小望月
#twnovel 「月 綺麗」で検索すると、色んな人の言葉。確かに今僕が見ているこの月は綺麗で、これだけ多くの人が見ている。だったら、あなたも今見ているんじゃないかと勝手に思い込んでも確率論的にはない話じゃない。そう思って、もし一緒に見ていたらなんて気持ち悪いことを考えている。
2013-09-18 02:25:14月のガラス。今夜これを君の透明な指にはめて君は完成する。海が好きな君。「ポールも泳ぎなさいよ」「僕は泳げないさ」それは水槽でも家でもない、僕の手作り。るつぼ窯の中で君が笑う。宙吹き、型吹きをしよう。膨らむ度に光る君。「今夜の月はキレイだよ」「見たいわ」「見れるさ」#twnovel
2013-09-18 03:11:47#twnovel 月が綺麗な夜でも、羊の皮を被った狼は鳴かない。もふもふの羊たちの温もりを、失いたくなかったからだ。でも狼の本能が理性を超える。自制がきかない自分へ、負け犬の遠吠え。これでまた孤独な暮らしが始まると思っていたのに、羊たちは誰も逃げなかった。「狼の、君は、怖くない」
2013-09-18 03:36:57#twnovel 「月がキレイ」ってフォト蔵みせられたら、窓を開けて空を見上げたくなる。あんなに寝苦しかった夏夜は遠くなって、冷たい夜風と虫の声。空気がぴんと張ってる秋夜。長袖とコーヒー。こんな時間にお仕事おつかれさま。おかえりなさい。ずっと起きて待ってたわけじゃないんだからね。
2013-09-18 04:14:42ずぶ濡れの人夫達の手で橋脚に縛り付けられている間も、ずっと中洲先輩は祈り続けていた。「蒔子さんも、美律さんも、此の町の誰一人とて決して貴方には渡さない。私の身体一つで満足召されよ」―嵐の後、私達はまん丸な月を観ながら御団子を食べた。芒を揺らす風は少し冷たかった。 #twnovel
2013-09-18 17:40:00#twnovel 「明日は満月なのに、天気予報は雨だって。」受話器の向こうで君が寂しそうにした。見上げている月が、僕にはもう満ちている気がした。きっとこの欠けた部分は、僕らが愛を添えるためにあるのかも知れない。キザな言葉を飲み込んで、ただ同じ月を見ていた。
2013-09-18 18:02:07@000plankton000 もう少し明るく考えましょう、雨を降らせてるのは雲で、太陽じゃないわ。きっと雲の中に雨を作る工場があって、工場では兎さんが働いていて、夜は月の上で休憩をするんだわ。今頃兎さんは大慌てで雨の準備をしてるのよ。傘、持っていてよかったわね。#twnovel
2013-09-18 19:28:39#twnovel 月になくなんて言っているけどさと、小憎たらしい隣人は鬼灯色の目を細めて笑う。「上ばかり見ていると足元すくわれるよ」隣人の足元で小魚たちが跳ねる。ぴちぴち、ピチピチ。それらが一斉に声を上げる。大潮だもの。気をつけないと…僕みたいに。あたしみたいに、なっちゃうわよ
2013-09-18 19:49:23月があまりに綺麗だから、星になって夜空に行った。誰よりも近くで月を見たいから、一番近くに流れる星になった。夜空の真ん中で輝く月の前では、星の光は霞む。月の美しさに自分を見失いそうになって、夜空の闇もわからなくなる。月の魔力でまた、誰かが何処かで星になる。 #twnovel
2013-09-18 20:45:33満月サイダーを買いに行きます。その世にも珍しい月に成る果実を使ったサイダー売るお店は、ハーモニカ横丁の真ん中の端っこに堂々としかしヒッソリと営業しています。中秋の名月サイダーはお墓参りに欠かせません。サイダーの泡には、亡き人との思い出が映り、揺らめき、はじけます。#twnovel
2013-09-18 21:19:17#twnovel 満月の前に、月のウサギが遊びにきた。「お月様においでなさい、体がゆっくり浮かぶ月面は飛び跳ねるのに適していますわ」月面の遊び場の床は、運動エネルギーを電気に変える仕掛けがある。その電気を使い作られた月見団子が地球に輸出されていることを、青き星の民は誰も知らない。
2013-09-18 21:42:20絶滅種の、ニホンオオカミ男を捕獲したと連絡が入った。「今、月に吠えています。‘ビールはまだかあ’ とか、言ってます。」なるほど、中島みゆきの影響だな。「試しにビールをやってみろ。」・・・・「大変なことになりました。狼にならずにトラになりました。」 #twnovel
