イザヤ・ベンダサンbotまとめ/三島由紀夫の”認識誤り”とは/~山県大弐の「柳子新論」と三島由紀夫の「檄文」の不気味なまでの類似性~

イザヤ・ベンダサン著『日本教について』/実体語と空体語のバランス/『柳子新論』について/34頁以降より抜粋引用
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イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

①【『柳子新論』について】この著作はおそらく西暦1758年頃書かれたと思います。 正確な年代はわかりません。 というのは山県大式はこれを「発掘文書」として公刊したからです…。<『日本教について――あるユダヤ人への手紙――』

2013-10-26 23:39:57
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

②なぜこういう方法をとったのか、 ある人は時の政府の弾圧を恐れたからだと申しますが、これは間違いと思います。 …最終的には処刑されたのですから、理由は、おそらくこの書を権威あるものとするためであったと思います。

2013-10-27 00:39:51
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

③彼は…その第一編の冒頭を 「物には形がなくても名があるものはある。 (だが)形があって名がないものは未だかつてあったことがない。 (従って)名だけであって良いものがあろうか」 と述べていますが、(続

2013-10-27 01:39:50
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

④続>そこでいきなり政治論となり、この言葉がすぐさま、 当時の日本が、実権のない名目的君主と、名目的には君主でなくても、実際には君主であるもの、の二者があり、これは正しい状態ではない、 という主張に移ります。

2013-10-27 02:39:50
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑤ついでそれがどのような形で、全てを曲げているかをのべ、更にそれが一般人の思想や生活をどのように堕落させているかにまで言及し、最後に様々の知識、学問を云々するよりも「正しい秩序の通りに行なわれる事が正しいのだ」という事を知れば十分である。

2013-10-27 03:39:46
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑥そうすれば日本中の様々の難しい事は、全て終るであろう、 と結んでおります。 …ここでは後で三島由紀夫氏の『檄文』と対比しつつ、両者に共通したその発想の基盤を探る時に必要に応じてその内容にふれる事にして、すぐに、これに対する松宮主鈴の反論(というより批評)に移ろうと思います。

2013-10-27 04:39:52
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑦主鈴はまず、この書は山県大弐の著作であろうとのべ、今は世の中が平和で、全ての人が(天皇も含めて)それを喜んでいるのだから、それをおめでたいと言わないものがあるだろうか――といって暗に大式の論述は無意味だという態度をとっています。 しかし正面から反論をしている訳ではありません。

2013-10-27 05:39:45
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑧この…批評は、今でも日本人がよくやる批評ですが、大弐はこれが非常に不愉快であったと見えて、手紙を送ってもう一度自己の主張をのべ 「あなたまで、婉曲にものを言うのか。 私は、正しい原則にもとづいて、すべてを論じたいと思っているのだ」 とのべています。

2013-10-27 06:40:10
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑨これに対して松宮主鈴は更に手紙を送って、全ては自然のなりゆきで現在に至ったので、天皇も安泰であり、立派な官殿も造られたではないか。 徳川家康を称えた桜町天皇については 「東照神君が、下を鎮め上を仰ぐの功勲、永く矢(ちか)ひてわするべからざるの勅諭あり」

2013-10-27 07:40:09
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑩――ああ何と時勢をよく知る立派な天皇であろう、 すべての人がこれで良いとしているのだから、それで良いではないか、 とのべています。 主鈴は反論していません。

2013-10-27 08:40:22
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑪彼の態度は、まさにこの手紙のはじめにのった態度、 「自衛隊は必要だ。だがしかし、自衛隊は憲法違反であるといえる状態も必要」 というのと同じで、 「将軍の政治は必要だ。だがしかし、将軍の政治の存在は『憲法』違反だといえる状態も必要だ」 であったのです。

2013-10-27 09:40:13
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑫従って彼は、後世の思想史家によって、山県大式と同じ国粋主義者のグループに入れられており、また、彼(主鈴)の意見は、当時のほとんどすべての学者に共通した意見であるとされています。

2013-10-27 10:40:01
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑬三島由紀夫氏のあやまりは、今のような状態は戦後の日本のみのことであって、昔は(といってもわずか26年前の戦前は)そうでなかったと考えたことでした。 私が、三島氏はおそらく『柳子新論』は読まなかったであろう…とのべた理由はこれです。

2013-10-27 11:39:56
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑭氏のような天才的な人がこれを読んで、ここに現われている世界と戦後日本の世界との、不気味なほどの類似点に気づかないはずはない、 と私は思うからです。 だが私は、余りに大きな問題を論じはじめたようです。

2013-10-27 12:39:59
イザヤ・ベンダサンbot @Isaiah_BenDasan

⑮そこで、三島『檄文』は次にゆずりましょう。 次便までの間ちょっとお考えおきください。 この天秤の世界に、神が住みうるかどうかを!

2013-10-27 13:39:58