三人目の相棒(英×独、警察パロ)

この世の天国とは、英国人の警察官…この世の地獄とは、独逸人の警察官。今回はそんな二人が潜入捜査をするSSです。
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某国警視庁刑事部・捜査一課第8班―そこに所属する警部補、アーサー・カークランドは敏腕の刑事だった。彼の相棒とのチームワークは高く、犯人の確保率も高く、「捜査一課最後の砦」の異名を持つようになっていた。…ところがある日、そんな彼に度重なる不運が訪れる。

2013-10-13 20:44:31
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米「やあ、アーサー。少し君に重要な話をしたいんだ。」 英「なんだ、アルフレッドかよ。話ってなんだ?」 アルフレッドとは、彼の後輩であり最初の「相棒」でもある青年だ。 米「それは、部屋についてから話すんだぞ!」 そして彼はアルフレッドに付いていき、二人で部屋へと向かう。

2013-10-13 20:50:56
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そして、二人は部屋についた。すると、そこには彼の現在の第8班相棒である本田の姿があった。 英「あれ?相棒…何故そこにいるんだ?」 日「あ、それは…」 米「話というのはこの事なんだ!彼、今日から異動になるんだぞ。」 英「…は?」 彼は思わずその場に立ち尽くす。

2013-10-13 20:57:30
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日「私、本田は一身上の都合により警部という役職を離れ、交通部へ希望異動させて頂く事になりました。」 目の前の相棒は謙虚を貫いた姿勢でお辞儀をする。 英「…状況がちっとも飲み込めないぞ…」 米「HAHAHA!彼はもう引退の時期だからね。」 英「引退って…こいつ結局何歳なんだ…ぎぎ」

2013-10-13 21:01:22
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英「おい!なんでそんな大事な事俺じゃなくてこいつに先に言うんだよ!」 米「言ってなかったっけ?俺、今日から君の上司で『警部』になったんだぞ!」 英「…は?…はあああ!?」 まさか大後輩に先を越されるとは。アーサーは思わず白目になってしまった。

2013-10-13 21:05:30
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ショックな事が連続で二度続いてしまい、アーサーはそのまま少し黙り込む。そして… 英「だったら俺はこれからどうするんだよ!相棒もういねぇぞ…まさかお前とまた…?」 アーサーは白目に涙を浮かべて訴える。 米「それなら、新しくこの署へ転勤したばかりの新米刑事がいるんだぞ!」

2013-10-13 21:10:19
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英「まじかよ…良かった!俺を差し置いて上司になった奴とまた相棒は俺が困るんだからな!早くそいつの名前教えろよ。」新しい相棒と聞き、アーサーの表情はパッと明るくなる。 米「君ちょっと酷いんじゃないのかい~?新入りの名前は"ラディック"と書いてルートヴィッヒって言うんだぞ!」

2013-10-13 21:15:49
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英「そうか…"Ludwig"でルートヴィッヒか!ちなみにどんな奴なんだ?べ、別に俺はただ新しい相棒との接し方を知りたいだけであって…」 米「長くなりそうだからカットなんだぞ。性格は…まあ、キクと同じで生真面目な印象だね。ちょっと考え方変なのも似てるけど、頑張りなよ!DDDD」

2013-10-13 21:21:37
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英(そうか…あいつとほぼ同じ性格だから接し方もあまり変えなくていいんだな。)「ああ、今日から張り切ってやるぜ!」 日「それでは、私もこれで。アーサーさん、これからも頑張ってくださいね。」 アーサーは、先程とは正反対の清々しい気分でアルフレッドのいる部屋を後にした。

2013-10-13 21:27:32
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「なあ、聞いたか?第8班の本田、警部やめるってよ。」 「ああ、聞いたぜ…しかもその次はあの回されたと曰くつきのあの男だぜ?」 「噂には聞いてるぞ。あいついつも威圧感凄いし、取調室で拷問したこともあるんだよな…」 署内では、早速話を聞いた警察官たちの不穏な会話で溢れかえる。

2013-10-13 21:32:52
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英(おいおい、なんか物騒な話してるなあいつら…この"第8様"と呼ばれる俺の新しい相棒だから、恐れをなす気持ちも分からなくもないが…) アーサーは、頭の中で勝手な自己解釈をしながら、「相棒」が待っているとされる第8班休.憩室へと向かう。

2013-10-13 21:38:56
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-第8班休.憩室- 英「よぉ、お前が俺の新しい相棒になるルートヴィッヒか。俺は捜査一課第8班所属のアーサー・カークランドだ。俺の事はお構いなくアーサーと呼んでくれ。」 アーサーは自分の目の前にいる、金髪碧眼で自分よりも体格の大きい、今日初めて見る男に手を差し出す。

2013-10-13 21:47:44
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独「…ああ、俺は今日からこの署で勤務することになったルートヴィッヒだ。貴方が直属の上司のアーサーか…まだ至らない所があるが、よろしく頼む。」 挨拶を終えると、彼―ルートヴィッヒ―は差し出された手を握る。 英(やっぱり、思った通りに真面目な奴なんだな。) 

