並木学氏による「Arcade Disc In JALECO」シリーズについてのお話。

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

クラリスディスクさんのCD「Arcade Disc In JALECO」ついにシリーズ三部作そろい踏み！…という事で収録監修・協力・音源提供の立場で関わらせていただいた僕の視点で、宣伝がてら少しずつエピソードなどつぶやいてみようかと。 http://t.co/x6OWlNZb8G

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ある日クラリスディスク代表吉川さんよりジャレコサウンドのCD企画進行中と連絡を受け、NMK在籍時に僕が関わったタイトルも収録というお話を伺いました。その際「ジャレコアルバムとしての決定盤を目指します！」というアツいお言葉に心を打たれ、賛同しつつできる範囲で協力したいと思いました。

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ジャレコといえばじゃじゃ丸くんや燃えプロが有名、しかし実際サウンドは80～90年代当時業界内でトップクラスを誇る、高品位で個性豊かな素晴らしい楽曲が多数でしたから、それらを21世紀のテクノロジで甦らせる「Arcade Disc In JALECO」プロジェクトに意義を感じました。

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まずは「Arcade Disc In JALECO -ACTION-」からひとネタ。一曲目はなんと1982年『ノーティボーイ』…いやーこれ大好きで近所の米屋で毎日（略）…今作はプレイバージョン収録という事で実際のゲームプレイ音が収録されています。アナログ回路生成のユニークな音。

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で、基板録音のトラックが送付され、聴いてみると…ん？…何か足りない…あ、主人公の足音入ってない！早速ツッコミ。…実はそこから大変だったそうで、ミカドさん16SHOTS店主さん巻き込んで「足音鳴る基板発掘大会」…この基板は足音鳴らない！こっちは鳴るけど他の音がヘン！…うわぁぁぁ。

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『ノーティボーイ』の音を聴くと、今でも米屋の店内の駄菓子やらドクターペッパーやら店主の婆ちゃんの膏薬のにおいが混ざった薄暗いカオス空間が、記憶の底から甦る気がします。

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年代物基板は、むしろ正常に鳴る方がおかしいレベル＾＾； QT @HMD_t: BGMを鳴らして録る… パッと読んだだけでは簡単で単純な作業のようでも、その裏には普通に鳴らして録るために大変な苦労と努力があったことを心にとどめながら、新ジャレコサントラ３部作をあらためて聴いてます…

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というわけでジャレコ盤エピソード。数日間…できれば毎晩ひとネタずつつぶやいてみようと思います、よろしければお目通しいただきたく。オールドアーケードゲームミュージックの収録の現場でどんなことが起きているのか、その一端を垣間見たい方、おつきあいくださいまし。

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クラリスさんもミカドさんも16SHOTSさんもマジ凄いッス。 QT @ikedaminorock: （RT言及）足音に気がついた並木さんも凄いが、それだけのために、ジャレコサントラの発売日を2フレで延ばしてくれたクラリスも凄えよ（笑）でもノーティ好きな人にはそこが重要なんだよな。

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今晩は「Arcade Disc In JALECO -SHOOTING-」のネタを。1985年『フィールドコンバット』…アーケード版の音源仕様は豪華でPSGをなんと3つも搭載！それを誇るためか全BGMにクラシック音楽を導入…本作といえば「ワルキューレの騎行」のイメージですよね。

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そんな『フィールドコンバット』にはサウンドテスト機能がないそうで。そういったゲームの収録となると、なるべく効果音を鳴らさずにプレイして複数回録音したテイクを元に編集…という様に、収録担当者にはエンジニアとしてはもちろん、ゲーマーとしての腕前と根気強さがスパルタンに要求されます。

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サウンドテスト機能がない収録の場合、ゲーマーとエンジニアに別の人を擁立する手段もあると思います。その場合、各ゲームサウンド固有の特性をエンジニアへ伝えた上で慎重に編集を行ってもらう必要と徹底した編集結果の確認が必要で、ここではディレクターとしての能力がスパルタンに要求されます。

