2010/09/29 ツイッター小説 お気に入りセレクト

らし @rashi_catwillow

#twnovel きみはばらばらになった。分割されたきみは土に混ざり水に溶け、時を経て今あらゆる生き物の内側にいる。きみは元のきみに戻りたい。だが恋をして、求めあっても、最初のきみには全然足りない。もっと、もっとと無数のきみが寂しがってうろうろしている。ひとりぼっちに戻りたくて。

山本アヒコ @lostoman

ドは「どこまでも一緒だよね」レは「連絡してね」ミは「見てるからね」ファは「ファーストキスは私とよね？」ソは「その人誰なの！」ラは「ライクじゃなくてラブでしょっ！」シは「死んでやる！ あなたを殺して私も死んでやる！」ドは「どうしてなの……」 #twnovel

そら（創作の愚痴を零したり、日常の話中心） @iotu

#twnovel 「どうしたの？」と五葉のクローバーは隣でしくしく泣いている三葉のクローバーに話しかけました。「わたしも幸せな言葉を届けたいの」と三葉のクローバーは答えました。「じゃあ、ぼくの葉っぱを一枚あげるよ。これで君も四葉のクローバーだ」と五葉のクローバーが言いました。

山本アヒコ @lostoman

不眠症を気取った自意識過剰な少年は、目に隈を作りながら登校する。うつむいて、背中を丸めて。世界に不満を募らせて。自分に失望を繰り返して。「オハヨウ」「オハヨウ」と自分を通過していく挨拶をイヤホンで遮断して歩く。ああ、今日も校門が断頭台に見える。 #twnovel

@kyokuhi2

#twnovel 「これ面白いよ」彼女が古本を貸してくれた。冒頭を読んでみると、なるほど確かに面白い。「裏が汚れてるのが、ちょっと残念なんだけど」そう言って指差された背表紙には、見覚えのある茶色い染みがついていた。ああごめんね。それは昔、ぼくがコーヒーをこぼしたあとなんだ。

freeze @gelatada

#twnovel 夢で出逢った男性。いつも優しく微笑んで、辛い時には抱き締めてくれる。「愛してる」と囁いてくれる。もっと彼と会いたくて、私は仕事にも行かず眠るようになった。眠たくなくても薬を使って眠るようになった。「もう離さない」彼に言われ、私は永遠の眠りに就いた。幸せ。

リリングミスト @RelyingMist

「あなたは止まった世界の住人になってしまいました」「みんな動きませんね」「このタイマーを回せば現実世界が動きます」「じゃあ常に回してれば、いつも通りじゃない」「いいえ。回してる間はあなたの時間が止まります」「えっ」「回すときは隠れてくださいね。悪戯されますよ」 #twnovel

@QuaibunBocchi

「いいか、忘れるなよ。メガネが顔の一部であるように、お前のリュックはお前だ。そう、今お前は俺にぶつかったんだ？（中略）オーケー。分かってくれて嬉しいよ。それから、その中のデカい夢、大切にな」ってすべりそうだけどもったいないからツイートしてみるわ。 #twnovel

藍　真史 @shin1960

#twnovel 墓地のご用意、告別式の段取りはお済みですか。それでは次に季節を選んでいただきましょう。おまかせコースの場合には、最適の気候の日をこちらでご用意いたします。最後は亡くなり方ですが。え？楽なのがいいですか。大丈夫ですよ。ここまで生きてこられたあなたなんですから

TAG @bttftag

#twnovel 人々が見向きもせぬ排水溝の奥に我らは棲まう。我らこそ、都心の地下に広がる一大下水道帝国。地上の奴らは知ろうともしない。虐げられた者らが帝国に集い、虎視眈々と復讐の牙を研いでいることなど。排水溝の闇を恐れよ。我らはいつでも貴様らを…熱っ！？ タバコのポイ捨て禁止！

みゃあ @myahuu

丘から町を見下ろしている。数えきれない人の明かりが、生活が揺れている。昔はこんなに灯りはなかった。ぽとぽつと光は増えていった。人々の悲しみも喜びも増えていった。今日は空もきれいだ。そこには満天の星がさざめく。私は丘に建つ古い樹木。地上と天空の境目に私はいる。 #twnovel

金比羅系 @Kompirakei

長居する気はなかったのだ。「なんもおへんのどすけどお茶漬けでも」そう言われて気づいた、狭い玄関口に立ち俺は一時間近くも無駄話をしていたらしい。「お茶漬けですか・・」俺はまだ京都の茶漬けというものを食べたことがなかった。いい機会かもしれない。上り框に腰掛けた。 #twnovel

