大罪大戦WoS:第一戦闘フェイズ【第二の扉】

第二の扉 紅の傲慢【 @nigayuki_sin_k 】 対するは 黒の怠惰【 @sin_meiji 】 演者よ踊り、紡げ
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黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

扉の向こうに広がる世界に、懐かしい空気を感じてほんの少しだけ龍の目が開かれた。 元は石像とはいえ彫刻家の作り上げたバランスは完璧。その翼をはためかせて飛び立つと見通しの良い柱の上に陣取った。 鼻先を上げて空気を嗅ぐともう紅の匂いは届くだろうか。気にせず瞳を伏せてうとうとと微睡む。

2013-10-10 11:23:58
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

それはかつての城を護るガーゴイルそのまま、風景に溶け込んで好戦的な気配もない怠惰が微動だにしなければそれが動くことも見抜けるかどうか。 長い尾だけが柱から垂れ下がり時折吹く風にゆらりと流れる。 この空気は嫌いではない、心地よく眠れそうだ。

2013-10-10 11:24:05
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

大理石の床。過去の記憶の再現か。 「……逃げた、か」 敵は、いなかった。 「帰るか」 振り返る、扉、無い。 ――――どこに、居るのだ! 振り返り前後に剣を持つ。 壁はない。大きな柱。天上。彫刻。赤い絨毯。黄金の鏡。 露わになる、警戒心。遅れをとったいう羞恥心。切っ先が、震える。

2013-10-10 13:13:41
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

石の眠りは夢を見ない。 見るとすれば創造主の目が見ていた自分の姿。 ――ぴり、とその睡眠を邪魔する意識が紛れ込む。男の声、警戒する音は紅のものだろう。 この場所に存在できるのは黒と紅の二つだけなのだから。

2013-10-10 13:21:56
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

ぐらりと柱の上の石像がゆらいで、男の傍に落下する。 「――待っていたのだ、貴公を」 床に落ちて石が砕ける瞬間、声だけがその場所に響いた。

2013-10-10 13:25:19
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

捉えた。いや、偽物。気配が、違う。コレではない。砕けた石から視線を外す。 「俺も、待たせている。帰ると、約束したからな。死ぬのが怖くないのか。ま、考えておけ。俺に殺されるのは、嬲り殺しか、一瞬か」 自らの首の下で剣を交差させる。 「選ばせてやろう、初戦の相手だからな、特別だ」

2013-10-10 14:10:23
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

「 『帰 結』 」 声と共に砕けていた石が元の龍の姿に、戻った。これが罪科のちから、全てを元通りに戻す単純なもの。 「随分と余裕の見える、良いことだ」 「しかし」 「どこを向いている?わたしはここにいるぞ」 鼻で嗤う声、目の前の男の光る剣先に硬質な尾を添えて己の顔に向ける。

2013-10-10 14:21:08
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

再生能力。殺せるのか、疑問を抱く。 「なあ、お前は、死ぬのか?」 神経の電気信号を増幅。人並み外れた筋力を、肉体保護のための制限を外して剣先を怠惰の鼻面に突き出す。 薄っすらと、半ば自発的に敵の戦術に『嵌って』いるのではと疑念を抱いていた。 「随分と余裕じゃないかよ、お前!」

2013-10-10 14:31:21
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

「選ばせてもらおう、わたしが貴公の首と帰る道を」 突き出された切っ先、滑らかに磨かれた石の上で滑って一閃を残す。それもすぐに消えてしまうのだけど。 「さあ?死んだことが無いからわからない」 「ただ」 「少しだけ眠いのだ」 金の鎧は、まるで誰かを思い出させる色をしていた。

2013-10-10 14:37:09
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

「そりゃあ、無理だがな。俺は戦いでは、死なない……ッ」 次はもう片方の剣を横薙ぎに振るう。同時、左手の浅手だけだった剣を傲慢の後方まで引く。後方への防御を考えておくべきだ。こうまでして己を攻撃に晒し続けるには何か戦術単位の『理由』が無ければならない。でなければ、『傲慢』も甚だしい

2013-10-10 15:03:48
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

「首だけ落として持ち帰るか?それも良し」 横薙ぎの一線は石像の首を落とすのには十分な威力、なるほど力強い相手だ。 そんなまやかしの勝利で誤魔化されてくれる相手でもないだろうが。 「ところで、貴公はなぜ此処へ?」 地に落ちた首ではない場所から、声が響く。

