#鳳翔の艦娘講座 ~番外編 キスカ島撤退作戦~

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鳳翔 @Housyou_kankore

そんなときは、かの木村提督が仰った「帰れば、また来られるからな」の言葉を思い出して下さい。 と云う事で、行ってみましょうか。 本日の #鳳翔の艦娘講座 番外編は、奇跡の作戦と呼ばれたキスカ島撤退作戦です。

2013-11-02 11:46:01
鳳翔 @Housyou_kankore

キスカ島とは、アリューシャン列島のほぼ中央に位置をする小島です。 近傍にはあの玉砕で有名なアッツ島、北を見ればベーリング海、東に目をやればダッチハーバー、更に東はアラスカ、と云う配置になっています。

2013-11-02 11:47:52
鳳翔 @Housyou_kankore

そもそもなぜ日本軍が、この北の果ての戦略的に見ても必要かを悩みそうな地域を占領するに至ったかと云いますと、単純に「陽動」の為でした。 この地域の占領は、ミッドウェー海戦と同時に行われていまして、海軍はミッドウェー海戦を決戦の場と決めていまして。

2013-11-02 11:50:16
鳳翔 @Housyou_kankore

その為、米軍の目をミッドウェーからそらすためにキスカ・アッツを攻略したと云う訳です。 一方の米軍側も、この地域は戦略的に余り意味が無い地方だった為か、陽動作戦は成功してキスカとアッツを日本は占領。小さいながら拠点を築く事になります。

2013-11-02 11:54:27
鳳翔 @Housyou_kankore

しかしながら、米軍側にこの2島が占領された事が判明すると、次第に空襲などが増えてきます。 そして1943年5月、米軍はついにアッツ島に対して上陸作戦を敢行。 日本側は頑強に抵抗しましたが、4倍以上の戦力差には叶わず、玉砕してしまいます。後に云いますアッツ島玉砕です。

2013-11-02 11:57:18
鳳翔 @Housyou_kankore

さて、位置的に見ますとアッツ島はキスカ島より西に位置します。 つまりこの時点で、キスカ島は地勢的には敵中に孤立してしまった事になります。 むろん、海がある訳ですから完全な孤立ではありませんが、制空権が取られた状況では補給もままなりません。

2013-11-02 11:59:15
鳳翔 @Housyou_kankore

元々、この2島はミッドウェー海戦後の1942年9月には撤収する予定でした。 ところが、駐留部隊を越冬させ北方に移転するとか、増強して橋頭堡にするとか、陸海軍で意見がまとまらずにごたごたすると云うお約束の事態が発生していました。

2013-11-02 12:00:40
鳳翔 @Housyou_kankore

その結果、アッツ島は撤退の手を打つ前に玉砕と云う結果を導いてしまったとも云えます。 アッツ島の守備隊が戦っている1943年5月20日の段階で、大本営はアリューシャン方面の放棄を決定、これをうけ、まだ米軍が上陸をしていないキスカから守備隊を撤退させる事が決定されます。

2013-11-02 12:02:50
鳳翔 @Housyou_kankore

当初、キスカ島からの撤退作戦は水上艦艇では無く潜水艦を利用して行われる事が決められました。 本来こう云う撤退作戦は水上艦艇の一気投入で行うのが最も効率が良いのですが、海軍がその前のソロモンの戦いで多数の駆逐艦を失っていて、これ以上駆逐艦を失いたくないと云う思惑もあったようです。

2013-11-02 12:05:15
鳳翔 @Housyou_kankore

第1期にあたります潜水艦での撤退・輸送作戦は1943年6月から開始をされます。 ですが、潜水艦は小型艦故に1隻で一度に運べる人員は多くて60人程度。加えて、米軍のレーダーを初めとした厳重な警戒網のため、1回目で伊24ちゃん、2回目で伊7ちゃん、伊9ちゃんが撃沈をされてしまいます。

2013-11-02 12:07:43
鳳翔 @Housyou_kankore

成果の割りには損害が多く、効率も悪いと言う事もあって、潜水艦による撤退・輸送作戦は結局その2回で打ち切られる事になりました。 それを受け、第2期として水雷戦隊による輸送作戦が立案をされます。 第5艦隊第1水雷戦隊を中心として、着任したばかりの木村昌福少将が指揮官で行われます。

2013-11-02 12:11:27
鳳翔 @Housyou_kankore

しかしながら、水雷戦隊が堂々と正面から向かったのでは、米艦隊と戦闘になるのは明白です。 そこで、アリューシャン特有の濃霧に紛れてキスカ湾に突入、守備隊を素早く収容して離脱すると云う計画が立案をされます。

2013-11-02 12:14:02
鳳翔 @Housyou_kankore

成功の鍵は二つと云われていました。 一つは先程云いました濃霧。都合良く霧がかかる事が望まれます。 当時、濃霧の中を空襲出来る飛行機は、世界の何処を探しても居ませんでしたから、この条件が必須となった訳ですね。

