エンド・オブ・クッキー・ウォーズ #2

クッキーどころがパシリムまで出てきた。 1:https://togetter.com/li/568035 3:https://togetter.com/li/569248
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劉度 @arther456

□□□□□□□ ←91式徹甲弾

2013-09-24 21:31:21
劉度 @arther456

【エンド・オブ・クッキー・ウォーズ # 2】

2013-09-24 21:32:08
劉度 @arther456

「機関銃、戦車、飛行機。この3つの共通点はなんだか分かるか?」「……第一次世界大戦?」「惜しいな」重巡・利根は勉強家であった。その理由は姉妹艦の筑摩の存在である。前世では筑摩より半年ほど早く就役した彼女だが、艦娘になると筑摩よりも幼い外見になってしまった。1

2013-09-24 21:34:00
劉度 @arther456

そのため度々『筑摩の妹』と勘違いされることが、よほど気に食わなかったようである。お姉さんと呼ばれるように色々な本を呼んで知識を蓄え、戦闘部隊の旗艦となって積極的にリーダーシップを発揮し、話し方も年上に見えるように戦国武将のそれを真似するようになった。2

2013-09-24 21:38:58
劉度 @arther456

その様子は主に提督と筑摩から『ちっちゃい子が背伸びして頑張ってるみたいで可愛い』と評されるものだったが、彼女の軍事知識は本物になった。WW2の海戦に留まらず、陸戦、海戦、現代の電子戦や古代の合戦、補給路の作り方と攻め方、守り方。あらゆる戦術、戦略が彼女の頭に詰まっている。3

2013-09-24 21:43:45
劉度 @arther456

「この3つの共通点、それは塹壕じゃ。塹壕は、大砲と機関銃に守られることで強力無比な防御陣地となった。それを突破するために戦車が開発され、飛行機は突破前の索敵に動員されておる」「それとこれと、何の関係が?」「分からんのか?この構図」利根が机の上の戦況図を手に取る。4

2013-09-24 21:48:21
劉度 @arther456

「駆逐艦が塹壕、軽巡が機関銃、重巡と『姫』が大砲。海の上じゃが、これは防御陣地と変わらぬ。そこに正面から突撃すれば、ソンムの戦いと同じことが起こるじゃろう」「むむむ」言われてみればその通りだ。提督は顎に手をやる。「じゃあ、突破の仕方は……」「うむ。陸と同じやり方が通じる」5

2013-09-24 21:52:30
劉度 @arther456

「それで私が呼ばれたのかい?」それまで黙っていた響が口を開いた。スカートを取りに来た時は顔を真っ赤にして提督にドロップキックをするほど取り乱していたが、今はいつも通り、ロシアの永久凍土のようにクールな響に戻っている。6

2013-09-24 21:56:24
劉度 @arther456

「うむ。浸透戦術発祥の地、ロシア軍に所属していたお主の意見は必須じゃろう?」「ソ連軍なんだけど……まあいいさ。塹壕の突破なら、それが基本だね」敵陣に小部隊や戦車を送り込み、敵陣を内側からかく乱させる。更に第二派、第三派を送り込み、傷口を広げて陣全体を崩す。7

2013-09-24 22:00:53
劉度 @arther456

膠着した第一次世界大戦を打破するために、ロシアのある将軍が発明したのがこの戦術だった。以後、この戦術は各国で研究され、退却する赤軍に混じって敵陣に潜り込むドイツ流や、夜間に精鋭を忍び込ませる日本流など、色々な方法が開発された。8

2013-09-24 22:04:55
劉度 @arther456

「問題点は浸透突破するまでの時間、それと敵の航空機だね。浸透した味方の頭を超えて第二陣を雷撃されたら、終わりだよ」「なら空母で制空権の確保を……いや、護衛が足りぬか」空母を導入するには、部隊の数が足りない。対空砲で凌ぐにも限度がある。9

2013-09-24 22:09:57
劉度 @arther456

「なら夜戦だ」そう言ったのは提督だった。「敵の航空隊は払暁攻撃にも対応してきているぞ?」「知ってる。だが、真夜中に仕掛ければいくら深海棲艦でも航空攻撃はできまい」「それではこっちも見えなくなる。同士討ちしたらどうするのじゃ!」10

