2010/09/20 ツイッター小説 お気に入りセレクト

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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みたね @mitane

私が住んでいるアパートの壁は薄い。隣人が彼女と談笑する声も丸聞こえだ。私はベッドにひとり転がりながら嫉妬心ばかりが煽られるので、彼らがいい雰囲気になりそうになったら、ラップ音めいた音を響かせることにしている。さて、今度の彼女はいつまでもつかな。 #twnovel

2010-09-20 01:16:44
ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 図書館で同級生と偶然会った。館内の静寂さを保つために私達は外に移動すると昔話を始めた。「俺はお前のこと好きだった」何十年か経っての愛の告白。「パパ、本返したよ」小学生くらいの男の子が彼の服を引っ張る。微笑ましい光景だ。私は思い出から現実に戻ると彼に手を振った。

2010-09-20 01:19:56
Ask @may_rabbit

#twnovel 免許を取って初めての帰省。実家の軽トラを運転するため、免許はわざわざマニュアルで取った。歩き慣れた山道はこんなに狭かったか?軽トラはこんなに小さかっただろうか?隣に座る母も。がたんがたんと車が揺れる。就職は地元か、東京か。僕の気持ちも揺らいだ。 #BGS_fes

2010-09-20 01:50:36
5月 / 石屋 秀晴 @_oblomov_

#twnovel #imihu 「マスターいつもの。『40代無職男性の部屋に設置した除湿機の排水タンクと加湿器の給水タンクをリンクさせぐるぐると三日三晩ジックリ循環させた水を使った水割り』をくれないか。シングルで」 「ここは交番ですよ」 「リィーーチ!」

2010-09-20 02:11:29
糖類の上 @tinouye

#twnovel 遺跡の調査結果が報告されていた「この時代は経済的に豊かだったようだが女性は虐げられていたと思われる。衣服住居は整っていても特に若い女性は痩せ衰えている。これは食事も碌に与えられなかった結果と思われ、この21世紀頃、女性が社会進出したという文献記録は誤りであろう」

2010-09-20 04:14:28
夜間飛行惑星/実駒(・×・) @mikoma_nfp

#twnovel 保育園に通う姪からの便りに貼られた切手が素敵だったから買ってきてくれと訴える祖母に、妹が「あれは十年以上昔の記念切手や。タイムマシンに乗らな買いには行かれへん」と苦笑している。祖母の手許では、時間が止まったかに見える青い砂漠を金色のらくだが歩いている。

2010-09-20 04:41:21
tsugu @tsugu0906

#twnovel 【三題噺】ユウタとケンジは夜の学校に集まった。今夜が新月と知ってからの秘密の計画だ。ひと通り探検をし終えると、ふたりは校庭に戻ってきた。大きな月。『月のうさぎってさ、裏側から見るとスキップしているように見えるらしいよ』そう言ってケンジは鉄棒に逆さにぶら下がった。

2010-09-20 09:36:36
@sobatoyou

毎朝起きるたびに体の一部がもげている。昨日は左手の肘から先が、今日は残った肩から先がもげた。これで両手両足を無くした私はダルマの様になって、ベッドの上でウーウーと唸るだけの生物になった。せめて舌だけでも残ってくれたら良かったのに。唯一残った突起に跨り君は笑う。 #twnovel

2010-09-20 11:25:41
みゃあ @myahuu

びちゃ。寝ている顔に何か落ちる。豆腐。けたけた笑いながら彼女は部屋を出る。未だ感覚的に理解できない所はあるな。食べ物は無くると、彼女がどこからか持ってくる。鼠の死骸等も混じるが、それも食べ物のつもりらしい。大体幸福。座敷童子を娶り人里離れてそろそろ七年になる。 #twnovel

2010-09-20 11:26:47
ちとせ@微調整 @xchitosex

一緒にいるとドキドキする。“好きだ”って気持ちでいっぱいになる。指とか顔に触れたいと思う。抱きしめてもらいたいと思う。でも、キスとか恋人めいた事をしてるイメージができない。一緒にいるのが自然になっている。この関係って何て呼べば良い? #twnovel #twpoem

2010-09-20 12:44:59
浪野(namino) @mint202

鉄の塊は今日も走る。線路の上をぐらぐらと走る。運ばれる人間の生白い、魚のような瞳がいたるところに見える。今日も塊は地下を移動する。車窓にうっすらと映る自分の目を見て息を呑んだ。生白い魚の目が、そこに二つ並んでいた。 #twnovel

2010-09-20 14:01:10
お惣菜 @n7k7

#twnovel 目覚めると,隣にゾウガメがいた.玄関も窓も全部閉めて鍵を掛けたはずなのに,いったいどこから入ったんだろうと不思議に思う.ゾウガメは鉢植えのサボテンをバリバリと齧っていた.買ってから2年間せっかく育ててきたサボテンが喰い千切られているのを見て,ひどく悲しくなった.

