エンド・オブ・クッキー・ウォーズ #1

自作艦これSS。 艦……これ……?艦これ、艦これですよ!クッキーとか書いてあるけど艦これなんです! 2:https://togetter.com/li/568520
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劉度 @arther456

事実、前線の機動部隊を突破してカスガダマ沖にやってきた敵の艦娘は、この防御陣形に対してほとんど有効打を打てなかった。戦艦ののアウトレンジ攻撃で数隻が大破したが、雷撃距離に入ってくるほどの度胸は無かったようだ。互いにほとんど損害がない状態で日が暮れ、辺りは闇に包まれた。20

2013-09-23 22:25:05
劉度 @arther456

後は払暁攻撃に注意して、敵を追い払うだけである。深海棲艦たちは依然として防御陣形を崩さない。敵の艦娘たちのように、疲労したりはしないのだ。「何がしたかったのか知らないけど、まあよくあることね」クッキーをかじりながら彼女はポツリと呟く。21

2013-09-23 22:27:38
劉度 @arther456

ドォン、と耳をつんざく爆発音。同時に、彼女の横にあった球形飛行要塞が爆ぜ飛んだ。22

2013-09-23 22:30:15
劉度 @arther456

「何ィッ!?」ざわめきが、彼女を中心に陣全体に伝わる。その間にも爆発は次々と続き、巻き込まれた不運な艦が海に沈む。輪形陣の外縁の駆逐艦から通信が入った。敵戦艦がこの陣に向けて砲を撃ち込んできているらしい。「盲撃ちか?バカめっ!」時刻は真夜中、狙いなどつけられるはずがない。23

2013-09-23 22:30:32
劉度 @arther456

「全艦、隣の艦との距離を倍にしなさい!密集しなければ当たるものじゃないわ」その通りだった。深海棲艦たちが散開すると、砲弾はほとんど当たらなくなり水柱を上げるだけになった。「……全く、運任せで私を倒す気?甘く見られたものね」彼女が呟く。前線で、一際大きい水柱が上がる。24

2013-09-23 22:34:53
劉度 @arther456

再び、外周から通信が入る。その内容を聞いた彼女は、思わず耳を疑った。「はぁ!?」この一言から、クッキーポータル戦争を終結させる、カスガダマ大夜戦が始まった。「戦艦が一隻、輪形陣の中に入り込んだ、ですって!?」25

2013-09-23 22:39:02
劉度 @arther456

「ひえー!」金剛型戦艦・比叡のすぐ側で水柱が上がる。至近弾だ。艤装が発する特殊フィールドによってダメージは軽減されるものの、それがいつまで保つかは分からない。主砲、副砲、対空砲まで用意して、とにかくやたらめったら撃ちまくる。狙いを付ける必要はない。周りは全て敵なのだ。27

2013-09-23 22:44:10
劉度 @arther456

他二隻の戦艦が敵陣を砲撃する。それに対して相手は散開する、それが定石だ。その散開した陣の隙間に、高速戦艦の比叡が滑りこむ。短時間とはいえ敵中に孤立するので、装甲と十分な火力が必要だ。練度が足りない他の金剛型にも、低速の戦艦にもできない、彼女にしかこなせない任務だった。28

2013-09-23 22:48:57
劉度 @arther456

「頑張ってるからー!私、頑張ってますからー!」涙目になりながら、比叡は主砲を振り回す。駆けつけてきた不運な軽巡洋艦が、直撃を受けて吹き飛ぶ。だが増援は倒した数よりはるかに多い。「見捨てないでええええっ!」陽炎が昇る銃身を構える。残弾は残り少ない。粘れる時間はあと僅か。29

2013-09-23 22:53:20
劉度 @arther456

「見捨てはしないさ」その横を、2隻の白い影が駆け抜けた。一瞬遅れて、増援の軽巡が足元から吹き飛ぶ。何が起こった、と驚愕の表情を浮かべる雷巡の目の前に、声が駆けつける。「あなたって遅いのね!」次の瞬間、雷巡の顔に連装砲ちゃんが叩きつけられた。30

2013-09-23 22:57:28
劉度 @arther456

快速、そして酸素魚雷を搭載した、夜戦の主役、駆逐艦。鎮守府のエースである島風と響が、比叡の開けた穴に滑りこんでいた。戦艦一隻に駆逐艦二隻。獅子身中の虫は、あまりにも大きい。酸素魚雷と高角砲の連続攻撃で、輪形陣の一角が崩れた。31

2013-09-23 23:01:37
劉度 @arther456

「よし。手筈通り、鬨の声を上げよう」「はい!ロシア語練習した甲斐がありました!」「まっかせて!連装砲ちゃんも一緒だよ!」敵陣のド真ん中で、勇敢なる三隻は異国の鬨の声を上げた。「「「урааааааааа!!」」」32

2013-09-23 23:06:06
劉度 @arther456

【エンド・オブ・クッキー・ウォーズ # 1】終わり # 2に続く

2013-09-23 23:06:31