ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/11

ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 私は踏み切りの電車待ちで子供を乗せた自転車に視線を止める。うれしそうに子供が叫んでいたからだ。「トイレの匂いだ。トイレの匂いだ」連呼する子供。たぶん金木犀の匂いのことなのだろうと私は思った。バーが上がると彼を乗せたお母さんの自転車は猛スピードで飛び出して行った。

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

#twnovel 「モテない男ゲーム」が発売された。主人公がフラれたり、好きな子を友人に取られたりするのだ。誰が買うんだと思われたが、モテ男達がモテない男体験をするために遊ぶようになった。するとそこまでモテない男も自分はモテると見栄をはるために買いだして、大ヒットになった。

ゆう @yukiririkiriri

#twnovel 星を育てることが、国から義務付けられた。大きく、明るい星を育てて、都会の夜空に放つんだ。星と言っても、赤ちゃんの頃は、ミルクを飲ませたり手がかかる。手塩にかけた星たちが、明るくいつまでも輝けますように。実施から数年。どんより濁っていた都会の空気が、澄み渡り始めた

みもとりも @mimoto_rimo

#twnovel 俺は思わずユカを押し倒してしまった。日も暮れて暗い教室で。けれどこの先どうしたらいいんだ。俺の下で不思議そうに見上げていたユカが急に俺の頬を舐めた、犬みたいに。「手品」とユカが笑った。俺の中で何かがボンッと爆発した。

泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel その日僕らは山荘風の美術館に行ってシャガールの絵の前で色欲について論争したり、二度と食べたくないと思える餃子を食べたり、少しばかり冒険してアナルセックスをしたりしたのだが、彼女の感想は「待ち合わせ場所にいた猫、可愛かったね」の一言だった。僕もずっとそう思ってた。

ウキヨ @53A8B7

「折ったの？」「折ったよ」頷き合い、足の腫れあがった大人を見下ろす。「ボクら、こうして命の大切さを知るんだね」「ちょっと乱暴だけどね」小さな悪魔の邪魔をしてはならないのだ。僕らは同じ顔に同じ微笑みを浮かべ、同じ引き金を引いた。「祈ったの？」「キミと同じだよ」 #twnovel

雨之森散策 @t_amamori

「お前いいよな」「は？」「俺が疲れててもお前愚痴聞かせるじゃないか」「…我慢してたのね」「分かりゃいいよ」「よくない。あんたが我慢してるのと同じで私も我慢してる。あんな愚痴、愚痴の内にも入らないわよ。今から真の愚痴を聞かせるからそこ座りなさい」「俺が悪かった－」 #twnovel

ONEP @mini_humbucker

喋る自動販売機の中の人のバイトに応募した。日本語、英語、中国語、ポルトガル語、関西弁、名古屋弁、それから女声と声帯模写が出来るのが標準スキル。参加者の殆どは出来なかったが、私と2名の参加者が通過した。二次選考、「森進一の自販機やります」と言ったら不合格になった。 #twnovel

蒼井清志郎 @401kiyoshiro

#twnovel ある夜3人の小人が現れ願いを叶えると言うので、台所の片付けと携帯充電とマッサージをお願いした。翌朝、小人Aはシンク内で溺死。小人Bは携帯横で感電死。小人Cは寝返りうった俺の重みで圧死かと思いきや、俺のシャツに平面小人となってはりついて、どっこい生きていた。

@uo_uo_uo

#twnovel 寒さで目が覚めた朝、トーストをかじって、ミルクたっぷりの紅茶を啜りながらぼうっとしてみる。外から雀の鳴き声が微かに聞こえ始めて、朝食の匂いに誘われて彼が起きてきて、おはようって言い合いながら、子供みたいなキスをして。体が少しずつあったまってきた。

穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel 友達の挙式、僕はTwitterでその模様を実況した。同じようにツイートしてる人がいた。「ドレス可愛い」「新郎優しそう」新婦側の出席者らしかった。思い切って話しかけてみた「もし良かったら、今度お茶でも」。しばらくして返信があった「新婦の母ですが、それで良ければ」

