ダニー先生の戦法・形勢判断・筋の良し悪し講座

関西所属棋士が交代でツイートしている西遊棋実行委員会のtwitterアカウント(@kansaishogi)にて、糸谷哲郎先生が戦法・形勢判断・筋の良し悪しについて考えを述べていらっしゃったのでまとめてみました。
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西遊棋実行委員会 @kansaishogi

他の例としては、争点でないところに駒を継ぎ足すことや、既に駒が利いているところに二重に駒を継ぎ足したりする手が挙げられるでしょうか。これらの手も悪手であるかどうかはともかく、その盤上に於いては駒の利きの効率を悪化させる手と言えるかもしれません。

2013-09-16 00:16:18
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

すなわち、筋とは「効率の良し悪し」を指すのではないか、というのが一つの仮説です。駒の利きが重複しているため、「駒の効率が悪い」。争点ではない場所に駒を置くために「その駒の働きが悪く、全体で見れば効率が悪い」。などなど。

2013-09-16 00:24:07
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

特に駒の利きに駒を足すことやある駒を取るためだけに敵陣の一段目や二段目に金や銀を打ちこむ=後の働きが期待できなくなる手は、「筋が悪い」という評価を頂きやすくなります。一方、眠っていた駒を活用したり、歩を叩いて相手の金銀の連携を悪くさせる手は「筋が良い」と言われやすいですね。

2013-09-16 00:27:42
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

但し、「駒の効率」だけで全てが解明できるわけではありません。とりあえず端歩を突く手や、後々大事なところを補修しておく手なども筋が良いと評価されがちだからです。あくまで駒の効率は一評価に過ぎないのですが、筋の良し悪しと関連する評価の中では多大な地位を占めるかと存じます。

2013-09-16 00:37:40
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

戻りまして、形勢判断の話に移りたいと思います。(糸谷)

2013-09-16 01:18:53
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

形勢判断の分析を最も難しくしているものは、序盤、中盤、終盤(便宜上3つに分けます)と言った、進行度の違い、言い換えれば玉の危険度の差によって評価軸の重要性が移行するところにあります。(糸谷)

2013-09-16 01:24:09
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

例えば「駒得」という評価軸は、序盤に於いては最も大きい役割を果たしていると言っても過言ではありませんし、中盤に於いてもある程度の役割を果たします。しかし、終盤に於いては「駒得より速度」という言葉通り、見た目ほどの有効性を発揮しません。(糸谷)

2013-09-16 01:25:36
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

一方、金曜にも「玉の固さ」の重要性を強調しましたが、現代では「玉の固さ」は序盤から重要な評価軸としておかれ、さらに中盤→終盤と常に重要性を増していきます。このことから「玉の固さ」は現代棋士の間ではもっとも重要な評価軸にあると言えるかもしれません。(糸谷)

2013-09-16 01:31:14
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

しかし、ほぼ序・中盤にしか存在しえない評価軸というものも存在します。それは例えば「進展性」です。駒組みがどこまで進展するか。例えば現在は薄くとも手をかけるにつれ穴熊になると見てその局面を高評価する場合、「進展性」という軸から見ていることになるでしょう。(糸谷)

2013-09-16 01:34:19
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

とすれば、どのように形勢判断を語ればいいのか。もしも理論化するとするならば、そのためには評価軸の移り変わりと局面の進行度というものを適切に評価するような試みが必要ではないでしょうか。(糸谷)

2013-09-16 01:37:54
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

しかし、局面の進行度に対する客観的な評価は非常に難しいように思えます。一例として、「手数」「王手がかかるまでの手数」「お互いの成り駒の数」「駒が何段目にいるかという総計」などが考え付きますが、とても一個の評価基準となれるとは思い難いものばかりです。

2013-09-16 01:42:52
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

そのため便宜上「序盤」「中盤」「終盤」という言葉に頼りたくなります。ここで多様な評価軸を使用したならば、それは例えばコンピュータには理解可能であっても、人間にとって理解が容易であるものにはなりえないかと存じます。(糸谷)

2013-09-16 01:44:45
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

形勢判断の評価軸についても同様なことが言えます。余りに多すぎる評価軸は人間が思考する踏み台としてはふさわしくない為、形勢判断を語るのであれば、末端を――非常に重要な末端ではありますが、やむを得ず抜き、重要な部分を抜き出して分析すべきかと存じます。(糸谷)

2013-09-16 01:48:54
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

それゆえ、「玉の固さ」や「駒得」という言葉に仮託して語る他ないかと思っております。他の評価軸として、候補に上がるべきものは「駒の働き」「手の継続性」「進展性」「仕掛けの権利」「先後番」「駒の点数」などではないかと存じます。

2013-09-16 01:58:25
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

もしも形勢判断を図示するのであれば、これらの評価軸と局面の進行度を何等かの形で図におしこめ、それらの動きによって提示するべきではないでしょうか。この行為は真理追及と言うよりは理解の助けを構築する行為ですが、それでも一助になるのではないかと考えております。

2013-09-16 02:07:13

筋の良し悪しに関する質疑応答

ikachaaan @ikachaaan

@kansaishogi 筋の悪い手は直接的、具体的であり、筋のいい手は間接的、抽象的ではないかと大まかに分類しています。

2013-09-16 00:53:36
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

@ikachaaan 金銀の頭を歩で叩く手などは直接的でありながら「筋が良い」と評価されることもあります。筋の悪い手は確かに直接手が多いですね。

2013-09-16 01:16:41
kuri @kochankuri

@kansaishogi 棋士の先生方の解説の中には、「筋の良い手」のほかに「のびのびした手」という言葉もよく聞きますが、これは「筋の良い手」とは違うものなのでしょうか?

2013-09-16 01:03:36
西遊棋実行委員会 @kansaishogi

@kochankuri のびのびした手は序盤の駒の効率を良くする手に使われることが多い気がします。

2013-09-16 01:17:13