八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は売れない女芸人だった。「よし、俺を笑わせたら見逃してやる」と言うと、彼女は必死で持ちネタを披露した。しかしちっとも可笑しくない。あまりの退屈さに、眠りこけてしまった人間豹であった。 #twnovel

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 番組は最終回を迎えたのに、明日のこの時間に何をやるのか、まったく告知されない。画面はもう砂嵐になっている。新聞は昨日、雑誌は先週、ネットはとうの昔に、終わっている。テレビ局に問い合わせようとして、電話が今日終わったことを思い出す。日付が変わった。外は砂嵐だ。

激走くじゃわさん🍀 @Qjawa_san

今日という日は異星人とのファーストコンタクトを記念する日として永遠に歴史に刻まれるだろう。大統領府上空に停止していた銀色の物体より降り立ってきた奇妙な生物は驚くほど流暢に我々の言葉を操った。「初めまして皆さん。私達は太陽系第三惑星からやって来ました地球人です」 #twnovel

おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 無限に続くんじゃないかと思う雪原を7日間歩き続けていたら、吹雪の中に立つカカシを見つけた。そいつは骸でできていて、だらりと下がった腕先が何かを示しているようだ。骸の足下を掘っていくと一枚の石版が出てきた。「世界は終わった」と刻まれている。これで何枚目だろう。

八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は大きなキャンバスを抱えた美大生だった。倒れた拍子に包みがほどけて、絵の全貌が明らかになる。それはアンリ・ルソーを彷彿とさせるジャングルの絵だった。奇妙な懐かしさを感じて、人間豹はそこから眼が離せない。 #twnovel

Tohru Ishizuka @operahaus

「スープ」夜半過ぎ、キッチンでなにやらいい匂いがして目が覚める。キッチンに行くと、そこには出来立てのカボチャのスープがおいてあった。誰だか知らぬが夜中にご苦労さんとスープを飲み干すと、窓のそとで三日月がしくしく泣いていた。 #twnovel

miruhi @miruhi

#twnovel 首都圏で大きな地震がおきた瞬間、日本国中で飛行機が一斉に墜落するという事態がおきた。専門家は当初、音波のせいであるとしていたが、電源がきられていない電話機に一斉に緊急地震速報を鳴らす為に電波が届き、それが機体の計器を乱した結果の事故であると発表した。

浪野（namino） @mint202

螺旋階段を、ただひたすらに登る。登りきった先には、唐草の模様細工の入った扉がそびえ立っている。ノックし、ゆっくりと開ける。中に一歩踏み出せば、俺はまっさかさまに落ちていくんだ。――― そんな風に、毎晩、眠りに落ちる。今夜も安らかな眠りであるように。 #twnovel

@sobatoyou

「ねぇ、学科試験を一発で合格したらキスしてくれる？」「あんた失効者なんだから、ちょっとやれば受かるでしょうよ」「えー、そんなのわかんないじゃん。御褒美があるとないとじゃテンションが変わるんだよー？」「同性の友人に、んな事言われた私のテンションの方が重傷だわよ」 #twnovel

神沼三平太 @y1s

#twnovel Nさんが地下鉄のエスカレータで立っていると、段を昇ってくる音がした。振り向いても誰もおらず、音だけが急ぎ歩きで昇ってくる。すぐに音はNさんの真後ろに来た。体当たりのような衝撃が何度かあり、Nさんは思わず右に避けた。怖いよりも、関東なら右側歩けよ、と思ったという。

@K_Ichida

#twnovel 同窓会の通知が往復はがきで来た。幹事の欄に昔の彼女の名前がある。放課後、川べりを並んで歩いたことを思い出すと、ハガキの旧姓という字が目にしみた。

layback @laybacks

定時間際のオフィスで携帯電話の音がけたたましく鳴り響いた。何が起こったのかとフロア中がざわめく。緊急地震速報だった。【○○県で地震発生。強い揺れに備えてください。(気象庁)】早く避難しなきゃ。ディスプレイから顔を上げると、男性社員が皆、あたしの胸を注視していた。 #twnovel

roardel @roardel

魔女の弟子リズはちっとも魔法が上達しない。「私、才能ないのかな」そこに魔女サーラがやってくる。「リズが台所に立ってからお皿もスプーンもぴっかぴか。ほんとにすごいわ」褒められたリズはぱっと笑顔に。暗い気持ちも晴れ晴れ。これがサーラの魔法だと知っているのは梟ばかり。 #twnovel