2013-10-10 15:14:57
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

「勝っ……そう甘い相手ではないか。ふうん」 右手の剣を肩にかけ、左足を半歩引き、背後を見遣る。自分が奇襲を仕掛けるとしたら、慣らした後に死角を突く戦法を採る。それは、させない。 「勝つためだ。勝てば地位が一つ上がる。俺は生まれてからずっとそうやって来たよ」

2013-10-10 15:32:06
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

ただ目標一点のみを目指し突き進むのは、黒の傲慢の性質にも似ていた。 あの少女と、この男が出会わなくて良かったとも。 「果てのない階段を永遠に登り続けるのは、さぞ疲れるだろう」 首のないまま背の翼が開いて羽ばたく。 「少し休んではどうだ?残されたものが貴公を呼んでいる」

2013-10-10 15:46:26
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

「俺は、俺の栄華を、行使し、上り詰める。それが全てだ。だが、果てがある。今見えている果ては、唯一の『傲慢』。幾つもある『傲慢』を、踏み抜き、『唯一の傲慢』を踏み締める」 腕の神経に電気を流し、剣を振り下ろした。首から胴の真中までを二つに切り裂くために。

2013-10-10 15:56:47
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

「ならば仕方ない、孤高の王よ」 王と呼びながらも哀れな男に見えた。比べてしまうのは、紅に『奪われた』という先代の男と今の傲慢の姿。 振り下ろされる太刀筋を回避しようと選んだのは羽ばたく勢いを使って相手の懐へ入ること。 大きな頭が無ければ動きも早く間合いも詰められるだろう。

2013-10-10 16:06:16
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

何か、不確かな音がした。手応えは……こういう手合いを切るのは初めてなので、よく分かっていない。だが、これは違うと――。 「唾に当たっていた……ッ」 ならば、回避に成功した目標がすぐそばに、いるはずだ。

2013-10-10 16:16:13
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

手首の神経にありったけの集中力を回して剣を放り投げ、刀身を握って切っ先を胴めがけて振り下ろす。握る手から血が溢れていた。 「こんな奴食えねえよ!!」

2013-10-10 16:16:19
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

傷が増えるのは気にしない、というより痛みもない身には意識にない。 あるのはこの男をどうやったら寝かせられるのかという一点のみ。 背から胴へ、男の血で滑る刀身が埋まると同時に前足を男の鎧にかけて、後足を前へと進める。

2013-10-10 16:23:21
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

だらんとなった指を知覚。胸板を足蹴にされたのを理解する。 傲慢の『剣技』は、”触れられてからでは遅すぎる”。 口から盛大に血を吐き出した。同時、緩まった右手から剣が零れ落ちる。 「……舐めるなよ、ソーユィ。勝ちしか描かんさ、チィートゥー」

2013-10-10 16:33:14
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

左手の剣の柄に、右手も添える。電気信号を強化して無理やり指を使役する。だが、緩い。両手剣は片手で持てないから、両手剣なのだ あとはもう、無策で無謀に、切って、切って 「帰るぞ、勝って、紅茶を!」 それしかない。考えが纏まると、力を込めて怠惰へ駆ける。今度は自ら距離を詰めて。

2013-10-10 16:33:43
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

地にある頭が、傲慢をじっと見つめている。 「それは紅の名前か」 黒と同じように七人居るのだろう、だからといって目の前の男を射止めないと話は進まないのだけど。 駆け寄る傲慢を体ごと弾こうと、反射的に身体を捻り長い尾を振り上げた。

2013-10-10 16:47:22
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

振り上げた尾を上から抑え込むように剣で受け止めた。完全な受けを成立させ、さらに距離を詰める。剣は接触箇所から動かせず、回転していた。 「ああ。俺の、友達だ。皆生きて帰ってくるのに、俺だけ帰らなかったら、恥ずかしい奴だと思われてしまうだろう」 それは、嫌だな。 「だから、勝つさ」

2013-10-10 16:57:44
紅の傲慢(アオマン) @nigayuki_sin_k

右手を捨てると決心し、身を翻し怠惰へ背を向ける。右手で尾を握りこんだ、固定するために。尾から剣を引き剥がして背を向けたまま、剣を振り下ろす。前左足を切り落とすために。

2013-10-10 16:59:32
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

「友達」 なんとも似合わない単語を口にする傲慢に頭が嗤った。 「恥じることなど、一つもない」 紅は無くなるのだ、友達ごと全て葬れば仲良しごっこは続けられる。

2013-10-10 17:18:12
黒の怠惰 オクネーリア @sin_meiji

振り上げた尾は受け止められ鎧に留められたマントがダンスをするように翻る。 剣先が振り下ろされるのと同時に羽ばたきながら両方の後足で男の胴へ向けて蹴りを繰り出した。

2013-10-10 17:21:37