2013-09-24 22:14:16
劉度 @arther456

詰め寄る利根に対してニヤリと笑みを浮かべた提督は、自分のこめかみを指で叩いた。「こいつを使うんだよ」11

2013-09-24 22:17:03
劉度 @arther456

「主砲、4基8門、一斉射!」4基の41cm連装砲が、轟音を上げる。その数秒後に前方の軽巡洋艦に着弾、目標は瞬く間に轟沈した。「比叡、お疲れ様!ここから先は私達に任せなさい!」「うらーっ!……アッハイ、もう声はいいんですね?」「そういうこと。突入の目印、ご苦労様」13

2013-09-24 22:20:35
劉度 @arther456

敵陣の混乱の最中、最初に砲撃をしていた戦艦、すなわち伊勢と陸奥は全速前進していた。航空機による迎撃はなく、あまつさえ比叡たちに気を取られていた前衛の駆逐艦は接近に気付けず、あっさりと主力戦艦2隻を輪形陣の内部に通してしまった。浸透戦術、成功である。14

2013-09-24 22:23:32
劉度 @arther456

『と、突入したな。これから……うぐえ……第二フェーズに移行する』艦娘たちの頭の中に、呻きに近い提督の声が木霊する。「提督、6隻とのドリフトはやっぱりやめたほうがいいんじゃないですか?っていうかこの設定、パシリムの勢いでつけただけでしょう?使っていいんですか?」15

2013-09-24 22:28:24
劉度 @arther456

『伊勢……気持ちはわかるが、クッキー戦争ネタを使っちまった以上、もう何でもありだ』「そうはいっても……大体、6隻分の痛みを背負うことになるんですよ?提督、大丈夫なんですか?」『ぎ、ギリギリまで頑張る。やばくなったらすぐ切るから!』「はあ……」16

2013-09-24 22:34:29
劉度 @arther456

ドリフトシステム。とある機動兵器を参考にして電が開発した、艦娘と提督の五感を連動させるシステムである。提督が何かを聞けば、艦娘もそれを聞く。艦娘が何かを見れば、提督もそれを見る。痛覚も共有してしまうことが難点だが、司令部と前線を繋げられるこのシステムを、提督は愛用していた。17

2013-09-24 22:38:42
劉度 @arther456

『話を戻すぞ。全員、俺の見ている海図は見えるな?』「はい!」艦娘たちの脳裏に、提督の見るカスガダマの海図、そしてそこに並んだ無数の赤いコマと、5つの青いコマが浮かび上がった。『陸奥と伊勢はここから西進、敵中核を目指せ。島風は南西へ、響は比叡と一緒に北に進め』「了解」18

2013-09-24 22:42:05
劉度 @arther456

提督の指示を受け、艦娘たちが散開する。一方、中央部にいる装甲空母姫は戸惑っていた。陣のそこかしこで火柱が上がり、次々と仲間が沈んでいく。しかし真夜中の闇のせいで、どこにどれだけ敵がいるのか判別することができない。あまつさえ重巡たちが勝手に砲を盲撃ちする始末である。19

2013-09-24 22:46:11
劉度 @arther456

「やめなさい、味方に当たる!見えた敵だけを攻撃しなさい!」必死に静止するが、パニックに陥った深海棲艦たちは止まらない。最初の砲撃のプレッシャーも相まって、動く影全てが敵に見える恐慌状態に陥っていた。味方の発砲炎に向けて砲撃し、味方から撃ち返される。この混乱こそが、夜襲の真髄。20

2013-09-24 22:50:23
劉度 @arther456

そしてその中を、無人の野を往くが如く進むのが戦艦、伊勢。そして陸奥。一隻の重巡が彼女らに気づくが、一手遅い。陸奥のボディーブローが突き刺さり、海の闇の中へ吹き飛ばす。「相当、混乱してるみたいね」既に装甲空母姫の声が聞こえるところにまで、彼女たちは近づいていた。21

2013-09-24 22:56:02
劉度 @arther456

「なら一気に決めましょうか。そーれっ!」伊勢の右手の主砲が火を噴く。狙いすました砲弾は、寸分違わず装甲空母姫を捉えた。彼女の巨大な艤装が爆発し、捩じ切れた金属の残骸に変わる。あんぐりと馬鹿みたいに口を開けた姫は、自分の艤装を見て、それから伊勢たちを見つけた。22

2013-09-24 22:59:25
劉度 @arther456

「……き、っさま、らぁぁぁぁぁぁ!!」数秒の間を置いて、姫の顔が怒りに歪み、咆哮を上げる。その怒りに反応して球形富裕要塞が展開され、周囲を警護する重巡たちが二人に砲を向ける。だがここで怯む二人ではない。敵の攻撃を一身に集める、それが彼女ら戦艦の役割なのだ。23

2013-09-24 23:03:06