茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1043回【ファミコンでスーパーマリオブラザーズが出た頃の衝撃を上回るものはありそうにない】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１０４３回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝コーヒーを飲んでいるときに、よみがえってきたこと。

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やふ（１）私が２０１１年から出席しているＴＥＤ（カリフォルニア州ロングビーチ、来年からはバンクーバー）では、参加者が自分のファーストネームが大きく書かれたネームタグをつけて歩く。組織や肩書きは小さく、というのが基本だが、その肩書きで、一番幅を利かせるのはFounderだ。

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やふ（２）会社にせよ、組織にせよ、それを創業、設立したFounderをもっとも評価し、尊敬するのはいかにもアメリカらしいと言えるだろう。大企業のＣＥＯでも、雇われてやっている、というのだと、テンションが下がる。未知の領域を開拓した人こそが尊敬されるという文化は、すがすがしい。

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やふ（３）話は変わるが、私は高校の頃から家庭教師のバイトをしていて（最初は、東京学芸大学付属高校に合格した、という噂を聞いた近所の人が小学生の男の子を教えてくれ、と言ってきたのがきっかけだった）、大学院生の時には、黒坂正紀君という、元気な男の子を教えていた。

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やふ（４）黒坂君の家は、木々が茂っている広大な敷地で、そこで黒坂君と勉強していると、やさしいお母さんがお茶やお菓子を持って、「休憩してください」と言ってくださった。それで、黒坂君とぼくは、勉強をやめて、いろいろと雑談をする。ところが、ある時から、トンデモないものが現れた。

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やふ（５）ある日、黒坂君が、「先生、ハミコンやりましょう」と言った。「ハミコン？」聞き違えで、本当は、「ファミコン」だった。それで、初めてファミリーコンピュータというものを見た。最初にあったのが、確か、テニスと、ドンキーコングか何かだったのではないかと思う。

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やふ（６）正直、衝撃的だった。「黒坂君、もうそろそろ勉強しなくちゃダメだよ」と言いながら、ついつい３０分とかやってしまう。「こういうのばかりやっちゃダメだよ」とか言いながら、自分が夢中になっている。やがて、スーパーマリオブラザーズが登場すると、本当にやばかった。

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やふ（７）今や、ビデオゲームは３Ｄとなり、ＣＧも洗練されて、映画に近いものになったが、ファミコンでスーパーマリオブラザーズが出た頃の衝撃を上回るものはありそうにない。全く新しい経験が世界に出現した衝撃。ファミコンは、まさに、家庭用ゲームのFounderであった。

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やふ（８）子どもの頃、「任天堂」という文字は良く見た。トランプや花札についていた。それが、いつの間にかファミコンをつくる会社になった。その転換をうながしたのが、山内溥さん。偉大な方だった。亡くなった時に、ツイッターの世界のトレンドにも、Hiroshi Yamauchiが出た。

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やふ（９）それまでに全くなかったジャンルを創始し、開拓したという意味において、山内溥さんは人類の歴史に偉大な足跡を残したと言ってよいだろう。日本はもちろんだが、アメリカを始め世界各地で長く記憶されるに違いない。家庭教師をやっていて、ファミコンに出会った時の衝撃を、私は忘れない。

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以上、連続ツイート第１０４３回「山内溥さん、ファミコンをありがとうございました」でした。