2010/10/02 ツイッター小説 お気に入りセレクト

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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そうかへんか @sokahenka

夜の駐車場バタンと助手席に乗り込む。「一時間もないけどどうしたい?」「とりあえず会えて顔見れたからうれしい」「うん。じゃもう帰る?」「近くに古本屋が出来たから見に行きたい」「了解」「あとドサクサにまぎれてキスしたい」「ドサクサどこにあるかな?」「ないの?」ちゅ。 #twnovel

2010-10-02 00:59:17
ひなたま @hinata_ma01

#twnovel 「最近、若者の凶悪犯罪が多いらしいな」「ですねえ。僕の90年代はキレる若者がいただけです」「俺の80年代は校内暴力が吹き荒れたくらいだな」「私の70年代は平和よ。火炎瓶を投げる子もいたけど」「我が60年代は少年の凶悪犯が今の数倍いたが、昔は優しい子ばかりだった」

2010-10-02 01:27:52
西直 @nisinao

毎日のようにその前を通るので、車を駐車場に誘導する人と顔見知りになった。ゆえによく「しばらくお待ちください」等の言葉を省略される。損をしたような気分にもなるが、今更改められても戸惑うだけか。車が駐車場の中に入り、警備員のような人が無言で促し、私も無言で歩き出す。 #twnovel

2010-10-02 01:29:43
@xxraguelxx

「21年前の今日、ママは人生最高の日を迎えたんだよ。パパにとっては人生最悪の日だったけど」わざとらしく声を潜める父に、母が呆れながら言った。「なんだ、パパも同じこと思ってたんだ」 結婚21年目。私の両親はまだまだ仲が良いようだ。 #twnovel 実話。少し書き直しーた

2010-10-02 01:40:47
そら(創作の愚痴を零したり、日常の話中心) @iotu

#twnovel 金の砂漠の波打ち際を青の王子がラクダに乗って散歩をしていたら、波打ち際に銀の器がゆらゆらと漂っていました。王子が拾い上げると銀の器はたちまち鋼の色に変わりました。これも何かの縁だろうと王子はラクダに乗って金の砂漠をゆらゆらと散歩を続けるのでした。鋼の器と一緒に。

2010-10-02 04:00:14
鷲獅子さんうー @wasisisi

「カシカシカシ」ペンをもったねずみはひたすら書く。「カシカシカシ...」ボクはたずねた。「どうして、そんなにがんばって書いてるの?」ねずみは書きながら答えた。「ねずみの一生はみじかいのデス、だから、がんばって生きていたあかしをのこすのデス」「カシカシカシ...」 #twnovel

2010-10-02 06:02:39
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 村はずれの爺は一本の縄を編み続けている。ぼくらが生まれるよりもずっと前からだと大人たちは言う。縄の小山を背に「十万キロメートルだ」と爺は答えた。ぼくらは笑う。爺は空を見上げながらぶつぶつと何かをつぶやき始める。「上空三万五千キロメートルの静止軌道上から……」

2010-10-02 06:54:24
@K_Ichida

#twnovel 戦場に出前専門の中華料理屋がオープンした。店主が戦士に配布したメニューには、ひとこと注意が書いてあった。「肉料理以外の料理に、肉が入っていたらご注意ください」

2010-10-02 09:00:26
@K_Ichida

#twnovel 人生をかけた長い旅。全ての願いをかなえてくれる魔法使いを探して男は世界中をさまよった。苦しい旅だが、希望に満ちており、さまざまな人との出会いもあった。やがて男は魔法使いを見つけた。「なにが望みだ?」「私の記憶を消してくれ。もう一度最初から旅をはじめたい」

2010-10-02 09:45:08
みやの はるか @papico4519

#twnovel 土砂降りの中でてるてる坊主が微笑みながら揺れている。陸は窓に張りついて動かない。「残念だったねぇ、おいも掘り」見かねた母が声をかけたが、返事はない。母は困ったように笑い、「雨が降るのは、おいもさんにはいいことじゃないかな」陸は心の中で雨とてるてる坊主に謝った。

2010-10-02 11:47:46
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。深夜の路地裏を歩いていると、身長10センチほどの小人の美少女が、古いビルの蔭に隠れるように走り去るのを目撃した。そのビルの地下へ通じる小さな孔を覗いて見ると、そこにはミニチュアサイズの東京の街がパノラマのように広がっているのであった。 #twnovel

2010-10-02 11:51:51
layback @laybacks

好きな人ができたの。とつぜん彼女にそう言われ、ぼくの胸の中のハートは粉々に砕け散った。それ以来思い出の欠片はしこりとなってぼくの身体に残り続けている。もう半年も経つというのにまだ痛みは消えなかった。見かねた友人に勧められ、ぼくは病院に行ってみた。「尿路結石です」 #twnovel

2010-10-02 13:31:12
yosirabi @yosirabi

#twnovel 休憩時間に生活費の話になって、我が家の水光熱費がやたら多くかかっていることに気がついた。変だなあ、どうしてと考えたけど、どうしても原因がわからない。ある映画を見て閃き、急いで帰宅した。畳を上げて床板を剥がすと、そこには小人の町が広がっていた。

