毎年9月ぐらいの中秋の名月ならお月見で

瑞稀 @hapihapi1108

君は僕を照らす月なんだよ、と言うとあからさまに怪訝な顔をされた。普通は君を照らす太陽じゃないの、と言う彼女に太陽なんてそんなキャラじゃないでしょ、と返すと睨まれた。褒めたつもりだったのに理不尽な。君は、僕という闇を照らしてくれる、冷たそうに見えて本当は優しい月。 #twnovel

葵夏葉 @aoinatuha

夜道を歩いていると、なにか後ろから気配を感じた。振り返ってはみたものの、誰もいない。そこにはひっそりとした静けさだけが辺りに漂っていた。#twnovel 特別な日には特別な空気がある。人や動物は一斉に黙り込み、植物さえも息を殺す。ただそこには、満月がひとつ浮かんでいるだけなのに。

水木ナオ @nayotaf

煌々と輝く月に憧れて。皆が遠吠えをする中、その狼だけはただ黙ってじっと、夜空を見上げていました。なんだあいつ、すましやがって。叩かれる陰口も狼の耳には入りません。狼は待っているのです。夜を終えた月が、自分の元へ帰ってくるのを。寄り添いまどろむ、幸せなひとときを。 #twnovel

しぃとろん @seatoron

満月があまりにもおいしそうだったから、少しだけかじってみた。おいしかったので、もう少しかじってみた。地上ではこのことがニュースになって、騒ぎ出す人間が大勢いた。いまさら、食べた月のかけらを吐き出すわけにもいかないので、同じものを創造中である。もう少し待ってくれ。　#twnovel

竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel 満月の夜に御金蔵を破る十五夜小僧。月光と共に忍び込み、月が雲間に隠れるように消える。盗んだ金は庶民に分け与えるが、あまりに多くの民に分配したため、細かくなりすぎて、誰も、それが金だと気づかない。ただ、今夜の月光は、やけに眩しいと思うだけ。

彬帆 @aki_5days

「月がきれいですね」君が言うから空を見上げたのに、いつもと別段変わりない。「どこが？」どこがって、その…。目を伏せて赤らむ君の言わんとすることは分かるが。どうしようもない。ここでは美しい月など、もう見えやしないのだ。#twnovel http://t.co/aGJ2aQCUYw

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夕凪奏恵 @k_you_nagi

「工場長！月のうさぎ特製月見団子(冷凍)を発送しました！大気圏突入時に程よく解凍され、地球の皆様に美味しく食べていただけまるはずですっ」「そうか。で、発送先はどこだ？」「だいたい日本です」「そうか」 #twnovel (中秋の名月で空を見上げている誰が受け取ってくれるだろう……)

囀り鳥 @EDOGAWANKO

悲しみは、混雑した街の歩道に満ちていたけれど、誰も彼もが知らんぷり。月と街路樹の草むしりをしていた男だけが苦悩していた。＃twnovel だけどある日ついに月が裏切った。「もしもし、たいそう熱心に植え込みの手入れをされていますが、それでは人々に言いたいことは通じませんよ」

Affair Story @affair_story_s

#twnovel 日の沈む時間が早くなったと感じる。暗くなっていく空を見て、ああ、もう夜だと沈んだ太陽を確認したが空はまだ明るい。「『電気』、ちょっと灯り強くない？」「うちちゃうで？」電灯ではないその灯りを追いかけると月があった。普段よりも大きく見えるそれはとても明るく、丸い。

ショウ @SHO_Y

「月は綺麗ですね」彼の言葉に耳を疑った。「それってつまり月が一番綺麗だって言いたいの？」彼は月を見上げたまま頷いた。「バカじゃないの！？」私は頭にきたので彼を置いたまま家路についた。電車を降りて一人歩く夜の道、ふと空を見上げた。――彼は何も間違ってなかった。 #twnovel

囀り鳥 @EDOGAWANKO

月が裏切ったからだと古ウサギは目に涙をためて空を見上げた。「昔は彼処に居たんだ。我々は月と仲が良かった。月だって我々の意見を聞いてくれたものだ」＃twnovel 「もうやめなよ」若いウサギが出てきて言った。「みっともない」それから私を見て、「時々、こんな嘘をつくんですよ」

低脳夏冬 @warawaram9

「こんな綺麗な月夜に、雨音を精一杯耳に流し込むだなんて、随分無粋じゃないのかい」「あら、失礼ね。雨の音って、本当に綺麗なんだから」「そんなこと言ったってなあ」「窓開けて」 #twnovel さあっと流れ込んでくる光が、耳に干渉することなんてない。月は目で、雨は耳で。「綺麗だな」

れれれれれんれ @89776

月が輝いて、太陽はいまだ健在だと教えている。きっと明日も滞りなく、朝日は昇るのだろう。暗幕に転がるたったひとつの宝石と、冷えた空気を裂いて色付く夜明けと、どちらを望めばいいのだろうか。カーテンを引いて蹲り、世界から部屋を切り離した。 #twnovel

