走れ!提督

付帯状況が夜中にE-2-1のエリート雷巡が強い余りに書きだしたら完走してた小説っぽいなにかです。
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付帯 @kudan6066

付帯は激怒した。必ず、かのカットイン雷巡を除かなければならぬと決意した。付帯には編成がわからぬ。付帯は、呉の提督である。指揮を執り、艦娘を愛でながら攻略して来た。けれどもE-2-1雷巡に関しては、人一倍に敏感であった。

2013-11-11 23:50:30
付帯 @kudan6066

きょう未明付帯は港を出発し、1を越え2越え、4マスはなれたこのE-2-3にやって来た。付帯には知識も、手腕も無い。頭も無い。100余りの、元気な艦娘と鎮守府生活だ。この提督は、E-2の或る艦娘を、近々、家族として迎える事になっていた。E-2クリアも間近なのである。

2013-11-11 23:56:23
付帯 @kudan6066

進撃しているうちに付帯は、海域の様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、周りの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、海全体が、やけに寂しい。のんきな付帯も、だんだん不安になって来た。(訂正

2013-11-12 00:33:53
付帯 @kudan6066

付帯は、それゆえ、能代の歓迎やらクリアのキラキラをつけに、はるばる遠征にやって来たのだ。先ず、その目的を遂げ、それからE-2へ出撃した。付帯には竹馬の友があった。古株たちである。今はこの第一艦隊のメンバーで、攻略をしている。その子らと、ボスをこれから訪ねてみるつもりなのだ。

2013-11-11 23:59:31
付帯 @kudan6066

泥で逢った艦娘をつかまえて、何かあったのか、この間この海域に来たときは、夜でも皆が敵を倒し、S勝利していた筈だが、と質問した。艦娘は、首を振って答えなかった。しばらく航海してまた艦娘に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。艦娘は答えなかった。

2013-11-12 00:03:23
付帯 @kudan6066

付帯は両手でその子のからだをゆすぶって質問を重ねた。艦娘は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。 「雷巡が、艦娘を大破させます。」 「なぜ大破するのだ。」 「カットイン、というのですが、この間までは、そんなことはございませんでした。」

2013-11-12 00:05:28
付帯 @kudan6066

「沢山の艦娘を大破させたのか。」 「はい、はじめは夜戦有利な雷巡を。それから、艦隊の要の戦艦を。それから、幼い駆逐を。それから、軽巡の皆様を。それから、航巡たちを。それから、フラッグシップを。」 「おどろいた。まだE-2-1なのにか。」

2013-11-12 00:08:45
付帯 @kudan6066

「いいえ、ただのではございませぬ。提督を、浮かれた提督を叩く、というのです。このごろは、全員光らせて出撃するも、攻撃は避け、調子に乗っている者には、総出で上からなぶり殺されるのです。副砲を積めば駆逐に当たり、次には酸素魚雷が来ます。きょうは、六人当てられました。」

2013-11-12 00:12:13
付帯 @kudan6066

付帯は、単純な男であった。疲労の残る子の編成のままで、のそのそE-2にはいって行った。たちまち彼は、哨戒の駆逐に見つかった。付帯の艦隊も出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。付帯は、敵艦隊の雷巡の前に進み出た。

2013-11-12 00:17:25
付帯 @kudan6066

「この艦隊で何をするつもりであったか。言え!」敵旗艦の雷巡は静かに、けれども敵意を込めて問いつめた。その雷巡の顔は青白く、声音の震え、刻み込まれたように深かった。 「能代を姫の手から、全提督の艦娘をお前から救うのだ。」と付帯は悪びれずに答えた。

2013-11-12 00:19:42
付帯 @kudan6066

「おまえがか?」深海棲艦は、嘲笑した。「仕方の無いやつだ。おまえには、艦の悲しみがわからぬ。」 「何を!」と付帯は、いきり立って抜刀した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。深海棲艦は、提督の愛をさえ疑って居られる。」

2013-11-12 00:21:23
付帯 @kudan6066

「疑うのが、正当の心構えなのだと、私たちに教えてくれたのは、お前たちだ。人の心は、あてにならない。提督は、どうせ私欲のかたまりさ。信じては、ならぬ。」雷巡は落着いて呟き、ふっと溜息をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」 「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。」

