#僕の彼女の自傷癖がヒドい件 一話 

第一話「承前」 白色雑音 (@nonogahi)さんの小説のまとめです
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白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「ねえ………?」 彼女の声。 少し掠れた、どこか空虚で、印象に残らないその声。 そして、彼女の手が、僕の手に重ねられる。 「ねえ、あなたは恋人って、いる?」 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:19:18
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

顔を上げる。 目が合う。 彼女―――仮に『K』としておこう。 Kが泥沼色の瞳に好奇心を溢れんばかりに湛えさせていた。 僕は少しばかり落胆せざるを得なかった。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:20:31
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

だって―――僕とKは恋人のようなものだとばかり思っていたが、どうやらKの方ではあまり、どころか全くそうは感じていないと、その質問から察することが出来たからだ。 元い、自分でも自信がないのは分かっている。#僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:21:53
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

自分でも『恋人のような』だなんて言い切れていないのがその証拠ではないか。Kが、僕の反応を窺うように首を少し傾けた。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:24:28
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

の、雨に打たれた毒花が、らしくもなくうなだれているような仕草に、それを手折ってやりたい衝動を覚えながら――― 「藪から棒だね?」 ―――僕は答えた。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:24:49
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「藪から棒よ?いつだって私は思い付きで行動するのだもの」 僕は肯いた。 「そうだろうね、そうでなきゃあ―――」 重ねられているKの左手に目をやる。 彼女を認識した時と同じ。 Kのその手に、僕は魅入られたのだ。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:25:27
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「あら、これ?」 Kはス―――と手を引き、白いタイが揺れる胸元にやると、一歩下がり、そして右の手で隠してしまった。 「これは、前にも話したような気がするけれど、私には珍しく、よーく考え―――」 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:26:35
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

Kは夜の驟雨のような黒髪を揺らしながら僕に背を向けると何かを探すよ うに俯いたそののち、何かを思い付いたようで――― 「―――そう、ジュッコウしたのよ?」 ―――そう言いながら肩越しに振り返ると、指を一本立てて白い頬を、突付いてみせた。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:27:17
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「そうかい」 「そうよ?」 「OK、一応質問には答えておくけど―――」 と、僕は区切って、 「―――いる訳ないだろう?君がいるんだ」 「………それは悪いことをしたわ」 言葉とは裏腹に、どこか楽しそうな音色を奏でながら、Kは微笑った。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:28:04
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

だが、口調はすぐに戻った。 「私みたいのがまとわり付いていては恋人のひとつもできやしないわよね ?」 空虚な、音色。 すぐに霞んで消えてしまう、それは白い雑音のように。 「それではもう一つ聞きたいのだけれど―――」   #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:28:40
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「―――あなたは私のことをナンだと思っているの?」 僕は幾許(いくばく)かの逡巡の後――― 「僕は君の事を恋人にしたい、と思っている」 ―――ついに言った。  #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:29:13
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

意外にも、これは縁(ゆくり)なし、と言った貌を見せて 「それは無理だわ、ごめんなさい」 Kは再び僕の手の上に自分の左手を重ねて、掴むと指を絡ませ―――  #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:29:47
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「『恋』だなんてどんなに乞われても難しいわ。だって私はあなたとこそ 、『変』になって、壊れてしまいたいのだもの。」 ―――絡まなかった。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:30:17
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

Kが挿し入れた彼女の指はあまりにも短かった。 その左手の薬指には第二間接から先がなかった。 【第一話 完】  #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-12 02:30:35
石橋トモ(まんどらごらP) @isibasitomo

【宣伝】「白色雑音」のアカウントhttps://t.co/dgmuJMqnA0で短編小説「僕の彼女の自傷癖がヒドい件(仮) 略称・ののがヒ(仮)」を書き始めました。第二話は月曜深夜に投下予定です。 #僕の彼女の自傷癖がヒドい件 #ののがヒ

2013-10-14 09:06:29