ダニー先生の戦法・形勢判断・筋の良し悪し講座

関西所属棋士が交代でツイートしている西遊棋実行委員会のtwitterアカウント(@kansaishogi)にて、糸谷哲郎先生が戦法・形勢判断・筋の良し悪しについて考えを述べていらっしゃったのでまとめてみました。
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戦法、玉の硬さについて

西遊棋実行委員会 @kansaishogi

今晩は現棋界における将棋の戦法に関する話を行いたいと存じます。(糸谷)

2013-09-13 23:02:35
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

初めに、現在の棋界においては後手番が大分苦しい状況である、という認識があります。これは暫く前の後手戦法の隆盛から、それらの研究が進むことによって勝率が悪くなったことによります。(糸谷)

2013-09-13 23:25:07
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

後手の戦法として現在有力視されているのは、私が見るところ横歩取りと角換わりであると思います。横歩取りは後手が色々な形を選択できることによって研究を有利に進めやすいこと、角換わりはもっとも良く指されていた形において後手がある程度指せるという認識が産まれていることによります。(糸谷)

2013-09-13 23:28:28
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

逆に苦境に陥ってる戦法はゴキゲンや一手損角換わりであると言えるでしょう。両者とも研究が進んだ結果として、ある程度先手が指せるという認識があります。これらの戦法はKKSや後手石田流、ダイレクト向かい飛車などに場所を奪われてきた感があります。(糸谷)

2013-09-13 23:31:28

※ KKS:角交換四間飛車

西遊棋実行委員会 @kansaishogi

横歩取りが後手番隆盛時代から流行り続け、またある程度勝率を維持している理由は、玉の固さと選択肢を持てるという戦法の特徴ではないでしょうか。先手に歩を持たせる代償として、後手はこれら二つを得ます。(糸谷)

2013-09-13 23:38:14
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

先に述べておかなければならないことが有りました。それは玉の固さの重要性です。現代将棋の序盤においては、玉の固さは最重要の判断基準の一つです。形勢が互角、あるいは少々悪いくらいでは玉が固い方が勝ちやすいからです。これは穴熊vs美濃囲いなどで良くみられます。(糸谷)

2013-09-13 23:41:56
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

玉が堅い方が勝ちやすいというのは実戦において顕著です。お互い最善の手を指したならば薄い方が勝つ局面であっても、お互いある程度のミスをしたならばいつの間にか堅い方が勝っていた、などは日常茶飯事です。

2013-09-13 23:46:28
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

後手が先手より堅さで上回ることの出来る将棋、というのは角換わりにも適用できます。最近ある程度の結論が出たように見える形では、後手は金銀四枚の矢倉に入城しているのに対し、先手は大分薄い玉で戦うことになります。(糸谷)

2013-09-13 23:52:55
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

これらの戦法が流行っていることから察するに、次の流行は相穴熊などお互い玉が堅い戦法に移行する可能性が高いと存じます。横歩取りに関しては後手の可能性を狭める▲3六歩型が流行を見せるのではないかと。

2013-09-14 00:01:30
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

一方、一手損や相掛りのような玉の薄い将棋を後手が積極的に選びに行くことは少なくなる、すなわち流行からは外れるかと存じます。ただ、勿論これらの戦法も戦えないわけではなく、ただ勝ちにくいというだけです。指し手の面白さから言えば私はこちらに票を投じたいくらいです。(糸谷)

2013-09-14 00:05:40
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

将棋の序盤の進化はここ数年も留まるところがありません。これからも幾つも新しい戦法が産まれることになると思いますが、今は固さと言う評価軸を揺るがすのが非常に難しい状況です。(糸谷)

2013-09-14 00:12:50
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

固さという評価軸の代わりにどのような評価軸を用意できるのかを考えなくてはなりません。一旦連投を終わります。(糸谷)

2013-09-14 00:35:49

戦法に関する質疑応答

西遊棋実行委員会 @kansaishogi

将棋の序盤の進化はここ数年も留まるところがありません。これからも幾つも新しい戦法が産まれることになると思いますが、今は固さと言う評価軸を揺るがすのが非常に難しい状況です。(糸谷)

2013-09-14 00:12:50
銀河な村 @ginganamura

@kansaishogi ならば、例えば藤井システムのように、相手に固い囲いをさせないような戦い方は、今後出て来る可能性はありますか?

2013-09-14 00:19:06
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

.@ginganamura 超急戦は有り得るかと存じます。藤井システム以上に相手の穴熊をけん制するような構えが出来れば流行る可能性はありますね。

2013-09-14 00:22:32

形勢判断、筋の良し悪しについて

西遊棋実行委員会 @kansaishogi

帰宅が遅くなってしまったので、少々越権行為かもしれませんが、将棋に関する話をさせて頂きます。テーマは形勢判断です。(糸谷)

2013-09-15 23:56:35

※ @kansaishogiは共有アカウントであり、次の日からツイート担当者が変わるところでした。

西遊棋実行委員会 @kansaishogi

棋士は形勢判断をする際に何を考えているのか、他にも「筋が良い」「筋が悪い」とは一体どういうことなのですか、という質問を良く頂きます。(糸谷)

2013-09-16 00:00:30
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

まず、「筋が良い」「筋が悪い」という言葉について考えてみましょう。棋士が「筋が良い」と言っても、その手が本当に良い手でないことは多いです。「筋が悪い」手がその局面における只一手の勝てる手であることもあります。

2013-09-16 00:04:29
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

「筋が悪いが良い手」と言う表現が余り違和感がないことからも、筋の良し悪しと手の良し悪しは相互関係があるだろうとはいえイコールではないことが分かります。では、筋は何処から判断されるのでしょうか。

2013-09-16 00:07:27
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

「筋が悪い」の例として良くあげられるのは例えば「駒の効率が悪い」手です。例としては歩の上に香車を打つ手、敵陣の1段目に金や銀を打つ手などが挙げられるでしょうか。これらの手は駒の利きの効率からみれば明らかに劣った手です。

2013-09-16 00:11:27