2010-10-02 13:37:06
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel マクドナルドにて。「ネットを通じて世界にアクセスでき電気も無料。そこそこ味わえるコーヒーは120円で何杯でも飲める。食事も安価だ。何時間でもいられる。素晴らしいと思わないかい?」「毎回私が目の前でふてくされてなかったら素晴らしいでしょうね」彼女が怒って席を立つ。

2010-10-02 14:46:54
rime @prhymethyme

虫の音を句に。銀色の月の光を歌に詠んで。それからほら、随分と高いクレーンが重そうなコンテナを持ち上げそろそろと運んでいく。あの情景は短いノベルにできるかもね。でもそんなこと隣にお前が居ればお前に言えば済むことなんだ。月が綺麗だね月が綺麗だね月が綺麗だねと何度でも #twnovel

2010-10-02 15:01:06
(。・ω・。) @AWACS004

男は自らを橋渡りだと名乗った。町から町へと旅しては、次々と橋を渡り続けているのだと。何故そんなことをするのかと聞けば、「向こう側」へ行きたいからだと答えた。彼は「あちら」へ行けたのだろうか。遠い夏の日に彼を見送った「こちら」から、私は今日も橋を眺める。 #twnovel

2010-10-02 15:26:23
140字物語 @shortshortshot

ぼくのパパはけいさつかんです。じけんのときはよるでもでかけます。このまえはあきすをげんこうはんでつかまえました。すんでる人にかんしゃされたとよろこんでいました。ぼくはそんなパパが大すきです。あとはパパのるすのときにくるとなりのおじさんをどうにかしてほしいです。 #twnovel

2010-10-02 15:53:59
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は首筋の美しい和服美人だった。その美味しそうな首に、吸血鬼のようにかぶりつこうとした時、首はにょろにょろと伸びはじめて、瞬く間に人間豹をがんじがらめにしてしまった。 #twnovel

2010-10-02 18:16:39
roardel @roardel

初恋の男の子と再会した。動物園の入口で。ずっと物陰から見つめてただけの広瀬君。「よっ…あ…!」私の隣の今彼を見上げて、広瀬君は絶句。ギョッとした彼の表情を見て、わかっちゃった。中学の時の私は片思いじゃなかったってことを。 #twnovel

2010-10-02 18:56:56
新矢 晋 @sin_niya

両手いっぱいのどんぐりと、りすの尻尾とを交換した。尻尾のなくなったりすは気にした素振りもなくどんぐりを持ち帰り、ぼくはりすの尻尾を持って途方に暮れる。その夜はふかふかしたなにかに包まれて眠る夢を見た。 #twnovel

2010-10-02 19:19:30
すわぞ @suwazo

#twnovel ある日、森で熊と少女に出会った。大きく開かれた熊の口に、少女は何か小さな粒を投げ込んでいた。「花の種よ」と少女。促されて熊の口を覗く。真っ暗闇に幾万の瞬く光が見えた。宇宙だ。「できるだけ遠くに蒔くの」花の種は白い蝶に姿を変え、遥かな星々を目指して飛んでゆく。

2010-10-02 20:14:50
҉A҉ a.k.a ҉A҉ @4x1h170fh41vlvl

湯に浮かぶ透き通る様に白く美しい姿に目を奪われる。そしてそれが私の理性を壊すのに時間はかからなかった。荒々しく口に含むと、少し淡泊だが確かなそのものの味が広がる。後はもう本能の赴くままに、だ。一時後、満足しベッドに横になった。寒い夜に湯豆腐は何よりのごちそうだ。 #twnovel

2010-10-02 21:14:43
西直 @nisinao

テーブルの上に彼女からの書き置きがあった。海に帰ります。もう会えないんだなと思っていたら、次の日の夜に戻ってきた。「海に帰ったんじゃ」「里帰りです」「そうなんだ」「脱皮の時期で」彼女は僕の前でぺたんと座った。「ねえ、脱皮したてだから、私いつもよりやわらかいよ」 #twnovel

2010-10-02 21:44:46
Shimada Yuichi @chimada

「男というのはね、自分の愛用している道具の中に『女』を見出すものなんだ」「道具の中に」「例えば、車の中に。例えば楽器の中に。彼らが大切にしているものを見れば、女の扱いだってわかる」「あなたは何を大切にしているの」「君のことだよ」「私は道具じゃない」「失礼」 #twnovel

2010-10-02 22:17:06
Uotsuki @Uotsuki

買い物の途中、ふと、いつか遠い秋の日に、何かの屍体を、確かに私が埋めたことのあることを、思い出していた。多分それは、彼岸花の咲く、堤防の土手であった筈で。私はけれど、それが何処にあったのか、ちっとも思い出せず、その日の買い物は、忘れ物ばかりで捗らなかった。 #twnovel

2010-10-02 23:50:38