2010-09-20 14:40:08
@K_Ichida

#twnovel 「この眼鏡をかけると運命の相手が見えるんだよ」彼女が眼鏡を渡した。かけると目の前に彼女が自分の顔を突き出している。「あたしの顔が見えるでしょ?運命の相手だよ」「この眼鏡、くもってて見えねえ」「レンズ入れてないんだけど」「じゃあオレの目が運命を拒否してるんだ」

2010-09-20 16:54:06
夢名 七志 @mumei7c

「過去への移動分だけ主観時間が経過するタイムマシンですか」「9年にセットすれば中で9年が過ぎる」「妙に具体的な数字ですね」「あぁ、11歳の女の子を搭乗させると成人して出てくる」「それで、その子が貴方を好きになる要素はあるんですか」「夏好きの猫を一緒に入れてだな」 #twnovel

2010-09-20 17:04:42
@mia_lemoria

制服の少女の指先に咲く白いコスモス。隣で本を読む青年にはスミレの蕾。あの日飲み込んだ種が、気付かれぬまま、静かに芽吹いている。電車がホームに滑り込み、少女は前髪を整える。青年は、文庫本から顔を上げる。二つの花は、揺れる。 #twnovel

2010-09-20 17:12:51
無茶 @notastetea

私は女子大の就職指導員。就職率100%の実績を持つ伝説の指導員だ。今日も生徒が相談にくる。私は答える。「もし、何処も採用されなかったら私のところに永久就職しなさい。」忽ち彼女の目の色が変わり、瞬く間に就職先を決めてきた。私はまた複雑な心境になった。 #twnovel

2010-09-20 18:27:36
コーヒー豆 @C_beans379

#twnovel 「お前、毎回テスト際中に手で片目を覆ってるよな。あれ何?手のひらに答え書いてるとか?」「まさかっ!実は片目を取り出して鞄の中に突っ込んでるんだ。するとノートがいい感じに見えるんだよ。ただ片目が無いのを隠す必要があってね。お前もやってみたら?」「……」

2010-09-20 18:46:05
catroll @catroll

#twnovel この世界は振り子の世界だ。時間や気持ちや柵でゆらゆらと揺れる振り子の世界だ。僕らは同じ周期で揺れる振り子を捜し求めて彷徨い続ける。いつか糸が切れて奈落に落ちる日まで、振り子の世界を彷徨い続ける。ゆらゆら揺れる世界をふらふらと。

2010-09-20 19:51:04
いでゆのまち @ideimachi

#BGS_fes 高校以来の故郷は、大きく変わっていた。行き交うトラックで埃っぽい道。コンクリの用水路と、排水に澱む褐色の海。僕らが遊んだ風景は失われた。あの海が蒼いなんて。昨日は息子が川でエビを捕ってきた。工場が閉鎖されて十年、長引く不況も悪いばかりじゃない。 #twnovel

2010-09-20 19:54:03
すわぞ @suwazo

#twnovel 今はもう廃校となった、かつての小学校。30年ぶりに僕らは集まり、タイムカプセルを掘りおこした。「やるぞ」「おう」カプセルを開く。あの日、皆で埋めて隠したものが甦る。秘密基地が。基地をぐるりと囲む森が。基地を壊そうとした大人たちが。あの夕焼けが。走り回る僕らが。

2010-09-20 20:01:45
@akaz_b131

#twnovel 久しぶりにその家を訪れた。しかし声をかけても、以前のように家主が姿を見せてくれることはなくなっていた。それでも数日は通い続けた。ある日、家から知らない男が出てきた。にゃあ、と鳴くと一瞥されたが、それだけだった。訪れるたびに餌をくれた老婆は今どこにいるのだろう。

2010-09-20 20:03:43
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は手首にいくつもの切り傷のある少女だった。「一息に殺してよ」捨て鉢な台詞にカチンときた人間豹は、少女に背を向けて言った。「簡単に死ねると思うなよ、お嬢ちゃん」 #twnovel

2010-09-20 20:11:13
ウィティ(ツイッター小説・ポエム) @witianne

#twnovel 光の差す方向にどうしても飛べない小鳥がいた。目が見えないのではない、光が怖いのだ。自分の姿を誰かに見られるのも嫌なら自分の影を自分で確認するのも嫌なのだ。小鳥は光の中を飛び交う周りの小鳥に己を重ね、そのどれよりも美しく豪奢な己の姿を想像した。もう彼女は飛べない。

2010-09-20 20:32:56
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel お社にあった鹿のお面を付けると外れなくなった。引っ張っても顔から剥がれない。人前で出られないと焦っていると自然に仮面が外れた。お社から出たら町の人全員が鹿のお面をつけていて僕の顔を見て驚いて逃げ出す。どうやら鹿のお面を全員が着けている世界に僕は飛ばされたようだ。

2010-09-20 21:28:46
@suitomiu

30歳童貞だと博士からポケモントレーナーになるよう手紙が届く。僕にも手紙が届いた。急いで研究所に行くと、研究所では博士と……ポケモン。「よくきた!この中からパートナーを選ぶのだ」そして僕はずっと昔から出していた答えを言う「メタモンをください。生涯の伴侶として」 #twnovel

2010-09-20 22:57:35