【公式】金魚Twitter小説大賞　物語だけ【①】

たまや　しげる @vermoutheaster

#twnovel 「そう、ポイはさっと水につけて」ジャンプスーツを着た女の子が言った。僕が金魚すくいをしようした矢先、僕の横にしゃがんでいた。「あなたは未来の鍵を握っているの。そのポイを破ってしまったら、時空が裂け闇が押し寄せるの。」未来から来た彼女が言う。僕は腕が震えた。

ドーナツ @donut_no_ana

#twnovel 「綺麗！」きみは水槽を夢中で覗き込んでいる。「うん」隣を陣取っているきみの友人へぼくは目をやった。薬指に嵌った指輪の赤、それは上等な輝きを放つ。彼女の財力を鑑みて分不相応な品だ。第一、彼女の趣味と合致しない。「楽しいねー！」二人は微笑みを交わしていた。#金魚大賞

なないろサイダー @sette_colori

縁日の露店で金魚すくいをやっていた。視線を感じて覗き込むと、真っ赤なドレスの金魚が一匹。ひざまずいてポイを差し出す。お手をどうぞ、お姫様。僕がそこから救ってあげる。 #twnovel #金魚大賞

なないろサイダー @sette_colori

今回のターゲットは妖艶な女。ガラスの向こうにいる女はひらひらと漂って、やたらと挑戦的な目で見てくる。誘ってやがるのか、いい度胸だ。音もなく近づく。女の口からあぶくがひとつ。金魚鉢が揺れたその時「こら！駄目って言ったでしょ！」……怒られてしまったにゃ #twnovel #金魚大賞

七歩 @naholograph

おはようと笑う。すれ違ったそのあとで、彼女たちが何を話しているのか知っている。だってその噂、流したのって私自身。チャイムがなる。尾びれ背びれのついた噂はこの教室では必要でしょう。それがなければ金魚も私も泳ぎきるなどできないでしょう。この窮屈で冷たい水そうの教室で。#twnovel

七歩 @naholograph

お姉さんの着物の裾には金魚が泳いでいた。内緒よ。跳ねる金魚を見つけた私にそっと囁く。男って嘘をつくの。愛じゃないものを愛などと抜かすからここに閉じ込めてしまったわ。金じゃないのに金魚と言い張る魚に変えて。その着物の美しさが忘れられず私は恋をする。終らせるために。#twnovel

白馬黎 @hakuba_rei

炎の魚は私の友。しかし貧しい私のオイルは尽き、灯はもう油浸が尽きるのを待つばかり。「おまえ不死鳥のように蘇りはしないのか」「私は君の胸の内側に。君が生命を全うしたとき君の燐火から蘇り、君と黄泉の川を泳ぎにゆく」魚は朱の尾をゆらと振り、とうとう青白い煙になって消え失せた。

白馬黎 @hakuba_rei

盥のぬるい水のなか更紗和金は客待ちの灯に照らされて、 金魚売はのったり団扇をくゆらせる。 山裾の色はいよいよ深く、 少年の影がひとつこちらへ大きく手を振った。 （ああ赤い綺麗な浴衣が欲しい） うたたねの老婆は夢のなか。ひとりの少女に心は還る。 （宵闇迫ると知ってはいるけど）

萌葱［moegi］ @hmoegi

#twnovel 金魚は世界に飢えていた。ビニール袋から解放されたと思ったら、今度は狭苦しい硝子の鉢。窓際に置かれたのは幸か不幸か、恨めしく空を眺める日々。けれど毎日鉢を覗き、餌を降らせ、親しげに話しかけてくる少女の眼は、狭い窓よりずっと広かった。金魚は少女に世界を見た。

萌葱［moegi］ @hmoegi

緋色の衣を身に纏い、ゆらりふわりと漂うばかり。いつかすくわれたいのだと、それだけを切に願っていた。君は一つ心得違いをしているよ。語りかけるとゆるり、振り返る。いつまでも受け身でいちゃ駄目だ。#twnovel ぽちゃん。水面が跳ねて、金魚が落ちた。しばらくもがいて動かなくなった。

葉の上かえる @hanouekaeru

金魚惑星… http://t.co/JnG1dmShF9

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葉の上かえる @hanouekaeru

キラキラした衣裳を纏って口パクパク忙しそうに痩せデブらんちゅうデメキンetc.砂利くわえて出しておびれせびれ忙しなく。噂ゴシップ出任せの餌欲しがっってクルクルクルクル泳いでやがる。液晶の水槽の中で金魚みてえによ―OFFにして出かけるか。#twnovel

ぱぴこ @papiusagi

たまたま見つけた金魚すくいは、やってみたけれどうまくいかず、「オマケ」で一匹だけ袋に入れてくれたその金魚を大事に育てようと鉢に入れた。でもすぐにいなくなっちゃったんだ。真っ赤なきれいな金魚。あの子がきっと気にいるはずだった。でも、もういない。あの子も。もう。 #twnovel

