三人目の相棒(英×独、警察パロ)

この世の天国とは、英国人の警察官…この世の地獄とは、独逸人の警察官。今回はそんな二人が潜入捜査をするSSです。
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その後1日目の潜入捜査は、検挙こそ出来なかったものの、絶妙な演技により酒場の誰にも怪しまれず順調なスタートを切った。 英「さて、昼は店開かないから普通に業務すっか。」 独「アーティ。…少し渡したい物があるのだが、良いか?」 英「な、なんでお前捜査じゃねぇのにその呼び方なんだよ…」

2013-10-13 23:20:36
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独「潜入捜査の演技をするために、役に入るのは重要だと思ったからだ…」 英「お前はドラマ撮影に挑む俳優か。」 独「だから…その…貴方のために弁当を作ってみたんだ。もし良かったら食べてくれないか。」 英「まじか…ああ、俺が食わなきゃもったいねーから貰ってやるよ!」 目は輝いている。

2013-10-13 23:26:24
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―警視庁屋上にて― 英「一体どんな弁当なんだ…あいつの作った手料理は…」アーティこと、アーサーは貰った弁当箱をワクワクしながら開けようとする。 英(所詮、あいつも男だから有る物詰め込んだだけだろうな) すると、そこには予想外の中身が現れた。

2013-10-13 23:34:33
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そこには丁寧に仕切られた弁当箱の半分に、ふりかけと海苔で熊の形にアレンジした白米があり、そのもう半分の仕切りには栄養価のバランスがよく考えられた、卵焼き・人参、キャベツ、ブロッコリー・そしてソーセージが二本入っていた。アーサーは嬉しさと彼の意外なギャップを感じ、そのまま固まった。

2013-10-13 23:43:43
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英(がつがつがつ…うめぇ…!うめぇよ…!)「…グスッ」 こんな料理、生まれてこの方食べたことがないとアーサーは感涙しながら弁当の中身をスプーンとフォークで口まで掻き込む。普通の料理の味を知らない分、おそらく今の彼は世界一至福の時に感じたに違いないだろう。

2013-10-13 23:50:21
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―そして夜、裏通り酒場にて― 英「マスター!今日もフィアンセと来てやったぞ。」 「おお、嬉しいねぇ!そんな熱々の二人にはビールを一本ずつサービスしてやろう。」 英「お、本当か!?Thanks!」 捜査中なので過度の飲酒はできないが、アーサーは怪しまれないよう応じることにした。

2013-10-13 23:59:02
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英(…ぴくっ)「…ん……俺寝てしまっていたのか…?ルイス…ルイスはどこだ……!」 「気が付いたようだな、アーティ。君のフィアンセならさっき外のトイレに出て行ったきりだぞ。」 英「マスター!それは本当か?いつからだ!」 「15分ぐらい前だな」 英(まずい…何かあったら大変だ!)

2013-10-14 00:06:21
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一方その頃狭い路地にて… 「驚いたな、まさかお前がサツだったとはね…」 男は、片手にルートヴィッヒの手帳を持ちながら、もう片方の手で持ったナイフを彼の首筋に立てている。 独「…っぐ!」 ルートヴィッヒは抵抗しようとするも、拳銃を持っていないことに気づき、動けないままでいた。

2013-10-14 00:15:53
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「ということは、お前に男の恋人がいるのは嘘なんだな。ま、俺はノンケでも美味しく頂ける男だけどな。」 ルートヴィッヒは、歯を食いしばりながら犯人の顔を睨みつづける。 「でも、さすがにサツを襲うのは勘弁だから始末してやるよ。大丈夫、痛みを感じる前にお前の意識は遠退くはずだ。」

2013-10-14 00:21:54
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「――さよならだ、…大きな子猫ちゃん?」 「…そこまでだ。」 間一髪だった。犯人の男は、声のする正面を見上げる。 するとそこには、息が上がり肩を上下に動かしながら拳銃を持つアーサーの姿があった。 「ッチ、もう来やがったのか!」 男は、目の前のアーサーに視線を合わせ続けている。

2013-10-14 00:26:53
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その隙を見て、ルートヴィッヒは男のナイフを叩き落とし、男の体を締め上げる。 「…ぐ、おぁあ!」 英「!」 安心したのもつかぬ間、アーサーの真後ろから気配を感じる。そして、その気配はアーサーの背中を包み込みそうになった。 英(…今しかないな。)

2013-10-14 00:31:47
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アーサーは後ろから来た男の右腕を両腕で掴み、そのままその男を一瞬背中に乗せ、前へ投げ落とす。―つまり、背負い投げである。 「…ぁあ!……っくそ……!」 英「いくら俺がひょろそうだからってナメんじゃねぇ、これでも元最強コンビの片割れだ馬鹿。」 こうして主犯格の二人は逮捕された。

2013-10-14 00:37:28
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裏通りにパトカーのサイレンの音が鳴り響く。 独「アーサー…すまない、悪かった。」 ルートヴィッヒは、申し訳なさそうな顔で謝罪をする。 英「べ、別に気にすんなよ…今回は呑み過ぎて寝てしまった俺も悪かったんだからな…」 アーサーも、申し訳ないという顔をする。

2013-10-14 00:44:13
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英「手帳落としたのは不祥事だけどな。けど上には報告しないでおいてやる。…べ、別に俺まで連帯責任負いたくないだけであってだな…」 独「…そうか、ありがとう。」 英「そっ…それはこっちのセリフだばかぁ…あの弁当、なかなか美味しかったぞ。」 

2013-10-14 00:47:53
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独「……え…」 ルートヴィッヒは、少し驚いたようにアーサーを見つめる。 英「あんなうめぇもん、一度も食ったことがないってぐらい…嬉しかったんだ。…これが愛妻弁当ってやつなのか?」 アーサーの素直なコメントをそのまま聞いていたルートヴィッヒは、恥ずかしそうに顔を赤らめて震え出す。

2013-10-14 00:53:34
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英「だから…また作ってくれよな!俺の相棒!」アーサーは有りったけの満面の笑みで照れる彼を見つめる。 独「…あ、ああ。………分かった、また作る…」 最後の言葉は小声だったが、その言葉はアーサーにはしっかりと届いていたようだ。

2013-10-14 00:59:19