憲法14条1項違反の法令違憲とした本日の婚外子相続格差事件の最高裁決定、全文はこちら。「時代と共に変遷する」とした上、「本件規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた」とする一方、遡及効は否定。http://t.co/Ch4KPmWcor
2013-09-04 17:57:58我々もですが,学生さんもまた課題が増えました。@Lawcojp 憲法14条1項違反の法令違憲とした本日の婚外子相続格差事件の最高裁決定、全文はこちら。http://t.co/vsQU62BOj7 …
2013-09-04 18:30:12@masahirosogabe 曽我部先生、平成7年大法廷合憲決定と「時代と共に変遷」論で折り合いを付ける一方、「遅くとも平成13年7月当時」違憲の判断で本件事案に決着を付けた上、他事案への影響の多大さに鑑み、本決定までの判断に遡及効がないという三段階アクロバット的判断ですね。
2013-09-04 18:41:10@Lawcojp 私はまだ読めていないのですが,そのような内容ですか。ありがとうございます。以前,最高裁の「超絶技巧」とツイートしたような気がしますが,最近本当に難解な判断が増えているような気がします。
2013-09-04 18:44:45@masahirosogabe 佐藤幸治先生が整理されたレシオデシデンダイについても判断がなされています。三段階違憲論とあわせ、今回は、実体判断もさることながら、「司法判断のあり方」について、より興味深い憲法の重要判例だと言えそうです。
2013-09-04 18:48:37@masahirosogabe 遡及効は否定という点は、より正確には「他の相続につき,本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁 判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響 を及ぼすものではない」ということです。議論を呼びそう。
2013-09-04 19:05:20とりあえず法廷意見のみ読了で中断。憲法学説は立法事実を見るべき,といってきたわけですが,近年の立法事実変遷を理由とする判決の増加を見るにつけ,何か違う使われ方がされているような感が無きにしもあらず。
2013-09-04 19:22:07平等原則の憲法適合性の有無に関して、伝統的通説は、①差別取扱いの有無、②14条後段列挙事由、③権利性質の確定、④目的手段審査等の審査を行い、②③の論証を通じて審査基準論を確定します。
2013-09-04 19:24:38これに対して近時の有力説の三段階審査論者は平等権については保護範囲を観念できないとして三段階審査の適用を否定し、伝統的通説に準拠して判断する見解と、保護領域を観念し前記②③を審査密度決定機能として重視します。
2013-09-04 19:27:02このいずれの見解も理論構成は違えど、やっていることはほぼ同じですね。で、今回の婚外子の意思で決定できない事項により不利益を受けるのは不当だ、という部分については、学説からは審査密度をあげるものとして機能するはずで、国籍法違憲判決も②③論証を重視しているかの判示があるとかいうわけ。
2013-09-04 19:30:21一方で最高裁はあくまで平等原則の領域では合理的理由の有無のみを問う緩やかな基準を採用しており、選挙権領域については審査密度を増しているような判決もありますが、今回の判例はそこは踏み込まなかったなと。あくまで合理的理由の有無を判定する一要素とされているのみですね。
2013-09-04 19:32:49あと今回新しいと思ったのは、婚外子に対する差別意識の助長、すなわちスティグマ論を正式に取り入れた点ですね。記憶で申し訳ないですが、スティグマ論をここまで取り入れたものはない気がするので、スティグマ論者は喜びそうですし、伝統的通説の修正が迫られる可能性もあります。
2013-09-04 19:36:38このスティグマ論がどう作用したのかを分析すると興味深いですね。客観的法効果や欧米諸国と日本の状況の違いなどを踏まえて逆方向の結論に振れそうになるのをスティグマ論で押さえ込んだ、という印象ですね。ま、これをスティグマで読むかは人によりけりでしょうけど。
2013-09-04 19:39:45また最高裁の法令違憲を出す手法として、立法事実の変遷論で乗り切る場合がありますが、今回もそれですね。あとは国際人権法の人には国際人権規約の作用について伺いたいところです。
2013-09-04 19:42:45今回、特にツイッター上で取り上げられているのが、違憲の不遡及論ですね。補足意見だとオビタディクタムではなくレイシオデシデンダイらしいですが、これ凄いなあと。後者の範囲ってかなり不明確に論じられてきましたが・・・
2013-09-04 19:48:05そもそもレイシオうんたらという観念を判例国でない我が国で受け入れるかの問題があり、受け入れるとしてここまで広範なレイシオを受け入れるのだなという感想もあり。
2013-09-04 19:49:35このへん本文のほうが慎重な書き方をしていて、親族・相続法の特殊性に限局し、そのレイシオの影響力を押さえ込もうとしていますね。
2013-09-04 19:50:39法の不遡及論は色々と深いですね。憲法に対する法哲学の優位とでもいうべきか。法的安定性要求が法の普遍的要請であるという言説。ま、これ自体はとりわけあまりに抽象的であるがゆえに「リスキー」ではないですけどね。
2013-09-04 19:57:22先例としての事実上の拘束力論について金築裁判官は個別的効力説を前提としながらその根拠を憲法14条の平等原則に求め、合理的理由により例外を認めるアプローチをとりますが、不十分かなと思います。ここは千葉裁判官の違憲立法審査権の内容の問題として論じるほうが好きですね。
2013-09-04 20:03:01