姉倉物語あとがき02・燃えた原稿・父の思い出

 拙作『姉倉物語 http://wiki.livedoor.jp/tirinubekitokisirite/d/%bb%d0%c1%d2%ca%aa%b8%ec 』についてのワナビ特有実話ネタあとがきです。  ……ファザコンで悪かったな……!
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八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 ……また、ツイッター離れな気がする。  そんなわけで、身内で受けたネタをツイッターにも投下。読了済みの方+TL汚し失礼します。

2013-09-14 21:19:05
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 姉倉物語あとがき02・燃えた原稿・父の思い出  なお、萌えではありません。燃えです。後輩に相談した時、マジで勘違いされました。  拙作『姉倉物語 http://t.co/cXuudDpKTK 』をある出版社の新人賞に送って、しばらく後の事です。

2013-09-14 21:21:07
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 そろそろ、応募総数が確定するかな――という頃に、その出版社から、メールが届いたのです。一次選考落選にしては早過ぎるので、不審に思って開封すると、メールの文面は以下の通りでした。なお、要約です。

2013-09-14 21:21:37
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 1:実はあなたの応募原稿(小説部分)が外部委託先の火事(貰い火)で燃えました。  2:なので、応募原稿(小説部分)を、もう一度、指定住所へ郵送が指定のメールアドレスまで送信してくれるとありがたいです。選考の都合もあるので日時は○月×日まで。

2013-09-14 21:21:59
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 3:送ってくれるのは応募原稿の小説部分のみでいいです。連絡先や経歴等の個人情報を書いた資料は、そも内部管理なので燃えていませんから。  4:原稿燃やしてすみません。原稿をもう一度送ってくれたら、ささやかな賠償をします。

2013-09-14 21:22:10
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 一読して、噴きました。  原稿燃えた――って、そんなことあるのかよ。……とは思いましたが、あるだろうな――とも思い直しました。天才バカボンの赤塚氏のエピソードは有名ですし、編集者も人間である以上、原稿紛失というのは一定確率で発生し、漫画になったり裁判になったりするものです。

2013-09-14 21:22:50
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 もっとも、珍しい事に変わりありません。実際、ワナビ歴はそこそこで、応募しては一次選考落ちを繰り返している私にとっても、初めての事態です。  で、ある以上、気をつけねばならない事があります。

2013-09-14 21:23:11
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 これは出版詐欺の亜種ではなかろうか?――という事です。聞いた事のない手口ですが、ワナビは絶好のターゲットです。気をつけるに越したことはありません。ましてや、私のように、プロライトノベル作家への憧憬と嫉妬と羨望と劣等感とルサンチマンで一杯な一流ワナビとなれば尚の事です。

2013-09-14 21:23:21
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 ただ、メールの文面を読み直したところ、 1:金銭や個人情報を要求していない。 2:郵送先に指定された住所は、その出版社の公式HPにある住所と一致している。またメールアドレスもアットマーク以下がその出版社のもの。

2013-09-14 21:24:00
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

3:受信した私のメールアドレスは外部に公開しておらず、しかし、私が最初に送った応募原稿に添付した連絡先と一致する。  という辺りから、信用できるように思えました。

2013-09-14 21:24:13
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 しかし、私は(前略)な一流のワナビです。人生経験も皆無。砂糖菓子のようなバーチャル世界に浸っており、厳しく苦いばかりのリアル社会と向き合った事などありません。私の裏をかくなど、靴ひもを結ぶようなものです(『星界の紋章』的表現)。不安です。

2013-09-14 21:24:32
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 そんなわけで、地方底辺編集者の父と都会でフリーライターをしている友人に 相談する事にしました。  で、父に相談すると「そんな馬鹿げた話があるか」と最初の私と同じ反応をしました。私は信用できる理由1~3を説明し、その上で意見を聞きました。

2013-09-14 21:24:56
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

父:「お前のその原稿とやらは何ページぐらいだ?」 質問の意味に首をかしげる私:「え? A4で120~130頁ぐらい? 十二~十三万字ぐらい? 正確な数字は……」

2013-09-14 21:25:22

父:「それは要らん。問題はお前の原稿はいくらだ?――だということだ」

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私:「……0円かな? でも、必要経費を考えれば……」 父:「違う。それは『お前が決めるんだ』よ。他人から、千円預かって紛失すれば、千円返せば、話は済む。だが、創作物はそうはいかん。極端な話、お前が百万と言えば、百万になるんだぞ。それが市場原理だ」

2013-09-14 21:25:56
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

父:「お前の言う通り、詐欺の類ではないだろう。もう一度送りたいなら送ればいい。だが、今回はたまたま復元できる環境だからよかったものの、他人からそんなものを預かっておいて、『燃えましたから、また送って下さい?』――そんな馬鹿げた話があるか」  …この父の論理には古い点があります。

2013-09-14 21:26:36
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 漫画ならともかく、今時小説なんて、完全デジタル作成が基本です。複製が存在しないなど、まずありえません。

2013-09-14 21:27:06
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 また、ライトノベル新人賞の応募数は千を超える事も珍しくなく、選考にかかる手間は大変(※1)なのだと、出版社を弁護すると、父は応募数の多さに驚いていました。おそらく長編小説を完成させることが一部の者の希少な技能であった時代の感覚が抜けていないのでしょう(※2)。

2013-09-14 21:27:23
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

(※1:さらに言えば、その新人賞は応募者にとても手厚いサービスを行っていました。だからこそ、私も応募したのですが、その分、選考にかかる手間も莫大なものになる事は、想像に難くありません)

2013-09-14 21:27:44
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

(※2:昔は本当に特殊技能扱いだった節があります。司馬遼太郎も『歴史と小説』で「子供を一人作る事よりも、同人だろうと小説一作書き上げる事の方が難しい」という主旨を語っています。実際、教育水準や執筆環境が今ほど良好でなかった事もありますし)

2013-09-14 21:28:06
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 しかし、私は嬉しかったのです。父のとっては編集者としてのプライドの問題だったのでしょう。最初に原稿枚数を聞いてきた辺り、頭の中で小説を一本仕上げる労力を推測したのでしょう。  が、私にとっては、あの父が私の努力を認めてくれた事が嬉しかったのです。

2013-09-14 21:28:50
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 昔、父は、私が小説を書いていることを知ると「誰が読むんだ、そんなもの。一銭にもならん。ゴミだぞ、それ」と、言ったことがあったからです。仮初にもプロの編集者である父にしてみれば、当然の発想でしょう。とはいえ、私にすれば、悔しい事この上ない訳です。ぶっちゃけ泣きました。

2013-09-14 21:29:11
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 そんな父が、私の小説はともかく、私の努力は認めてくれたからです  あの時とは別の意味で泣きたくなりました。  ちなみに再送までした拙作『姉倉物語 http://t.co/cXuudDpKTK 』はまたまた一次選考落ちでした。  この時も別の意味で泣きたくなりました。

2013-09-14 21:29:52
八重代かりす@「形見の衣」発売中。 @yaesiro

 以上、『姉倉物語あとがき02・燃えた原稿・父の思い出』でした。  週末TL汚し、重ね重ね失礼しました。

2013-09-14 21:31:28