ツイリレー小説(本編)
093 #ツイリレー小説 「例えば、ね。今言った『君の母さん』は私たちの母親よ。」「えっ・・・」いづるは何も知らない。はは。 「優里ちゃんが『アイツ』なんて呼ぶのは私たちのお父さんよ。ねえいずる、あの優しかったお父さんよ・・・」桜花は泣いている。 「優しかった」だって?
2013-12-01 12:45:45094 #ツイリレー小説 嘘。嘘。全部嘘。アタシは、私は、知ってる、全部知ってる。この女は大嘘吐きだ。 誰かにとっての「優しい人」だとか、そんなことは聞いていない。聞きたくもない――。 憎悪が心を混濁させる。「アタシ」が、「私」が、綯い交ぜになる。
2013-12-04 22:24:23095 #ツイリレー小説 「父、時和幸雄は日本が戦争で使用した戦闘機「桜花」の開発を手伝った時空人だった。私の名を使ったようね。でも人々はそれを更に改造して悲しい戦闘機にしてしまった。父はそれからおかしくなったわ。そんな時、母、旧姓桃山茉里と出会った。そしてあなたが産まれたわ。」
2013-12-04 23:01:35096 #ツイリレー小説 「つまり姉ちゃんと私は母親が違う異母姉弟ってこと......?」 いづるがそう言うと、桜花は顔を曇らせた。 「......そうよ。そして遊里と貴方は母親が同じ異父姉弟なのよ」 違う......、アタシはこんな奴と姉弟なんかじゃない......っ!
2013-12-06 21:42:30098 #ツイリレー小説 立ち上がる、その動作の不自然に雅ちゃんの身体がこわばる。「あの二人はヒトではない…そう、知覚を同期させたロボットと言えばいいかな。急いでいたのか知識や記憶の入力がおざなりだったみたい。元から壊れ易いんだけど、時空の歪みや能力の混線でガタが来たみたいだね」
2013-12-08 02:04:48101 #ツイリレー小説 「アタシは、ママの研究を継いで時空を操作できるようになった。でも、アタシはヒトなの。あんた達《時空人》とは違う、ヒトなの」優里ちゃんがお姉さんを睨む。 「優里ちゃん、その考えは危険よ」お姉さんが辛うじて立ち上がった。「その危険性があったから、お父さんは」
2013-12-21 21:59:33103 #ツイリレー小説 お父さんは、時和幸雄は、私たちを《時空人》として育ててくれた。今となってはもうわからないけれど、お父さんは「桜花」が戦闘機として使われる未来を回避したかったんじゃないかしら。
2013-12-27 22:51:12104 #ツイリレー小説 「それを回避したかった。だったらアタシに”危険性”とやらを素直に説けば良かったじゃない? アタシが『半分時空人』だって、ヒトと時空人、両方の世界に干渉できるって!」 優里が桜花を睨む。 「ママを口封じするよりは、よっぽど簡単だったはずでしょう!」
2014-01-03 22:47:09