莉奈 @rin407

メールが来た。「月が綺麗ですね」そうですね、と返信したけれど、本当は私の部屋から今、月は見えない。確認済みだ。私だって、もしかしたら今夜の月を、と思ってた。でももういいの。見えなくたって。どうせ、彼はあの子と一緒に見ているのだろう。その黄金の輝きを。 #twnovel

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

#twnovel 営業帰り、渋滞の幹線道路。「ごめん。今夜は会えない」君からの電話を切ってハンドルを叩いた。ああ、月が昇る。次第に濃くなる夜空をくりぬいたような、まあるい煌々とした光。狼男になりそびれた俺は、運転席から、わおーん、と吠えて。団子の代わりに君の名を呼ぶ、十五回。

楠樹 暖 @kusunokidan

#twnovel ここまで来るのに時間が掛かってしまった。残り少ない人生、君と二人で生きていく。もう二度と離さない。「月が綺麗ですね」月を指差すと、見る見る彼女の血の気が引いていく。「ひぃ……」いけない、拉致されて強制労働させられた記憶が蘇っている。月はクッキーのように丸かった。

キヨシロウ @kiyoshiro_aoi

#twnovel 「月が綺麗だね」そう言って彼はそっと彼女に口づける。「ご、ごめん」彼女の頬をつたうひとすじの涙が月光に煌めく。「違うの、うれしいのよ」初めてのキスだった。「ねえ、踊りましょう」満月の下でワルツを踊る二人。彼女は恋を知らなかったいままでの自分にサヨナラを告げた。

溝元わかの@小説用 @wakanonholidays

窓の外を眺めながら、あなたが死んだ日を思い出す。月光が照らすあなたの白い毛皮は大量の鮮血に漂っていた。私は立ち尽くし、獣として処理される彼をただ見つめていた。 あなたが残してくれた宝物は、私の膝ですやすやと眠っているよ。あの日と同じ、満月の輝く空の下。 #twnovel

二月最中 @monaka_sosaku

#twnovel ベンチに座った僕は彼女の手を握った。「月が綺麗だ」「月……。私にはどんなものなのか……。あなたが綺麗なんて言うんですもの。いつか見れると良いのに」彼女は生まれつき目が見えない。だから、「そうじゃないさ。これは愛してるって意味」それでいいんだ。僕らの間では。

萌葱［moegi］ @hmoegi

#twnovel 見上げた月があまりに綺麗だったから、どうしても君に伝えたくなったんだ。「月が綺麗だよ」送信しようとしてふと躊躇する。あの文豪の逸話を、もしかして君は知っているだろうか。あるいは見透かされてしまうだろうか。送り損ねているうちに、着信。「――月が綺麗だね」

凍吹朔＠創作・読書系 @ibukisaku_ss

「月がきれいですね」。一度言ってみたいけれど、満月を指す君のきらきらした横顔が愛おしくて、その笑顔を壊したくなくて、黙ったまま夜空を仰ぐ。月を一緒に見上げられる瞬間があるだけで想い合う二人の証明に十分じゃないかな。先人の言葉は愛を深く知ってから口にすることにした。#twnovel

みのや@ゆるゆると再開 @mimicnote

満月はみんな喜ぶ。特に今日は中秋の名月だから一番綺麗で輝いている。その白銀の輝きに誰もが目を奪われる。愛を語る人がいれば月をただ眺めるだけの人、お酒を嗜む人、それぞれ幸せそうにしている。 #twnovel 絶望もいる。それは月の周りに点在する星々。月を超えることはできないのだと

黒目ソイソース @ghostsoysauce

「月が綺麗だな」おもわず口にしてしまうほど、今夜の月は綺麗だ。邪教のアジトを見張りながら何を呑気なと苦笑しながら、相棒も空を見上げた。「そうね、死んでもいいぐらい」「えっ、そこまで？」「ニホンでは中秋の名月っていうんだって」相棒は妙にニヤニヤしながら教えてくれた。#twnovel

二月最中 @monaka_sosaku

#twnovel 天文部の俺は後輩と月を見ていた。後輩が突然、「I love you」なんて言うもんだから話を聞くと、「ええ、この時期になると『月が綺麗ですね』と言えないので逆に『I love you』と言うことにしますね」「後輩、それ絶対勘違いされるって。ソースはさっきの俺」

囀り鳥 @EDOGAWANKO

にゃあにゃあ。鳴いている猫の姿を探して庭に出た。猫は、何処に行ったのか？鳴き声だけが、月夜の宵に響いている。空を見上げれば、明るいお月さま。＃twnovel いくら呼んでも猫やあの人は出てこないが、お月さまは晴れていたら決まった時間に出てきてくれる。降り注ぐ明るい月の光。