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2013年11月29日

教育におけるFear

教育の中のFear(不安・恐怖)に関する英語論文が面白かったのでメモ。 ついでにクラス内の力関係に関する論文のメモも。 ☆書誌情報は末尾にあります。 ☆新たに読んだ論文のメモを後ろに追加しました。
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すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

Sprinkle et al. (2006) Fear in the Classroom: An Examination of Teachers' Use of Fear Appeals and Students' Learning Outcomes 読んだ。面白かった!→

2013-11-24 08:51:47
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→教員が生徒の行動を変えさせる際に、Fear Appeals(○○しなきゃ大変なことになるぞ!という脅し)が有効かどうか、というのを、Efficacy(○○すればうまくいくよ!という効果的な手立て)の提示との関係で調査した研究→

2013-11-24 08:57:18
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→「授業でスピーチした後に先生したコメント」という設定で、Fear+Efficacy, Fear only, Efficacy only, None のコメントをそれぞれに分けた学生グループに提示。モチベーション、感情、今後の行動などについて質問紙調査。→

2013-11-24 09:02:03
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→結果、すべての項目についてポジティブな順にEfficacy only>Fear+Efficacy>None>Fear onlyという結果になった。つまり、「○○しなきゃ大変なことになるぞ」という脅しは単独ではmotivatorとしてはうまく働かない。→

2013-11-24 09:04:06
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→脅しが必要な場面(たとえば剽窃を大したことないと思っている学生に「単位を落とすことになるぞ」と言うなど)でも、必ず回避方法をセットで教える必要がある。でもFearを使わずに済むなら、「○○すればうまくいくよ」とEfficacyだけ言ってあげるのが一番よい。とのこと。

2013-11-24 09:07:05
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

質問紙調査なので実際に行動が変わるかどうかなど限界もあるがなかなか含蓄のある結果だ。課題でJackson(2010) Fear in Educationのレビューを書いている関係で読んだのだが面白かった。ちなみにこのJackson(2010)もたいへん面白い。

2013-11-24 09:11:02
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

Jackson(2010)は中高生の質問紙&インタビュー調査から学業上の成否についてのfearと社会的(この場合は集団内での人間関係という意味)成否についてのfearを持っているとする。→

2013-11-24 09:15:36
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→学問上のfearはイギリスの場合テスト制度から来るプレッシャーがデカイ。また社会階層によって「親・きょうだいよりもうまくやらなきゃ」「親・きょうだいみたいにならないようにがんばらなきゃ」など中身がちょっと違う。男子より女子の方がfearを表明しやすい傾向あり。→

2013-11-24 09:17:13
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→社会的fearは「クラスでハブられないで人気者になりたい」というやつだが、多くの学校で「uncool-to-work discourse(ガリ勉はダサイ言説)」が支配的なので、がんばってるところを人に見せないようにする。そしてこれが学問的成功の追求と衝突する。→

2013-11-24 09:19:39
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→学校・教育システムではfearがmotivatorとして組み込まれているが、fearはしばしば本人が避けようとしている危険にわざわざ身をさらすような間違った行動を取らせる(例:暴力を恐れる女性は身近な男性に庇護をもとめがちだが暴力は身近な関係でこそ頻発する)のでよくない。

2013-11-24 09:21:32
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

→また、fearは今ある力関係を維持・強化する方向に働くのでよくない(テストのプレッシャーは高い階層の子の方がうまく対処できる傾向がある/仲間にとけこめるようにジェンダー規範に従った行動をとりがち、など)とのこと。

2013-11-24 09:25:18
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

あ、よくないとまでは言ってなかったかな?まあでも含意としてはそういう感じ。ただ「じゃあどうすればいいのか?」という対策は述べられていない。

2013-11-24 09:26:09
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

それにしてもuncool-to-work discourseというのは面白いな。日本の教室にもあるよねそういうの。「ガンバるのはダサい」って感覚はユニバーサルなんだろうか。日本にもこういう研究あるかな?

2013-11-24 11:13:36

この「uncool-to-work discourse」の話が以前読んだReay(2006)とつながる内容だったので、この論文に関するつぶやきもちょっと前のものですが入れておきます。

すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

イギリスの教育論文を見てるとたいてい social class, ethnicity, genderが変数として入ってくる。

2013-11-04 22:53:00
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

Diane Reay(2006) 'I'm not seen as one of the clever children': consulting primary school pupils about the social conditions of learning

2013-11-05 00:18:56
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

↓この論文すごい面白かった。小学生のピア集団内での位置や自己認識をインタビューで調査した研究。

2013-11-05 00:20:57
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

ワーキングクラスが主流のクラスで真面目でおとなしいタイプの子は勉強ができてもできなくても周辺化されるが、教師からはそのことの問題が見えにくい。地位が高いのは勉強のできるわんぱく系男子とおてんば女子で彼らの背景には経済的資本に差はあれ親の文化資本の存在があった。というような話。

2013-11-05 00:26:13
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

同じ集団の中でも一人一人のlearnerとしての自己認識や経験の内容はかなり異なっているという問題提起。これはあくまでイギリスのひとつの事例だけど日本の教室を思い浮かべてもあるある感がすごい。

2013-11-05 00:29:00

ここまでの書誌情報

出てきた順です。

Sprinkle, R., Hunt, S., Simonds, H., & Comadena, M. (2006). Fear in the classroom: An examination of teachers’ use of fear appeals and students' learning outcomes. Communication Education, 55(4), pp. 389–402.

Jackson, C. (2010) Fear in education, Educational Review, 62(1), pp. 39–52.

Reay, D. (2006) ‘I’m not seen as one of the clever children’: consulting primary school pupils about the social conditions of learning, Educational review, 58(2), pp. 171–181.

教育におけるFear パート2

引き続きFearに関する論文を読んだのでメモを追加。

すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

Putwain et al.(2012) Fear and efficacy appeals in the classroom: the secondary teachers' perspective こないだの続きでまたfearの論文を読んでます。

2013-12-02 09:37:18
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

これはfear appeals/efficacy appealsを支持するかどうかをfear/efficacyに関する知識・信念、学校レベル、経験年数とどう関係するかを質問紙で調べた量的研究。

2013-12-02 09:40:46
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

この調査は著者たちが立てた仮説にあまり合わない結果が出ていて面白い。

2013-12-02 09:42:41
すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus

fear appeals(脅し)による動機付けは、支持、不支持がかなり分かれる。その選択は知識・信念(fearが有効だと思うかどうか)と相関はあるものの弱く、動機付けとは別の文脈で使ってる可能性がある。(例、クラスの規律など)

2013-12-02 09:45:30
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コメント

とげとげ @togetoge10 2013年11月29日
なかなか興味深いお話でした。教育現場ではなく、仕事とかだとどうなるのか、ってのも面白そうです。
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すまう(Hitomi Nakajima) @sumaus 2013年12月2日
Fear appealsの研究はもともと心理学、特に健康と関係する文脈(禁煙プログラムなど)で取り上げられることが多いそうなので、仕事関連の研究もありそうな気がします。
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