2013-10-13 21:56:19
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英「早速だが、俺の事は相棒だから「上司」じゃなくて「友達」だと思ってくれて構わないぜ。」アーサーは、かつて相棒だった彼と初対面の時に言われた言葉をそのまま使う。 独「…だがしかし…俺にはどうしても「上司」としてしか思えない。」 英「そうかよ。…まぁ、慣れるまでそれでいいけどな…」

2013-10-13 22:02:53
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アーサーにとっては、昔言われたこの一言が嬉しかったのだが、どうもその感覚は受け取り手によって違うのだという事を実感する。 英「分からない事や迷う事があったら何でも俺に聞けよ。安易な自己判断は禁物だ。」 独「ああ、そうさせてもらう。」 英(問題ない、ただ生真面目なだけなんだな。)

2013-10-13 22:09:10
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―しかし、その翌日取調室にて― 独「こらー!何を黙り込んでいる。さっさと本当の事を吐け!」 「ヒイッ…!」 悲しい事に、噂は本当なのかもしれないとアーサーはこの時に思った。 英(おいおい…そんなこと言って脅しても、無意味どころか逆効果だろ…馬鹿) 彼は少しだけ自信を無くしていた。

2013-10-13 22:15:34
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さらにその翌日、アルフレッドから呼び出しがかかった。 米「やぁ、君達!新しい相棒との仲は良好かい?」 英「…まぁまぁだな。(自信なくしてるけど。)」 米「早速だけど、捜査指令なんだぞ。場所は819地区の裏通りにある酒場、そこでは薬物売買の疑いがあるんだぞ。」 独「ふむ…」

2013-10-13 22:21:11
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米「でも、潜入捜査の時に一つ注意があるんだぞ。」 英「注意…?」 米「周辺の調査をしてみたんだけど、どうやらその酒場は"Gay Bar"というものらしいんだぞ。」 英「おい、それって…」 嫌な予感がする単語にアーサーは唾を呑む。 米「同性愛者しか入れないところだね!HAHAHA」

2013-10-13 22:29:10
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英「もしかして、俺達に…その、"gay"のフリをして極秘捜査をしろと?」 米「君達にはぴったりな役回りだと思うんだぞ。だってどうみてもそうにしか見えないじゃないか!」 英(誰がだよバカ…!) アーサーはアルフレッドの失礼な発言の連続を受けて、思わず白目になる。

2013-10-13 22:33:21
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個人的には断りたいが、さすがに大事な業務なのでアーサーは捜査を承諾し、ルートヴィッヒと共に酒場へ向かうための準備をする。 英「いいな、ルイス。ヤバくなったら演技するから、お前は話を合わせるんだぞ。」 独「分かった、アーティ。」 恋人に見えるよう、お互いに愛称で呼ぶことになった。

2013-10-13 22:40:35
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―裏通りの酒場― カランカラン 「なんだ、見ねぇ顔だな。ここは一見様お断りだぞ。」 英「やぁ、マスター。ダチのベンとトミーからこの店の事は聞いてるぜ。紹介するよ、俺のフィアンセのルイスだ。」 独「…あ、ああ。」 すると、マスターと呼ばれた男は二人の顔を近距離で見つめる。

2013-10-13 22:48:55
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「いや、信用できねぇな。本当にお前ら恋人同士か?」 男は、髭の生えた顎を指で撫でながらへらへらと笑う。 英「信じてもらえねぇってか。なら今から証明してやるぜ!」 独「証明…?」 突然アーサーは背伸びをし、そのままルートヴィッヒの唇に唇を重ねる。 独「…~~!!?」

2013-10-13 22:53:03
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男は、相変わらず薄ら笑いを浮かべたままこちらを見つめている。まだ信用されていないのかと思ったアーサーは、彼の顎を上に傾けて口を開かせ、そのまま舌を入れ込む。 独「んむ…!?~~ん、ん……っっ!!」 英(くっ、思ったより抵抗しないが、バレそうな演技だな…) キスはしばらく続いた。

2013-10-13 23:00:02
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パン、パン! それを見ていた男は、突然手を叩く。 「はい、もういいぞお二人さん。いやぁ~こんなに熱いカップル久々に見させてもらったぞ。お前らも歓迎の拍手だ!」 パチパチパチパチ… 一部始終を見ていた常連客も一斉に拍手をし、二人は歓喜の渦に包まれる。

2013-10-13 23:05:59
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英(そうだ、あいつは大丈夫か?) 見物客に気を取られていたアーサーは、視線をルートヴィッヒの方へ戻す。 独「っ、アーティ…キスが激しすぎるぞ…」 思った以上に彼は生真面目で律儀だった。 真っ赤になり、目に涙を浮かばせて自然な演技をしている。 英(…いや、涙は多分本当に出たんだな)

2013-10-13 23:14:43