高関健さん、ABrの版問題について語る

あまりに興味深い内容だったので、まとめてみました。
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高関 健 @KenTakaseki

2日目について、ようやく少し解き放たれた部分も出てきたかもしれない。特に複雑な最終楽章で、あまり前後関係に捉われることなく集中できたと記憶する。その点では、いわゆる四角四面な状態からは、少し脱却することができたようだ。途端にオケの響きが良くなっていった。

2010-11-16 20:31:58
高関 健 @KenTakaseki

今回、自分にとっての一番の収穫は、以前よりオケ全体の響きを聴くことができるようになり、内声の対位法の進行がより多く意識できるようになったことだと思う。この点では今までより改善された。舞台上で振りながら、響きの多様性に喜びつつ進む自分があった。まだ希望は残っているということか…?

2010-11-16 20:33:37
高関 健 @KenTakaseki

ABr8を最善の状況で指揮する機会を戴いたことを、心から感謝する。私自身にとって最も幸福な一週間だった。演奏の出来は自分でも大いに不満。しかし許されるならば次の機会を窺いたい。それまでにもう少し力をつけて、演奏に臨むつもりである。ただ、時間がいつまでもあると誤解してはいけない。

2010-11-16 20:36:30
高関 健 @KenTakaseki

ご質問が多いようなので…。ABr8冒頭5/6小節のClar.をFag.に置き換えたのは、もちろんCelibidacheの影響です。学生時代にNHK-FMでエアチェック(古い言葉です)しながら聴き始めた瞬間に、スコアと違うFag.の響きが…。まるで雷に打たれたような衝撃でした。

2010-11-17 05:52:56
高関 健 @KenTakaseki

ABrはClar.の段に書き込んでいるようです(スコア通り)。当該箇所は1887年稿では空のままです。作曲家について勉強を進めるにつれ、和声進行を決めてから作曲に取り掛かるABrが非和声音を多用するかを調べたところ、主音上9度あるいは11度の音を使うことも稀ではありません。

2010-11-17 05:59:21
高関 健 @KenTakaseki

しかしその場合に条件があり、ABrは9度や11度の音程を和音の構成音に含まれる時しか使いません。第8交響曲の冒頭は明らかにLvB9のそれを意識しており、5/6小節は空虚5度にいます。主題の徹底(ff)においても同様で、この時はPos.が空虚5度内で呼応しています(C-GC|C)。

2010-11-17 06:07:01
高関 健 @KenTakaseki

以上の理由で、ABrが1887年稿の写譜の上に改訂を書き込む際に、誤ってClar.の段に書き込んでしまった可能性があります。Clar.に書かれた楽譜を、そのままFag.に移し、F音記号で読めば、Pos.と同じように空虚5度上で(C-CG|G)となり、整合性が取れることになります。

2010-11-17 06:11:30
高関 健 @KenTakaseki

Celibidacheの演奏を聴いた瞬間に、私はそれこそ「ハタ」と膝を叩いて頷きました。この事件が、楽譜についてのリサーチを心掛けるきっかけとなりました。私の音楽上の立場を決定したとも言えます。ちなみに先週の演奏で、ABrの原典に変更を加えた唯一の場所であることをご報告します。

2010-11-17 06:21:34
高関 健 @KenTakaseki

ABr8のClar.→Fag.:もう一つの憶測。Fag.に移した場合:Fag.(C-CG|G)→Pos.(C-GC|C)となる。これ自体がLvB135最終楽章の"Muss es sein?---Es muss sein!"に呼応する。ABrがこれを意識したに違いないと考える。

2010-11-17 07:19:44
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