オーズ・ディケイド・平成ライダー 火を噴け!十二人ライダー 06

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=993239 pixivの方で掲載している仮面ライダーオーズの二次創作です。以前掲載していたWの二次創作( http://togetter.com/li/462856 )との関連性は全くありません。 pixiv掲載版とこちらでは若干タイトルが異なります。 前 http://togetter.com/li/570515 続きを読む
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イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「安全策を取るのも一手だが、それが回り道になるとしたら、俺は迷わず危険な道を行く。考えてみりゃあ、こんなもんただの通過点に過ぎねぇンだ。幹部ぶっ潰してゲン担ぎにでもしてやらあ。安心しろよ里中。俺もあいつも仮面ライダーだ、負けやしねぇさ」

2013-11-01 21:12:26
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 二人の男の決意を込めた眼差しと熱い言葉に、里中もとうとう折れた。彼女は映司に向かって軽く頷き、長く伸びた後ろ髪を髪止めで括った。 「お二人に従います。けどちゃんと帰って来てくださいよ」 「勿論」 「誰に物言ってンだ。俺たちは通りすがりの仮面ライダーだぜ」 「……俺も、ですか?」

2013-11-01 21:15:31
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 ――たのもーう!  威勢の良い掛け声と共に、出入り口のドアを開け放し、クスクシエに入店する映司。里中と士の二人は店の前で待機。彼が中の怪人の隙を作るのを待って、店に飛び込む算段だ。

2013-11-01 21:40:08
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「はぁあ、また挑戦者の方ですか? 言いにくいんですけれど、止めた方が……」  歳不相応な程露出度の高い、派手なレースクイーン衣装を纏った女性は、映司の顔を見て声を上げた。彼女こそクスクシエの店長・白石知世子《しらいし・ちよこ》。コスプレ好きの気のいいお姉さんだ。

2013-11-01 21:42:44
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 映司の姿を見込んだ知世子は、目に一杯の涙を溜めて彼に抱き付く。 「あぁあ、映司君! 今まで何処に行ってたのよう、もう! 帰って来てくれたのね、ねっ!?」 「ろくに連絡も出来ないですみませんでした。それより、知世子さんはここで、何を?」

2013-11-01 21:44:15
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「見て分かるでしょ? 腕相撲のレフェリーよレフェリー。あたしだけ牢屋じゃなくて、ここで審判をやらされてるのよ、“あのコ”の命令でね」 「あの……コ?」

2013-11-01 21:49:51
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 映司は知世子の指差す方向に目を向ける。店内中央、豪勢な五人掛けソファの上にふんぞり返って眠っていたのは、襟元がだらしなく垂れ下がった灰色のティーシャツを身に纏った、映司よりもずっと若く、強い癖っ毛の少年だ。彼は二人の声で目を覚ますと、気だるそうに欠伸をし、彼らの方へ首を向ける。

2013-11-01 21:50:15
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「……挑戦者? さっき一戦やったばかりで眠いんだ。後にしてくれないかな」  映司は少年の風貌に戸惑いつつも、拳を堅く握り締め、感情を抑えて声をかける。 「どんな奴の挑戦でも受けるんだろ。俺とも勝負してくれよ。まさか、逃げるの?」

2013-11-01 21:53:06
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「安い挑発だねェ」少年は軽く首を鳴らして起き上がる。「あんまり舐めた口利くようなら、潰すよ?」  映司は改めて少年の顔を見据える。人を殺すことに何の躊躇いも感じさせない、薄気味の悪い目をしている。話し合いでなんとかなる相手ではない、勝って精神的に屈服させなくては。

2013-11-01 21:58:00
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「怖いなぁ、そんな顔しないでよ。腕相撲がしたいんでしょ? いいよ、受けてあげる。キミで丁度“五十人目”、だしね」 「五十人? 何が五十人目なんだ」 「僕の勝ち数さ。いや、僕に倒された数――、って言った方が分かり易いかな?」

2013-11-01 21:58:43
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 少年はそう言うと、碌に歯磨きをしていないであろう、形の歪んだ永久歯と、ぼろぼろの歯茎を見せてにやりと笑った。その笑いに嫌なものを感じ背筋が震えたが、ここで気圧される訳にはいかない。映司は少年に先んじて台の上に肘を乗せ、先程よりも鋭い目付きで彼を睨んだ。

