舞鶴漣日記まとめ４

シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

「そこまで解ってて隼鷹のこと止めなかったのかよ？」止めただろ。それに、動けるようなサイズの残骸は残してはいないし、コアだって砕いて処分した。「…ってこたぁよ、細切れはまだ残ってるってことか？」残してある。「お前よ、漣が言ってたこと忘れたのか？」 #舞鶴漣日記

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忘れてないとも。だからこうしてここで待ってるんだ。「このアホ提督が…」天龍の苛つくようなため息を飲み込み、また一撃、鎮守府を砲撃が揺さぶり崩す。あいつら改築目当てじゃないだろうな。これ。 #舞鶴漣日記

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しばらくして砲撃が止み、ソラが白み始めた頃には波の音だけがあたりを包み込んでいた。「提督。…終わったみたい。ようやくイムヤ…一号からメールが来ました」 夕張から見せられた文面は先程とは違い打ち損じはないものの、甘えるような文面だった。提督には懐いてくれないのに。#舞鶴漣日記

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天龍、長良、夕張、悪いが資材庫を経由してドックへ向かう。イムヤ二号と他駆逐艦遠征組は由良を旗艦としてここで警戒体制。軽空母二隻も同様。長月と暁は提督が怖いので近くに居てください。「司令官、そこは護衛と言い換えればまだ締まるところだったのに」だって怖いもんは怖い。 #舞鶴漣日記

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「えらく用心しますね？」仕方ないだろ、もし予想通りなら中に居るのは沈んだ飛鷹だけじゃない。ほとんど比叡ちゃんたちが潰してくれているとは思うんだが。いいさこの際だと天龍に正門をこじ開けさせ、暗い鎮守府内を進む。 #舞鶴漣日記

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資材庫は正門と出撃ゲートの中間に位置しており、鍵は厳重だがそう広くはない。遠征組の燃料と弾薬だけ急いで補給させ、先を急ぐ。いつもなら夜間でも必ず居る妖精さんが一匹も居らず、不気味さに拍車をかける。すいません長月さんおててよろしいですか。 #舞鶴漣日記

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「さーて、どこにいますかね？」長良が主砲を構えながら目を凝らす。艦娘のほとんどが目が光る為、上等な懐中電灯があるような具合だ。でも怖い。うっすらと漂う焦げた臭いと、崩壊した壁の土埃の臭いが鼻につく。#舞鶴漣日記

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「……司令、あそこだと思うわ」暁が指を指したのは、工廠の扉。恐らくはその最奥——解体室で事態は収束するだろう。 #舞鶴漣日記

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扉を開けてすぐ、式神型の艦載機が目前で粉々になり、破片が頬を掠める。危うく燃料が顔にかかるところだったが、どうにか避けることに成功した。床に転がったが。「…提督」 #舞鶴漣日記

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隼鷹が、こちらを見ていた。 #舞鶴漣日記

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ぼろぼろの飛行甲板、破けた軍服、白く色が抜けつつある長髪の、それでも彼女とわかる出で立ちで。足元にはもう一隻の隼鷹を踏み付けて、彼女は提督を睨みつけていた。#舞鶴漣日記

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隼鷹はなにやら恨み言を叫んでいたものの、ほとんど艦娘言語に戻っていて聞きとれなかった。多少耳心地の良い、けれど雑音とすぐにわかるそれに聴き入りそうになるが天龍が彼女の艦載機を弾き、砕く音で我に返る。「死んだ女の恨み言なんざ相手にしてんなよ、提督」あぁ、そうだな。#舞鶴漣日記

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「で、提督」長良が隼鷹に庇われるようにしゃがんでいる飛鷹の方へ主砲を合わせ、 けろりと聞く。「奥の、多分新しい方の飛鷹さんなんですけどどうします？」あれ本当だ。よくよく見れば、隼鷹が拾って来た残骸だと思っていたそれは、ついこの間サンタクロース諸島で拾った飛鷹だった。#舞鶴漣日記

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詰まる所、アイアンボトムサウンド一歩手前で拾って来た飛鷹は深海棲艦と呼ぶべき何かに飛鷹の偽装をしてあったものだった。 #舞鶴漣日記

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よくある話として深海棲艦と艦娘は構造がほとんど同じ、ガワが違うだけというのは聞くが、あの違いはなんなのだろう。拾った飛鷹の製造番号がなんかおかしかったから兵装外しておいて良かった。「で、どうするの司令？」隼鷹先になんとかして、飛鷹はそれからなんとかして。 #舞鶴漣日記

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隼鷹はそもそも比叡ちゃんに一撃食らったらしく、先程の艦載機は最後っ屁だったようだ。もう二三発で倒れるかなと思っていると、何か飛鷹が呻いている。辛うじて人語だがそれも聞き取れない。聞き取ろうとすると頭を揺さぶられたような眩暈が襲う。「ご主人様」漣、そこに居たのか。 #舞鶴漣日記

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「優柔不断なのは知ってますけど、決まってる命令くらいはちゃっちゃと下してくださいね？」漣が主砲を構える。隼鷹は今も尚提督になにかを喚いているが、わからない。「——提督」本当に、本当にごめんな。隼鷹。一歩下がり、代わりに前へ進み出る軽巡、駆逐艦に告げる。 #舞鶴漣日記

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総員、撃て。 #舞鶴漣日記

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千切れそうな轟音の後、静かになった解体室の壁には隼鷹だった白い髪の軽空母が潰れたように張り付けにされ、庇われていた飛鷹を装っていた深海棲艦も又、重なるように潰れていた。「全く」呆れたようなため息と共に提督の耳から暖かい手が外される。赤城さんだ。 #舞鶴漣日記

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「こんな至近距離で主砲発射に立ち会うなんて、耳がやられたらどうするんですか？」あっやべそのこと考えてなかった。ありがとう。「…全く、素人にしたって内地でも戦車くらいあったでしょう」あの頃は眼鏡と同じくらい耳当てしてたから、つい。 #舞鶴漣日記

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「まぁ詳しいことはあとでお話しましょう。ほら、お待ちですよ」見ると張り付けされた軽空母が崩れながらもこちらを見ていた。機関部までは破壊出来なかったようだが、兵装や手足の駆動機関はほぼ破壊出来たと見て良さそうだ。「…？ご主人様？どうしたんです？」 #舞鶴漣日記

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いや、さすがにこれは提督の不始末だから最後くらいはちゃんと目を見て謝ろうと思って。仲直りは無理だが。「…でもそんなの持って、どうするんですか」銃じゃたかがしれてるし。軍刀なんか論外だ。これが一番使いやすい。解体室に向かう途中で拾っておいて良かった。 #舞鶴漣日記

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「…ていとク」その言葉すらも聞き取るのがあやふやな音を聞き流し、手にしたそれを振りかぶる。安心しろ、もう海の底へはやらないから。ちゃんとここで全部壊して埋めてやる。穴を掘って、埋めるのは得意なんだ。 #舞鶴漣日記

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機関部から覗くコアをシャベルの先端で刺すように捉えると、そのまま足をかけて割り砕く。バカみたいに硬いそれを、何度かの衝撃で砕いて、中から溢れたゲル状の本体を靴底でかき混ぜた。 #舞鶴漣日記

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疲れた。片付けとか後回しにして寝てしまいたい。入渠ドック無事？「無事だけどよ、えっやだよ俺たち提督の横で寝るの」提督だって安全なとこで寝たいんだが。ここの次に頑丈なのあそこなんだが。 #舞鶴漣日記