、「雲にくもらず、世の闇にかげらず §美しく明るく、輝きは絶えず」とすればラストも揃う気がするけど…。意図的に揃えなかったのかどうか。

2010-09-18 15:29:13
にるば @nirvanaheim

あくまでも叙事詩の一部分で、失われる定めの栄光を歌ったものだからね。今はもう完了した過去を顕してないと。 ≫@bootdale:そこまで揃えたなら、「雲にくもらず、世の闇にかげらず §美しく明るく、輝きは絶えず」とすればラストも揃う気がするけど…。意図的に揃えなかったのかどうか。

2010-09-18 15:54:03
ブート @bootdale

@nirvanaheim ふむ。前後の脈絡を憶えてないから何とも言えないが、瀬田先生がそう考えたという理屈は説得力がある。

2010-09-18 16:04:47
ブート @bootdale

日本語の押韻の最前線であるヒップホップが参考になると思います。RT @nirvanaheim 物語り詩で口語日本語を使って、節/文単位で脚韻を踏むのって難しそう。節の末尾が同じとかかえって恥ずかしいし、体言止めを多用したりしたら日常言語的には目も当てられないときている。

2010-09-18 15:55:17
ブート @bootdale

まさしく、体言止めを多用して日常言語的には目も当てられない状況なのが、日本語ヒップホップのリリック。「ダサいダジャレじゃん」みたいな視線に耐えながら、日本語表現の最前線で茨の道を切り開く人達を応援しています。

2010-09-18 15:56:28
にるば @nirvanaheim

@bootdale うん、だから、あくまでは「日常言語としては」。川柳とかヒップホップ等も脳裏に浮かべつつ、体言止めによる脚韻の繰り返しは基本的にネタとしてしか使えないんだろうなあとか考えてました。

2010-09-18 16:05:17