【twitter小説】暗中模索#1【ファンタジー】
教導院は帝都の中枢にあり、巨大な白塗りの四角い建物が一区画に詰め込まれていた。角砂糖を積み上げたような不安定で奇妙な外観。しかもその設備のほとんどは地下深くにある。メルヴィはアーサーに導かれてエレベーターで地下深く潜った。 22
2013-09-08 18:09:04いくつかエレベーターを乗り継いで目的の第七セクションへと辿りつく。もちろんメルヴィは初めて来る場所だ。むき出しの鉄骨やダクト、配線で通路はごちゃごちゃしている。錆びたゲートがあり、やはり朽ちた看板に「第七セクション」と記されている。 23
2013-09-08 18:15:38「待ち合わせはここゲート下だよ、メルヴィお嬢。じゃぁ僕はまだ仕事があるんで」 そう言ってアーサーはどこかへ飛び去ってしまった。メルヴィは時計を見て時間を確認しようとするが、すぐ声がかかった。 24
2013-09-08 18:20:10「メルヴィ、急に呼び出してすまないね」 その男は裸電球の揺れる通路の闇の奥からゆっくりと歩いてきた。ミクロメガスだ。彼は目玉の貼りついたターバン……教導院の制帽と、魔法使いのように詰襟を着ている。 25
2013-09-08 18:26:10何年も前から知っているはずなのに、初めて会った時のまま彼は青年の姿をしていた。メルヴィはこんなにも歳を取ったのに、かつて年上に見えた彼の姿はいつの間にか年下のようにさえ見える。 26
2013-09-08 18:32:00「おいでメルヴィ。そんなには歩かないから大丈夫だよ」 そう言ってミクロメガスは闇の向こうへ歩いていく。メルヴィは駆け足で彼の後をつける。通路は裸電球の明かりが点在していて、まるで夜の通りの街灯のようだった。 27
2013-09-08 18:37:43「ヴォイド・ジェネレータを知ってるかい? メルヴィ」 ミクロメガスが話題を振ってきた。これからする仕事と関係があるのだろうか。ヴォイド・ジェネレータは帝都の発電システムの中核を担う設備だ。詳しくは知らないが。 28
2013-09-08 18:42:49そう返すと、ミクロメガスはにこりと笑って振り返った。そして一つの厳重な扉の前で立ち止まる。彼は手のひらを扉にかざした。 「この第七セクションではヴォイド・ジェネレータをはじめとしたヴォイド・システムの研究を行ってるんだ」 29
2013-09-08 18:48:58手のひらが扉に触れると、一瞬扉に不思議な文様が浮かび上がった。そしてギシリと音を立てて扉が横にスライドする。ミクロメガスはその中に入り、メルヴィを手招いた。メルヴィは中に入ると、あっと声を漏らした。 30
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