私家版「あっちこっち」論（「優しい世界」の構成成分）

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

新聞４コマは１度に１本、萌え４コマは１度に複数本掲載。例えば「けいおん！」の最終回は１５本の４コマ漫画で構成されてる。１度に掲載される複数本の４コマ漫画につながりを持たせるかどうか。「あずまんが大王」「あっちこっち」「けいおん！」は、季節のイベントなどによってつながりを持たせる。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

「メインキャラクター　×　各月・シーズンのイベント　＝　その回の話」という公式を思いついた。「けいおん！」でも「あっちこっち」でも「あずまんが大王」でもだいたいあてはまる。「あずまんが大王」なんて、各回の表題が「July」とか「November」とかあからさますぎるぜｗ

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

なんか昨日の「あっちこっち」論は「けいおん！」論を補助線にした結果そっちに引っ張られて、あっちこっちそのものを語れなかった悔やみがある。

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というわけでリベンジ。鼻血イエー！

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

そも皆さまはいわゆる「萌え４コマ」の登場人物たちに感情移入できますか？　なんか一歩引いた遠い場所から眺めている気分になりませんか？

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

というわけで『あっちこっち』はどっち、みたいな。ラブコメ４コマ。掲載誌はまんがタイムきらら。けいおん！　が載ってた雑誌。

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　http://bit.ly/aiIDL8　http://bit.ly/cAgvaY　http://bit.ly/bgntEK　このあたりを昨日貼った気がする。「あっちこっち」の感想とか紹介的なブログ。

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あと「あっちこっち」の試し読みを再掲　　http://bit.ly/9FHVaL　http://bit.ly/cHCU5C　http://bit.ly/aPiLs0

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たとえば「あっちこっち」だったら、つみきさんがいじられたり伊御に振り回されて「にゃー！」＆ガブリするのを眺めてニヤニヤする楽しみがある。というかその楽しみ方がメインかな、と。昨日挙げた感想ブログを眺めるにそう思えます。

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けれどあえて「あっちこっち」の登場人物に感情移入しようとするなら、やっぱりつみきさんの「片思い」がキーになるかな、と。でもこれキツくね、と思うんだよね。昨日言った通り、つみきさん、精神的には超人の域に達してる。二年も気を持たされつつも爆発しない。鬱になったりしない。

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男子諸君向けの例：無自覚で愛嬌を振りまきまくって周囲の男を片っ端から虜にしてるあの子。「あいつ絶対下心あるから近づかない方がいいって」と言っても「そんなわけないよー☆」みたいな反応。抱きつかれたりキス寸前になったりするけど向こうにその気は無いぽい。それが２年続く。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

自分自身の片思い経験を参照するにつれて、むしろつみきさんとの距離は開いていくわけで。「よくもこの子は延々とこの環境に耐えられるなあ」と。俺だったら辛さに負けて告白するぜ。告白って、片思いの辛さからの逃避、って面を持つ時があるよね。「振ってください！　諦めさせてください！」的な。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

なんでつみきさん耐えられるのん？　と考えて思ったこと。伊御はつみきさんの恋愛感情に“だけ”鈍感なんだよね。つみきさんの思いを踏みにじったり無視したりしない。一緒に帰りたそうにしてたら「今度から一緒に帰ろう」と言ってあげられる伊御はイイ男。

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思い出すんだ、僕たちの、梨の礫に終わったアピールの数々を……。あの子がそれに全部反応してくれていたら……。つみきさんって、そういう状態なんだよね。恋心は伝わらないけど、それ以外は基本的に伝わってる。理解し合えている。

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例えるなら（意味合いはズレるけど）、好きな人と唯一無二の親友になったような状態。後一歩で恋人、的な。くそうつみきさんいいポジションにいるじゃねーか。羨ましすぎる。ちなみに僕はそんなポジになれたことは一度も無い。憧れるね。割と本気で。

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「あっちこっち」の伊御とつみきさんの距離について、「親友的ポジション」ととらえて読む楽しみ方もあるんじゃないかと。

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ただ、つみきさんの理解者って、伊御だけじゃないんだよね。周囲のメインキャラたち――マヨイ、姫、みいこさん、榊……みんながみんな、つみきさんの理解者だ。恋を応援している。伊御を横取りしようとする輩は居ない。……明確なライバルがいない環境、ってのは片思いにとっては理想的だよね。

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片思いの辛さの１つ。好きなあの人が別の誰かと楽しく過ごしている可能性を考えずにいられないこと。そのストレスから、つみきさんはかなり解放されてる。大きなストレスになったのって、みいこさん登場回くらいかな。でもその回のうちにみいこさんはつみきさんを応援する側なのを明確に表すし。

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自分の理解者がたくさんいる。思い人もその中の１人。そして思い人を横取りしようとする輩がいない。なるほど、とても理想的な環境だなあ、と。元気な時なら「そんなヤワな環境お断りだ！」と言えるけど、疲れてくると「これもいいよね羨ましいよね」と思う。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

ともあれつみきさんに自分を重ねようとすると、むしろ「この子周囲にたくさん理解者がいるのね」と思うわけです。みんな、どの程度までつみきさんをいじっていいか判ってる。深刻な衝突・対立は起こらない。意識的か無意識的かは知らないけど避けてる。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

お互いがお互いの理解者だから、すれ違いや誤解からくる深刻な対立は起こらない。恋愛ものにありがちな、見てて心が痛くなる様な事件は起こらない。伊御とつみきさんの大喧嘩とか。僕たちの精神安定上よろしくない展開にはならない。僕たちの心に優しい話が展開されていく。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

けどさ、見てて心が痛くなる様な展開って、すれ違いや誤解ばっかりが原因というわけじゃない。学力が低いとかお金がないとか親が口うるさいとか、そういう、メインキャラクターの背景だって、精神安定によろしくない展開の発端になりうる。でもそんな嫌な背景は「あっちこっち」に存在しない。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

明確に書かれては無いけど、みんな（場合によっては超人的な）知能と（超人的な）身体能力を備えていて、家も結構裕福。子供のやることに口出しする親はいない。面倒な教師もいない。キャラクター達の背景はキャラクター達に優しい。その結果、僕たちの心にも優しい話になっている。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

（余談）「あっちこっち」みたいな「萌え四コマ」について、「リアリティがない」みたいな批判が飛んでくることがある。それも確かかな、と思う。「萌え四コマ」の対極にある話――お互いの不理解からくるトラブルや、深刻な背景に根差す事件がたくさん盛り込まれた嫌な話にリアリティを感じるから。

遠野九重@『役立たず』７巻、９月８日（金）発売！ @Six315

例えば、蛸壺屋のけいおん！同人誌。唯は自殺するわなんやらかんやらの心に優しくない展開の目白押し。けれどさ、思っちゃうんだよね。「現実だったら唯とかこういう末路辿りそうだよね」って。リアリティが欲しいなら、不理解と深刻な背景を盛り込めばいいと思うよ。