デス・トラップ、スーサイド・ラップ #1
ネオンの光、車の制御灯、ドラグーンの放つ光……マズルの炎……スターゲイザーは両手を広げ、大気のイオンの匂いを嗅ぐ。離れた地点を数人の部下ニンジャが飛び渡ってゆく。サークル・シマナガシは烏合の衆だが、個々のニンジャは侮れぬ。何らかの措置を取る必要有り。それがこの夜となった。 25
2013-11-26 22:59:18ネオンの光、車の制御灯、ドラグーンの放つ光……マズルの炎……スターゲイザーは両手を広げ、大気のイオンの匂いを嗅ぐ。離れた地点を数人の部下ニンジャが飛び渡ってゆく。サークル・シマナガシは烏合の衆だが、個々のニンジャは侮れぬ。何らかの措置を取る必要有り。それがこの夜となった。 25
2013-11-29 22:28:58「分散か。それはそれは。悪手と出るのではないかな……」放棄された鉄塔の頂点に佇むニンジャ、パスファインダーの呟きを、スターゲイザーは聴く。飛び渡ってゆく部下の影は、ダートボムズ、サーガタナス、ソフトマインド。路上をドラグーンやヤクザと共に行く者も更にいる。殲滅戦なのだ。 26
2013-11-29 22:42:47パスファインダーのニンジャソウル感知力は極めて強力、広域だ。彼が陣営のニンジャにIRCリンクを続ける限り、殲滅対象を見失う事はそうそう無い。ソフトマインドはスターゲイザーの直接の部下ではないが、今回のミッションにあたって派遣された存在だ。他の者達よりも一段強い。27
2013-11-29 22:49:32今回のミッションの最上の結果は即ちサークル・シマナガシの全滅、皆殺しであるが、なかなかそうも行くまい。スターゲイザーは現実主義者である。一人か二人を仕留め、セクトにケチをつけに来る気が起こらぬ程度に萎縮してもらう。「奴らの動き、示し合わせがあるか……」パスファインダーが呟く。28
2013-11-29 22:55:36「夜は長い」スターゲイザーはメンポの奥で微笑した。鉄塔上のパスファインダーが答えた。「そう楽しんでおられぬやも知れませんな。思いのほか早く終わるやも……さて。スーサイドを捕捉」「遊んでやれ」 29
2013-11-29 23:03:19「スッゾオラー!」BLAMBLAMBLAM!クローンヤクザ隊のアサルトライフル十字砲火の只中、スーサイドは横跳びに転がり、手近の者の方向へ片手を延ばした。「イヤーッ!」その手から白いコロイド光が放たれ、クローンヤクザを捉える。「アバーッ!」ヤクザは痙攣!生命力が逆流する! 31
2013-11-29 23:11:05命を吸われたクローンヤクザは即死。一方、スーサイドの体躯は内なるエネルギーに輝くようであった。銃弾が四方八方から浴びせられるも、彼は平然としている。跳ぶように駆け、怪訝そうにチャカを撃ち続ける次のヤクザの顔面を掴んだ。「イヤーッ!」「アバーッ!」光を飛ばすよりも実際速い。 32
2013-11-29 23:16:00一瞬で生命力を奪ったスーサイドは、対角のビル屋上に居並ぶヤクザに両手を延ばした。吸収直後の状態ならば、そこにも届く。「「アバーッ!」」機関砲ヤクザ達がまとめて白い光に絡め取られ、即死して落ちてきた。スーサイドの身体は更に輝きを強める。背後に機械咆哮。「クオオオオオーン!」33
2013-11-29 23:20:43スーサイドは振り返る。スモトリ以上の巨体をもつ、キュイラジアー級のロボニンジャである。装甲リキシャー形態から変形する恐るべきロボニンジャは、オナタカミが今回の開戦タイミングで投入した鋼鉄の悪魔だ。当然、スーサイドは始めてこれにお目にかかる。「クオオオー!」 34
2013-11-29 23:30:37「イヤーッ!」繰り出された鋼鉄のアームパンチをスーサイドは右手で掴んで止めた。「クオオオー!」「……いけるか?」スーサイドとキュイラジアーは共に激しく震え出す。力比べだ。スーサイドの身体の光が一際強まる。彼は舌打ちした。「クソッ!」CRASH!鋼鉄の腕を、おお、引きちぎった!35
