ついりみっくす（ #twremix ）オムニバスついのべ 「熊鍋」

ブラッディーずきん @bloody_hood

やっとまとまったわ。私の狩猟日記。とある姫と約束したのよ。 今から連投失礼するわ。

ブラッディーずきん @bloody_hood

やっぱり美味しいのは熊か狼だと思うの。人によって好みはあるからはっきりとは言えないけれど、少なくとも私はそう思うわ。まずは自分が美味しいと思わないと人には勧められないものね。というわけで、今、北アメリカに着いたわ。今日こそおいしい肉を手に入れなきゃ。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

この時期の熊はとても凶暴。冬眠前で食べ物を探して気が立ってるの。でも、だからこそいいんだわ。いっぱい食べて肥え太った熊の肉は、さぞかし美味しいでしょうね。森に入ると、同じく木の実を食べて太った兎やタヌキを見かけたけど、弱い者に興味はない。狙うはグリズリーのみ。#twnovel

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見つけたわ。まだ子供ね。でも子供の肉も柔らかそう。と、思ってたら後ろに気配を感じた。振り返ると母親が立っていた。全長3.5m。私の身長の優に２倍はあるわね。大物が釣れるのは嬉しいけど、今回は細い山道を通るから斧は置いてきたのよね。時間は掛かるけど、鉈でやりますか。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

熊が右前足を振り降ろす。それを避けつつ首筋に鉈を。と思ったけど、枯葉に足を滑らせて狙いを外しちゃった。少し肩をかすった程度。しかも血を見て熊が興奮しだしたわね。地の利は向こうにある。これは長引かせると危険かしら。私は鉈を握り直す。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

先手必勝。今度は私が先に動いた。熊の息を吐いた時を見計らって懐にダッシュ。大地を蹴って熊の首を狙う。でも、足元が悪い中で跳躍力も半減。おまけにこの身長差。首を深く抉ることはできなかったわ。しかも着地した時に足を滑らせて転んじゃった。あーあ、お気に入りのスカートが。#twnovel

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その私を狙って熊が右前足を振るってきた。転んだ女の子に手を差し出すのは男の子の役目よ。そう言って私はその手をかいくぐって熊と距離を取った。私を捉えそこねた腕は太い木をなぎ倒す。私と熊の間に木が倒れこむ。こんな事なら斧を持ってくるんだったわ。斧なら一発なのに。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

あ、そーだ。私は倒れた木を見て名案を思いついた。鉈で手頃な枝を切る。これだけ太い木なら枝も太く長い。私が切ったのはちょうど熊と同じぐらいの長さの木の枝。斧を持ち慣れてる私にはこれぐらい何てことない。これでリーチの差は埋まった。さあ、勝負を決めるわよ。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

足場が悪いのはどうしよもないから、悔しいけどカウンターを取るしかないわね。私は辺りを見回して、この木を振り回せる場所に移動した。もちろん熊の目から視線は外さずに。さすがに野生の熊だけあって、私が優勢になったのを感じたみたいね。一気に来ないのは利口だわ。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

じゃあこれならどう？私は一瞬視線を子熊の方に向けた。母親は荒い息を吐き、私に突進してくる。私は真上に跳んだ。これなら足場の不安定さはさほど問題にならない。私は長いリーチを活かして熊の頭を打ち抜いた。熊はよろめきながら前足を着く。これで気絶しないなんてさすがね。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

でもこれで十分。あとは鉈で首を狩るだけだね。背も低くなって動きも鈍くなった熊の首を狩るなんて、赤子の手を捻るより簡単だわ。そして私は鉈を抜いて、まだ意識の定まらない熊に近づいた。でもその間に子熊が割り込む。まだ立ち上がることも出来ない子熊が必死に虚勢を張る。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

その後ろで母親が一際大きく吠えてそのまま倒れ込んでしまった。やれやれ、私がトドメを刺すまでもなかったわね。私は一歩近づく。子熊が吠える。母親よりも全然小さい声で。このまま親子で持って帰るのは簡単なこと。でも。私は子熊に背を向けた。赤子の手を捻るのは難しいわね。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