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実際オールドアーケードゲームサウンドの収録現場に複数人アサインというのはコスト面を考えると難しいご時世。とはいえエンジニア兼ゲーマー（そんな方は稀有ですがミカドさんにはいらっしゃる模様？）がどんなに優秀でも『フィールドコンバット』で敵兵が連発する足音を前にしては、なす術がないと。

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BGMを容赦なく踏みにじる敵兵の非情な軍靴の行進に、誰もがさじを投げる状況。クラリスディスクさんから「フィールドコンバットで収録困難、ＳＯＳ」との報を受け、決断を迫られた僕は…「サウンドプログラムを解析しようと思うッ！」「なななななッ？！ なんですとォォォォォ？！ 」（笑）

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まさに外道、最終手段。これを失敗すれば僕もお手上げ。プレッシャーが襲う。で、本業の合間に逆アセンブルしてコードを追いかける。とある処理ルーチンを発見して分岐で横取りし、空きエリアにハンドアセンブルで自前のコードを挿入。シミュレータで一応の動作確認…あれ？うまく動かない…ハマり道！

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意図通り動かない…なぜ？コードを追う。ああ、これ毎周ポートの値を直接読みに行ってる…なぜこんな構造に…ええい、転送元と転送先を同値セットしてLDIR！レジスタ退避してこれを複数回呼べば…そう、ウエイト入れたれーッ！…あ、動いた。ふぉぉぉ…（脱力）

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

かくしてサウンドテスト機能のない『フィールドコンバット』を解析・改造し、任意のサウンドの呼び出しに成功。軍靴など恐るに足らず！…ん？こんなに曲あったっけ？…えっくるみ割り人形？…というわけで未使用曲も大量発掘。ROMに焼かれてミカドさんの基板で完全収録…いや～めでたしめでたし。

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

オールドアーケードゲームサウンドの収録というのは、時にここまでの手間を要するものであるという事実は、僭越ながらここに明らかにさせていただきます。カンタンに録音してカンタンにＣＤ化できる代物じゃないんです…現場で何が起こっているのか、ほんの一例をつぶやかせていただきました。

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

5曲の未使用曲の発掘とともにバッチリ基板録音され、21世紀のマスタリング技術によって完全収録で甦った『フィールドコンバット』…今晩お話したエピソードにご興味をもたれた方、ぜひお手にとって聴いていただけましたら収録協力者として幸いです。 http://t.co/Z0tUGnuTt1

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

さて今晩も「Arcade Disc In JALECO -SHOOTING-」のネタを。前回つぶやいた『フィールドコンバット』と同様、『エクセライザー』(1987年)についてもプログラムの解析・改造によってネームエントリーBGMの音色が異なるテイク（未使用曲）の収録へ至りました。

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

そこで今晩は「未使用曲」のお話など。ビデオゲームのサントラでよく見かける「未使用曲」とは何でしょう？言葉通りに受け取れば「まだ使用していない曲」。そのゲームタイトルの時点でまだ使用していない曲…なので、続編や他タイトルで使用されたりもします。ではなぜそんな曲が存在するのでしょう？

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

はーい今晩はこれにてしゅーりょーｗｗ

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

ああ、ジャレコ盤ネタ…もうひとつだけ加えておきましょう。『フィールドコンバット』と『エクセライザー』のサウンドプログラム、しばらく読み進めていた際にお互いよく似ていることに気づいて「へぇ！」と思いましたね。当時のジャレコ流ですね。

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

昨晩の宿題にリプライいただきありがとうございます。ご紹介したいもの全てリツイートするわけにもゆかず、ハッシュタグも設けずのユルさでお送りしているので、気になる方はこちらをご覧いただくといいかも？ https://t.co/S623iHcs24

Manabu Namiki / 並木学 @manabn

「使用したのに、ステージまるごと未使用とか…？」いかにもありそうです。「Yack.さんみたいにコンポーザーが仕様以上に曲を作ってしまったから」名指しキターｗ…これもありそう。「もったいないオバケ(コンポーズ)がもったいないオバケ(ROM容量)に勝利した結果」…一見難解ですが深い？