2013-09-18 22:45:22#twnovel 月がとってもきれいなので、狼たちが元気よく飛び回っている。微笑ましく見ていると、その校庭の中央で、赤黒いずきんの女の子が舞っていた。変わった形の剣舞い。風流だなぁと、しみじみしている。#ツイリミ学園
2013-09-18 23:41:44先日手に入れた美少年の首酒をグラスにそそぎ、台風一過で晴れ渡る空に輝く宵待ち月にかざして見た。万色にさざめく不思議な酒は金色の光を透かして、更なる名状しがたい色合いを見せる。ふと瓶の中に目をやると、淡く色づく可憐な唇が笑みの形にほころんでいた。#twnovel
2013-09-18 23:52:53十五夜
#twnovel 夜道を独り歩いていた。目前にぶら下がっている糸電話。糸の先は月まで続いていて、月を経由して地平線の向こうに繋がっている。耳を当ててみても何も聞こえない。「誰かいる?」呼びかけてみたけど、返事が返る前に月が陰って電話も消えた。また独り。でも、前より寂しくない。
2013-09-19 00:28:10#twnovel まぶたの裏に映るは、あなたの背中。あなたの肩幅。僅かな期待を、私は捨てなくてはならない。此方を向いて毎度同じ褒め言葉を渡してくれる貴方。私は淡い心持ちに浸るのを捨てて、貴方の幸せを祈るのです。此処から、そっと。はんなりと。窓辺から月。貴方にも見えるといいな。
2013-09-19 00:36:01#twnovel 地上の黄昏を検知して、月が発光する。空が光量を落とす。地上が朝になれば、月は自らを冷却する。空はフル稼働する。そう言い伝えられている。ここは地上のはるか下にあるとも言われている。すべては人間の仕業だ、とマニュアルにはあるが、彼らはぼくらを創って、眠ってしまった。
2013-09-19 02:38:30あの人、わたしと同じように月を見上げてくれるかな。時間の流れが違うほど遠くでなければ、きっと今夜は素敵な満月、祈りを捧げたくなるほどの美しい月。本当はね、一緒に見上げたい。でも、わたし、あの人みたいに上手に世界を捲れなくて会いにいけないんだ。だから、せめて、ね。 #twnovel
2013-09-19 02:56:14#twnovel 蒼い月が、煌々と輝いている。人気の無い、深夜の公園。僕は目を閉じ、力強く言葉を紡いだ。「出よ!わが愛剣、セント・クロス!」しかし、突き出した拳には、何も握られてはいなかった。「くっ!まだ、力が回復していないというのか!?」歯軋りをして、僕は天を仰いだ。【中二病】
2013-09-19 07:33:07「月が綺麗ですね」は「I love you」って意味なの。そう教えると君はうんうん頷いた。つまり私は君のこと。言いかけた私に黙っての素振り。つまり法則に基づき「私は君のこと」の意味を解けと言うのだなってこれだから君は。#twnovel 解ってる。だけどもう少しこのままでいさせて。
2013-09-19 07:54:57#twnovel 今日は満月です。いつもよりも明るい月なので、太陽系推進委員会は、月を一日太陽に任命しました。いま見えている太陽のようなものは、実は月です。もちろん日没して太陽の役目を終えた後、月は本来の役目も果たします。24時間の激務の後、月はだんだんやせ細っていくでしょう。
2013-09-19 09:19:39今日は #ツイリミ学園 のお月見。夜のために女の子たちが集まって、家庭科室でお団子を作ってくれているらしい。代わりに僕らはススキの見える月見会場を拵えている。芳ばしいお団子の香りがここまで…ん?まさか!こんなところまで届くはずない!つまりこれは… #twnovel 焦げてるよー!
2013-09-19 14:54:08#twnovel 団子が街から消えた。満月ばかり愛でられることに嫉妬した雲の仕業だった。困った人々は、とりあえず丸いものを供えようとプチトマトを飾った。それを見たお月様も精一杯力んで、一番赤い月として空に浮かんだ。白い団子を抱えた雲だけが、白けた顔でそれを眺めていた。
2013-09-19 18:28:35