2013-11-12 00:22:34
付帯 @kudan6066

「だまれ、指揮を飛ばすだけの者。」雷巡は、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言える。私たちには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、能代が欲しくなって、慢心するぞ。」

2013-11-12 00:24:15
付帯 @kudan6066

「ああ、元艦娘は利口だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと彼女を迎える覚悟で居るのに。捨て艦など決してしない。ただ、――」と言いかけて、付帯は甲板に視線を落し瞬時ためらい、「ただ、提督にまだ期待しているつもりなら、イベント終了までに20日の日限を与えて下さい。」

2013-11-12 00:27:59
付帯 @kudan6066

まだ一人の彼女に、姉妹を持たせてやりたいのです。20日のうちに、私はここで能代を迎え、必ず、阿賀野も迎えます。」 「ばかな。」と暴君は、嗄れた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言う。誰一人失わずにというのか。他の者がどんどん沈めているというのに?」

2013-11-12 00:30:49
付帯 @kudan6066

「そうです。誰も失わずにです。」付帯は必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、20日間だけ許して下さい。皆が、能代の着任を待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この艦隊に電という駆逐がいます。私の初めての艦娘だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。」

2013-11-12 00:35:48
付帯 @kudan6066

「彼女を、人質としてここに置いて行こう。私が慢心してしまって、20日目の日暮までに轟沈させるなどしていたら、あの子を雷撃処分して下さい。たのむ、そうして下さい。」 それを聞いて雷巡は、残虐な気持で、そっとほくそ笑んだ。

2013-11-12 00:37:41
付帯 @kudan6066

生意気なことを言う。どうせ中破進撃するに決まっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの電を、20日目に殺してやるのも気味がいい。

2013-11-12 00:39:06
付帯 @kudan6066

人間は、これだから信じられぬと、雷巡は悲しい顔して、その身代りの電を雷撃処分してやるのだ。世の中の、捨て艦という攻略をしている提督どもにうんと見せつけてやりたいものさ。「願いを、聞いた。その駆逐を呼ぶがよい。20日目の日没までに帰って来い。遅れたら、その身代りを、きっと殺すぞ。」

2013-11-12 00:41:31
付帯 @kudan6066

「ちょっとおくれて来るといい。おまえたちの罪は、永遠にゆるしてやろう。」 「なに、何をおっしゃる。」「私欲が大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」付帯は口惜しく、海軍刀を握りしめた。ものも言いたくなくなった。

2013-11-12 00:42:46
付帯 @kudan6066

初めての秘書、電は、深夜、E-2に召された。深海棲艦や姫の面前で、佳き友と佳き友は、初めてのころのように二人で相逢うた。付帯は、友に一切の事情を語った。電は無言で首肯し、付帯と握手した。娘と提督の間では、それでよかった。付帯は、すぐに出発した。初秋、満天の星である。

2013-11-12 00:49:54
付帯 @kudan6066

付帯はその夜、一睡もせず1-1と遠征の路を急ぎに急いで、光らせに、翌日の午前、陽は既に高く昇って、鎮守府は活気づきはじめていた。付帯の愛娘も、今日は総出でE-2攻略をしていた。娘たちはよろめいて歩いて来る提督の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうしてうるさく司令に質問を浴びせた。

2013-11-12 00:52:48
付帯 @kudan6066

「なんでも無い。」彼は無理に笑おうと努めた。「海域に用事を残して来た。またすぐに出撃せねばならぬ。明日、能代の歓迎をやる。早いほうがよかろう。」皆は目を細めた。「うれしいか。綺麗な娘だぞ。さあ、これからE-2へ行って、深海棲艦たちに知らせて来い。能代は、もらうと。」

2013-11-12 00:55:31
付帯 @kudan6066

メロスは、また、よろよろと歩き出し、鎮守府を後にし、彼女を歓迎する準備を調え、間もなく床に倒れ伏し、長い仕事へと旅立っていった。次に彼が着任できたのはイベントも終了間近だった。

2013-11-12 00:58:42
付帯 @kudan6066

付帯は着任してすぐ、E-2の姫を訪れた。そうして、何度も何度も能代を迎えるために挑んだ。姫たちは笑い、それはさせない、渡す義理もない、と答えた。付帯は、待つことは出来ぬ男だ、再編成し更に押して挑んだ。彼女も頑固であったが、意地の張り合いでは付帯に勝てなかった。

2013-11-12 01:01:40