2013-11-01 22:03:48
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「やる気満々だね。ずいぶんと細い筋肉だけど、キミ、そんなもので僕に勝てるの?」 「御託を並べるのは勝ってからにしてもらうよ。やるならやるで、とっとと始めてくれ」

2013-11-01 22:04:39
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「ははは、つまらないなあ」少年は映司を鼻で笑った。「そういう台詞を吐いた奴、君でもう二十人目だよ。他の奴らはみんな、死んじゃったけどね」 「脅したって無駄だよ。君にだけは絶対に……、負けない」 「うるさいなぁ。分かった、分かった。おねーさーん、審判、おねがいねェ」

2013-11-01 22:05:07
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 少年は知世子に審判を任せると、台の上に肘を乗せ、映司の右手を強く握り締めた。子どものものとは思えない程の力が重く圧し掛かる。 「ルールの説明をするわよ。そのままがっちりと握って引っ張り合い、手の甲が台に付いた方が負け。肘を浮かせたり、台の外に出したら反則負けよ」

2013-11-01 22:09:14
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「分かってるよ。早く吹いて、ホイッスル」 「俺も問題ありません。合図をお願いします」  知世子は苦しそうな顔をする映司に不安を覚えるも、少年に促されて試合開始のホイッスルを吹き鳴らした。その華奢な体からは想像もつかないが、少年の力は圧倒的で、映司の手は瞬く間に押し込まれて行く。

2013-11-01 22:14:33
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「だから言ったじゃない。そんな細い筋肉で、僕に勝てると、本気で思ってたの? もういいや、さっさと勝負、決めさせてもらうね」

2013-11-01 22:18:26
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 少年は止めだと言わんばかりに右腕に力を込める。映司の手の甲が台に付くまで、もう三センチもない。少年が勝ち誇った顔で笑い、知世子がもう駄目だと目を伏せたその時、その場にいた誰もが予想しえない、不思議なことが起こった。

2013-11-01 22:18:41
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 少年は映司を追い詰めていた筈だ。だのに何だこれは。逞しく膨れ上がった映司の右腕は瞬く間に少年を押し返し、逆に台ぎりぎりまで追い詰めているではないか。 「言った筈だよ」目を血走らせ、額から血管が浮き出るほど踏ん張りつつ映司が叫ぶ。「君にだけは、絶対負けないって!」

2013-11-01 22:21:12
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 映司のズボンのポケット、その中に収まった『キバ』のメダルが、彼の感情に呼応するかのように熱を発して輝いている。『キバ』の“使用者の力を解放させる”能力が、映司の体の中のリミッターを外し、常人以上の力を彼に与えているのだろう。

2013-11-01 22:24:44
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 少年は訳が分からなくなった。追い詰めていたのは自分のはずなのに、気が付けば追い詰められる側になっている。こんな馬鹿な話があるか。人間如きに負けてなるものか。少年は薄ら寒い笑みを見せ、肘から腕へ、腕から手へと灰色の不気味なオーラを生じさせた。

2013-11-01 22:25:10
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 灰色のオーラは少年の腕を通り抜け、映司の腕へと取り憑いた。映司の右腕が徐々に灰色に染まって行く。あの男が殺された時と同じだ。映司は自身の手に起こる異変に気付くも、今更どうすることも出来ない。オーラは映司の右腕の肘まで浸食し、彼の腕を灰へと変える、筈だった。

2013-11-01 22:30:23
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 映司の右腕は灰色のままで、今尚形を保っている。どういうわけか、オーラと腕との間に何かが挟まって、浸食出来ないでいるのだ。少年は何故なのかと彼の腕をじっと見つめる。少年は自身が発したオーラと腕との間に、火花を散らして巻き付く“雷”が生じているのに気が付いた。

2013-11-01 22:31:47
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 映司の腕から生じた雷は灰色のオーラを掻き消すと、手を組み合う少年の体に伝わり、彼の体を数万ボルトの電流が襲う。  少年の力が緩んだ。これを勝機と見、映司は頭の血管がはち切れんばかりの力を込める。少年の手の甲は台に激突し、それでも勢いを殺し切れず台をも砕いて床に叩き付けられた。

2013-11-01 22:35:16
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「どうだ、勝ったぞ! さあ、捕まえた人たちを解放するんだ!」  右肩を脱臼し、目に涙を溜めて歯を食い縛る少年を見下ろし、捕まえた人々を解放するよう要求する映司。少年は外れた肩を自力で入れ直すと、大粒の涙を流して、鼻声で思い切り叫んだ。

2013-11-01 22:36:54