2013-11-02 12:16:12
鳳翔 @Housyou_kankore

もう一つは、水雷戦隊に有効な電探と逆探を装備した艦が居る事。 当時の日本海軍の艦艇では、有効な電探を装備した巡洋艦・駆逐艦はほとんど居ませんでした。 濃霧は敵側のレーダーも含めた索敵能力を奪いますが、同時に日本側も肉眼の見張りに支障が出ます。 これを補うために電探が必要な訳です。

2013-11-02 12:17:59
鳳翔 @Housyou_kankore

これは特に木村提督の方から要望を出され、これを受けた連合艦隊は、当時就役したばかりの新鋭高速駆逐艦を配備します。 そう、我らが高速重雷装駆逐艦、島風ちゃんですね。 島風ちゃんは就役当時から22号電探と3式逆探を装備して居まして、作戦にはうってつけでした。

2013-11-02 12:20:21
鳳翔 @Housyou_kankore

配備を受けた実行部隊は島風ちゃんの配備に大喜びを下と云われています。 また、万が一米軍に発見をされても、誤認されるようにと阿武隈さんの煙突の1本を白く塗りつぶす、響ちゃんに偽煙突を付ける等の偽装工作を行っていました。

2013-11-02 12:22:46
鳳翔 @Housyou_kankore

こうして、阿武隈さんを旗艦としまして、島風ちゃん、響ちゃん、朝雲ちゃん、薄雲ちゃん、夕雲ちゃん、長波ちゃん、秋雲ちゃん、風雲ちゃん、若葉ちゃん、初霜ちゃん、五月雨ちゃん、海防艦国後さん、補給艦国後さんの編成で、1943年6月29日に作戦が発動をされます。

2013-11-02 12:26:03
鳳翔 @Housyou_kankore

当初、天候観測と敵情偵察の為の第一潜水戦隊が出航、それから一週間後の7月7日に第一水雷戦隊が出航をします。 7月10日に集結をした艦隊は、12日に撤収決行を行いますが、キスカ島に近づくにつれて霧が晴れてきたので一旦断念をして反転します。

2013-11-02 12:28:24
鳳翔 @Housyou_kankore

13日に繰り下げた決行日も、結局向かう度に霧が晴れ、14・15日と更に繰り下げられて行きますが全て途中で霧が晴れてしまい、突入を断念する結果になります。 ここまで慎重に事を運んだ理由は、木村提督が1943年2月のビスマルク海戦の敵空襲の経験からと云われています。

2013-11-02 12:30:01
鳳翔 @Housyou_kankore

要するに航空援護の無い水雷戦隊が空襲を受けるのは致命的だと云う事を、嫌と云うほど知っていたためですね。 結局、残燃料が少なくなってきたため、木村提督は一旦帰投命令を出しました。この際に発したのが、先程云いました「帰れば、また来られるからな」の言葉だったと云われています。

2013-11-02 12:31:14
鳳翔 @Housyou_kankore

戻ってきた木村提督は第5艦隊司令部はもとより、連合艦隊・大本営から激しく非難をされます。 これは8月に入るとアリューシャン方面は晴天が続き、米軍の上陸が予想されるためと云う事と、基地になっていた幌筵島方面での残燃料が厳しくなってきたから、の2点からだそうです。

2013-11-02 12:33:52
鳳翔 @Housyou_kankore

しかしながら、そんな批判を意に介せず、木村提督は再び濃霧が発生するのをじっくり待ちます。 そして、作戦中止から一週間後、22日にオホーツク海に低気圧が発生をして東に進み、アリューシャンに霧が多く発生すると云う予報が気象台から出ます。 これを受け、木村提督は出撃を決断します。

2013-11-02 12:36:46
鳳翔 @Housyou_kankore

1943年7月25日、再び幌筵島を出航しますが、この日は幌筵から既に濃霧が発生、このため艦隊はばらばらに進撃する事になります。 それでも何とか国後さん以外は集結、補給を行い、敵艦にも遭遇せず進んでいきます。

2013-11-02 12:40:17
鳳翔 @Housyou_kankore

ところが、26日に濃霧の中で、それまで行方不明だった国後さんが突如出現、避けるまもなく阿武隈さんの左舷中央に衝突をしてしまいます。その際の混乱で初霜ちゃんの艦首が若葉ちゃん右舷に衝突、その弾みで艦尾が長波ちゃん左舷に接触をします。

2013-11-02 12:41:59
鳳翔 @Housyou_kankore

この衝突で、損傷が激しかった若葉ちゃんは一人で帰投する事になります。 艦これの図鑑で若葉ちゃんが初霜ちゃんに、ぶつかる事に関して要注意だと云ってるのは、この史実からのエピソードですね。

2013-11-02 12:44:35