ぱぴこ @papiusagi

彼女はいつも清淡だった。メイクも服装も指先の挙動さえも。隣に居るのが心地よくて、でもたまに意地悪したくなって、そうしてわたしは目隠しをする。「だーれだ」「もう、またそうして」笑っておどけて頬に手を添える。柔らかい。知ってる、冬の風は唇も冷たくしてるってことに。 #twnovel

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

＃twnovel 「うちの娘は優しい子でねぇ。毎日金魚に忘れず餌をあげるんだよ。それもいい餌を買ってとねだられてね。餌をあげたら金魚に今日あったことを話したり、金魚をジーッと嬉しそうに見つめたりしてね、鉢の掃除も頻繁だし、いやあいい子だ」父は娘の種を超えた初恋に気づいていない。

日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber（HUB） @hyuugahikage

#twnovel 親友が僕に言ったこと。 「　　　　　　　　　　　　　　」 そう、何も言わなかった。進路に悩んだ時、フラれた時、家族と喧嘩した時、仕事でミスした時、教室で、メールで、電話で、居酒屋で、いつも話を聞いてくれた。ありがとう。今日はだから、僕が頑張って話を聞くよ。

琵琶さざなみ @Mickey_Trunk

間違いなく本物の変身アイテムだ。それを拾った瞬間にそう確信した。 不思議な素材で、不思議な発光、プリキュアが使いそうなデザイン。少女の頃に買ってもらった安っぽい玩具とは違う。 しかし、私はそれを拾った場所に戻す。今日は私の二十歳の誕生日だったから。 #金魚大賞

芙蓉じゃこ @f4_yh

「赤いのに金魚っておかしいね」 しゃがんだ君に、私は笑った。 「知らないの？　金と同じくらい価値があるのよ」 「……あなたって何にでも価値を見つけちゃうから嫉妬しちゃうな」 そう言って100円玉とポイを交換。浴衣の袖をたくし上げる君は、私の心を見破る天才だ。#twnovel

ホールド・ナッツ @HoldAndNuts

私の隠語は「金魚」だった。 #金魚大賞　何時も自分はのらりくらりと彼方此方の娘に適当に相槌を打ち、生活する様を屋店の金魚掬いに喩えた皮肉だった。それで構わなかった。アイデンティティなんて定義付けられた語句など特に必要としていなかった。救いの手など要らない。これが私の生き方だから。

みじん子 @000plankton000

ひらひら、金魚が尾ひれを揺らす。綺麗だねと笑う君の方がよほど綺麗だなんて考えつつ、僕らは屋台が連なる道を歩く。横を僕の膝ほどの背丈の少女が駆けていく。朱色の兵児帯をひらひらと揺らして。ビニールの中、狭い世界で泳ぐこいつと違って、自由に。#twnovel(それでも優雅に金魚は泳ぐ)

みじん子 @000plankton000

真っ赤なドレスを靡かせて、ひらひらふらふら、千鳥足。友人の結婚式、真っ赤なワインをしこたま飲んだ。「ちょっと、転ぶよ」「じゃあ手繋いでよぉ」「ふふ、仕方ないなぁ」白いドレスの彼女が手を取る。夜空の下、二人で不器用なステップ。なぜか笑えた。幼いあの頃に戻ったような、そんな気がして。

夢名 七志 @mumei7c

「なぜ金魚というか知っとるか」それなりの高齢に見えるが、妙に艶っぽい声色でそう問われる。答を求めているわけでは無さそうだ。さざ波に夕日が散って、視界一面の養殖池は、整然と並んだ鱗みたいだ。じっと透かすような視線で見詰める先に、ぴしゃっと黄金の一匹が躍り上がった。そろそろ日が沈む。

夢名 七志 @mumei7c

日本有数の金魚生産地。良質な土と豊富な水が養殖に適しているらしい。無数の養殖池が並ぶ。増水などで逃げたものは、用水などで野生化しているそうだ。「暴れが出たぞ」叫び走る町民を、牛ほどもある黄金色の塊が追っている。地面を蹴る頑丈な胸鰭と腹鰭。風に棚引く巨大な尾鰭。くぱあと口を開けた。

妄想のくずいれ @delution_box

守ってあげると驕ってた。二人で過ごした夏の日々、いつも私についてくるあの子。お揃いの金魚柄の浴衣。 いつの間にか、捕まっていた。 つないでいた手が絡みつく。吸い付くように迫る桃色の唇。 「もう友達じゃ、嫌なの」 空気を求めて、私は喘ぐ。 #twnovel #金魚大賞

ウツbot @UTSU_bot_POKE

飼育係だった僕は、ある日、みんなで飼っている金魚の餌やりを忘れてしまい、次の日焦って早くに学校に行くと、死んでいた。 僕は悲しみと焦りで泣きながらも、隣と自分のクラスの金魚を入れ替えたのだが、どちらのクラスも誰1人気づかずに1日が終わってしまい、また僕は泣いた。 #金魚大賞