2013-11-29 23:38:07「クオオオーン!」怯んだキュイラジアーへ一歩踏み込み、「イヤーッ!」右拳!「イヤーッ!」左拳!「イイイヤアーッ!」大振りの右フック!「グワーッ!」キュイラジアーは唸りを上げ、やや吹き飛んで転倒した。ナムサン。その胸甲はひしゃげ歪むが、倒しきれていない。スーサイドの光が失せた。36
2013-11-29 23:42:59力が要る。彼は次なる敵を求める。「「クオオオー!」」別の路地からエントリーしてきたのはドラグーン。二機だ。「チィーッ」彼は振り返り、舌打ちした。ロボニンジャの生命エネルギーは非常にプアーだ。生体脳と髄液程度しかパワーソースがない。背後ではキュイラジアーが復帰しつつある。37
2013-11-29 23:44:54BRATATAT!ドラグーンが機銃掃射を開始する。「イヤーッ!」スーサイドは跳び上がって壁を蹴り、そのまま壁を3歩歩いて再び跳んだ。「イヤーッ!」ドラグーンの側頭部にとび蹴りをくれてやり、肩を蹴って更に跳んだ。空中の彼めがけ、シュルシュルと煙を噴きながらロケット弾が飛来! 38
2013-11-29 23:50:00「イヤーッ!」スーサイドはロケット飛来方向へ空中で身を捻り、手をかざした。ビル屋上でRPGを構えたヤクザに白い光が届き、絡みつく。「イヤーッ!」逃さぬ!吸命殺!「アバーッ!」ロケットヤクザが落下死するのを見届ける間もあらばこそ、空中で彼は両腕を交差し、ロケット弾を迎えた。39
2013-11-29 23:53:21KABOOOM!「グワーッ!」スーサイドは爆発に巻き込まれ、吹き飛んで、ネオン看板「知美」を破壊しながら再び路上へ転がった。ナムサン。レザージャケットは煙を噴いているが、彼自身は無事である。吸い取ったエネルギーが危うく彼を守った。彼は再び走りだした。「ふざけやがって……」 40
2013-11-29 23:55:25「さて、どこまで逃げるつもりか、小僧!」嘲るような声が寂れたビル壁に反響した。スーサイドは前方、ドラグーン二機とともに佇み腕を組むニンジャの影を睨んだ。「来やがったな」彼はアスファルトにツバを吐いた。「どこまでだって?死ぬまでだ!」「それは安心だな!ならばそう長くはない」 41
2013-11-30 00:01:58「肉が来てほしいと思ってたところだ」スーサイドは不敵に笑った。「ポンコツどもは栄養が少なくッてな」「ロボニンジャ重点展開は貴様のジツを警戒しての事だ。スーサイド=サン」「そりゃドーモ。ちったァ有名になったか?スーサイドです」「サーガタナスです」二者はオジギを繰り出した。42
2013-11-30 00:09:40「バラバラに別れ、こうして各個撃破のお膳立てを自らやらかしてしまう。まさに烏合の衆」嘲る犬めいた意匠のメンポの奥でサーガタナスは目を細める。スーサイドはぶらぶらと手を振り、力を抜いた。「ウチにはどうしようもねえイディオットがいるんだ。巻き込まれちまうンだから、仕方ねえだろ」43
2013-11-30 00:15:33「「クオオー!」」ドラグーンが吠え、機銃を構えた。スーサイドが走る!BRATATATATAT!マズルが闇を裂く!「イヤーッ!」サーガタナスは垂直に跳躍!螺旋を描く逆棘ワイヤーをそれぞれの腕先から三束ずつ繰り出し、スーサイドを狙った。SNAP!「イヤーッ!」スーサイドは前転!44
2013-11-30 00:24:25一瞬後、彼の居た地面にサーガタナスのワイヤー先端が突き刺さった。サーガタナスの腕先から切り離されたワイヤーは、突き刺さった箇所を中心に、ビュルビュルと音を立て、周辺を鞭めいて打ちまくった。「グワーッ!」直撃は免れたが、スーサイドはこのジゴクめいた鞭打ちにさらされる! 45
2013-11-30 00:31:27