҉A҉ a.k.a ҉A҉ @4x1h170fh41vlvl

生まれた時から牢の中だった。そこには多くの囚人が暮らしているが冷たく暗い気候だからか皆一様に渋い顔をしていた。けれど、誰も不満を言う人間はいなかった。なぜなら全ての囚人がここで生まれ育ったため外を見た人間はなく、そしてここが安住の地だと教え込まれていたからだ。 #twnovel

140字物語 @shortshortshot

20××年、地球は多数の宇宙船に包囲され、遂に銀河帝国の属領となった。地球全体に不安と恐れが沸き起こる中、某国の民衆は大統領に質問した。「大統領、これから地球はどうなってしまうのでしょう？」大統領は答えた。「そうだな、まず一番大きな変化は住所が変わることだろう」 #twnovel

altana @altana

アニメキャラがプリントされた抱き枕の中にもぞもぞ潜りこんで彼の帰りを待つ。躰を締めつける二次元の彼女を傷つけないように身を縮こませる。彼のPCの中にいる彼女の人格を心の中で反芻しながら、どのように彼に振る舞うか計算する。出来うる限り私は私を忘れなければならない。 #twnovel

八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は深い紺碧の瞳をしていた。見つめていると吸い込まれそうだと思った瞬間、彼の身体は宇宙空間を漂っていた。幾多の星雲を越え無数の星を追い越して暗黒の彼方に青い地球を目撃する。気がつくと路地裏で、青いビー玉を覗いていた。 #twnovel

Mark @Marknovel

#twnovel あなたはシンデレラでしょう。本当の事を私に話して下さい。本当は王子を騙して贅沢な暮らしがしたかったんでしょう。さあ、真実を語る時が来たのです。諦めてこの靴を履いて見て下さい。極刑にはしませんから。彼女はゆっくりと靴を履くと使いの顔を睨みつけ思いっきり蹴り上げた。

高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕（宝島社文庫）」より発売中 @Takuya11

#Twnovel 二歳の息子が言う事をきかない。積み木が私の顔に当たった時つい息子を殴った。一度殴ると癖になり自分に嫌なことがあっても、躾と称して息子を殴るようになった。ある日、高層マンションのバルコニーで夜中煙草を吸っていると入り口が閉まる音がした。部屋では息子が笑っている。

ゴゴゴゴゴ ( ´ω`) ＵＲＹＹＹＹＹ @asinaga_ossan

彼女は「一緒に帰ろ」と誘ってきた。帰路彼女は「クラスに好きな子いるの？」ときた。いるよと答えた。「○の好きな子誰～□でしょぉ～？」「違うよ」「じゃあ△かなぁ？」「違うよ」ついに彼女の名前しか残らなくなった時、彼女と俺は同時に赤面し残りの帰路二人言葉も無く帰った。 #twnovel

中村ヘボピー @hebop_

「昔に比べると本当に公共事業って減ったよな。ホント商売あがったりだ」「仕方がないさ、昔は怪獣が週に３体、怪人が５人は現れて破壊活動を行ってたからな、災害復旧やビルの建て替えには事欠かなかった。あの頃のような好景気はもう無理だろうな」 #twnovel

鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

閉園も間近の遊園地を彼と並んで歩く。今日はすごく楽しかった、ありがとう。そう云う彼に、こちらこそ、と答える。微妙な距離感がくすぐったい。後一つエリアを越えたらもう出口だ。好きなんだ。足元で落ち葉がかさりと鳴る音に重なるように聞こえた告白に、こちらこそ、と答えた。 #twnovel

夢名 七志 @mumei7c

指先のICチップ。「魔法と見分けが付かない」とはよく言ったものだ。改札は指を振るだけで開く。レジを指挿すだけで支払いができる。エレベータに乗れば自宅の階に止まり、玄関はノブを握るだけで鍵は不要。生体認識なので盗用も無い。問題は指ごとに引き落とし日が違うぐらいか。 #twnovel