山を降りて街に行くと、熊の肉が売られていた。新鮮さや旨みではさっきの熊に遠く及ばないでしょう。でも、同じ山で育ったんならこの肉でもいいかしら。一頭分を買って、みんなに驚かれながら担いで帰った。白菜やきのこ類もおまけしてくれたから、これでいいことにするわ。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

家に帰ってさっそく調理。やっぱりこの時期は鍋よね。味噌ベースの鍋に野菜・きのこ・ネギを入れて煮込み、そのあと熊肉を入れる。やっぱり新鮮じゃないとアクがいっぱい出るわね。私はこまめにアクを取り除いた。まったく、こんなちまちました作業は私にむいてないんだってば。#twnovel

ブラッディーずきん @bloody_hood

出来上がった熊鍋を持ってごまプリン姫の家に行く。一応美味しくはできたけど、一番の肉ではないという後ろめたさはある。私が、玄関に立ちながらいつまでもチャイムを押せないでいると、気配に気づいたごまプリン姫がドアを開けてくれた。ごまプリン姫。テスト、おつかれさま。#twnovel

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 玄関の先から小さな物音がした。誰か来たのかと、チャイムが鳴らないのを不思議に思ってドアを開ける。まず赤い頭巾が目に入って、それから熱そうな鍋を持つ手に目が行った。「ずきんちゃん！」来てくれたのね、とずきんちゃんを家に招き入れる。 #twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 「ごまプリン姫。テスト、お疲れ様」私の目を見て、ほのかに微笑んでずきんちゃんは言った。一瞬その毒のない笑顔にびっくりして、そして嬉しくなった。「ありがとう、ずきんちゃんっ」満面の笑みで返せば、冷めるから早く食べなさいなんて言われて。照れた。 #twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 「ちなみにこれはなに鍋ですか？」「何、急に敬語になって。普通の熊鍋よ」「熊肉？買ってきたの？狩ってきたの？」「やぁね、かってきたに決まってるじゃない。プリン姫は私をなんだと思ってるの？」「どっち？！そしてずきんちゃんはずきんちゃんです！」#twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 「…狩ろうと思ったけど、買ったのよ。仕方なくね」「？」それだけでは私には何のことか分からなかったが、ずきんちゃんはそれ以上を語ろうとはしなかった。ただ申し訳なさそうに「新鮮な熊じゃなくて、悪かったと思ってるわ」と言った。そんなこと、いいのに。 #twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 「ほら、食べていいわよ」リビングに鍋とコンロを置いて、仁王立ちでずきんちゃんは言う。心なしかドヤ顔。「じゃあ、いただきます」一口、その熊肉をパクリ。脂ののったお肉の、臭みのないサラサラとした味わい。口の中でとろけて旨味が広がった。美味しい。 #twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 「ずきんちゃん、美味しいよ！」目を輝かせてにそう言うと、ずきんちゃんはふふん、と得意げに笑った。「当然よ。だって私が作ったんだもの」「でも困ったなぁ」「？どうしたの？」「美味しいけど、こんなに一人じゃ食べられないの。ねぇ、一緒に食べましょ？」 #twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai でも私はちょっと不満。「…美味しくなかったかしら？」気丈に振る舞うずきんちゃんだったが、箸の止まった私を見て少し不安そうな声で言った。「ううん、すっごく、そりゃあもうすっごく美味しいよ！でも、そうじゃなくてね」 #twremix

【垢停止】 @pp26gmp

@saiaisai 「一人で食べるより、二人とか、皆で食べる方が美味しいでしょう？だから、皆も呼んで、大勢で食べたいなって！」そう笑って言えば、ずきんちゃんもニヤリと笑った。「いいわね。じゃあ私が23時あたりに圧力でもかけておこうかしら」 @23novel #twremix

ブラッディーずきん @bloody_hood

@Gomappp26 ドヤー http://t.co/tJYab4jhC4

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