ブラック企業への就職おめでとう! 〜あるいは、ブラック企業への就職が成功への近道である理由〜
- NaotoHayahsi
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つまり参入障壁が低いということは、同業者との闘いだけではなく、代替品・新規参入の脅威に常におびえ続けなければならないということです。これほど恐ろしい事はそうそうありません。しかし、こういう業界だからこそ個人でも独立できるし一代でオーナー企業を大企業にできるのです。
2013-12-05 04:49:33二つ目は、規模の経済、経験曲線がきかないということです。たとえば工業製品を作るなら大量生産すればコストは安くなります。部品一つあたりの金型代や工業機械のコストが劇的に下がるからです。しかし、ワタミは違います。多少食料の仕入れ値は下がりますが、人件費は店を増やしても変わりません。
2013-12-05 04:51:12あと、経験が蓄積されるというわけでもない。基本的にバイト労働者を中心とした陣容ですから、日々教育しつづけないと店の接客レベルはあっという間に下がってしまう訳です。こんなに恐ろしいことはないと思います。
2013-12-05 04:51:55高い輸送コストもあります。食材のようなかさばるものをあっちゃこっちゃに輸送するわけですから、めちゃくちゃ手間が掛かります。顧客が居る場所に店舗を借りないといけないわけですから、そのコストも掛かります。これらのコストも別に店が1店舗でも1000店舗でも変わりません。
2013-12-05 04:53:32在庫コストが高いのもきついなーと思います。居酒屋のような業態というのは、いろんなメニューを出すために、めちゃくちゃいろいろな材料を仕入れているわけです。私だったらこういう商売は絶対しません。毎日一品しか絶対出さない。
2013-12-05 04:56:10あと、売上の変動が大きいのもきつそうです。忘年会・新年会あたりでかなり売り上げても、暇な時は暇そうです。ワタミがどうして仕事きつそうなのに、辞めないで残っている人がいるのかという話をすると、実は働いた事がある人に聞くとこれが大きいらしいです。暇なときはかなり暇らしいです。
2013-12-05 04:57:04買い手や供給業者が強すぎて大手でも取引が有利にならない。これも居酒屋にはかなり当てはまると思います。飲んだくれ(orその直前)のビジネスマンというのは非常にたちが悪い。私も先輩のお供で何件かご一緒させていただいた事があるんですが、すごい値引きをさせるわけです。
2013-12-05 04:58:02どうも買い手が強くて、お客様にへこへこしないといけなくて、きつい商売だなと思ったのを覚えています。ついでに私はワタミの渡邉氏の著書は大好きで、よくスタッフにもプレゼントしているぐらいですが、利益が低くお客様にへこへこしないといけないので人間性が高まると思って居酒屋を始めたそう。
2013-12-05 04:59:12私のように人間性を高めることにはあまり関心のない人間にとっては、なんか凄すぎてコメントしようがありません。次行きましょう。
2013-12-05 04:59:46規模の不経済性が致命的。これは一番最初に紹介しましたが、多分すごく大きい要素です。多くの場合、商売では大きいことは良い事です。会社が大きければ大きいほど取引は有利になるし、スタッフも良い人が入ってくると信じられています。しかし本当にそうでしょうか?
2013-12-05 05:00:36たとえば、学習塾だと規模が大きくなることは倒産要因の最も大きな一つです。先生が増えると、玉石混淆になり、質の悪い先生が増えて、評判が悪くなり、大手の予備校がある日突然潰れるというのはよく見る光景です。
2013-12-05 05:01:21居酒屋でもそうでしょう。たとえば塚田農場というやたらサービスのいい居酒屋があり、最近先輩に連れて行ってもらいましたが、すごい居酒屋だと思う反面、いつまでこんなにいいスタッフさんを確保しつづけ、教育しつづけられるんだろうという思いにもとらわれました。
2013-12-05 05:02:03ディズニーランドもそうで、いかに素晴らしい接客をしているかを働いている友達づてに聞いた後に、友達と遊びに行ったら、期待はずれの接客を受けて、かなり不機嫌になって帰った事がありました。こういうふうに大規模化すると、?と思うような接客を受ける事はよくあるのです。
2013-12-05 05:03:11つまり、大規模化しすぎるとそれだけサービスの質が下がる。これは避けられないことなわけです。人間がやっている訳ですから、どんなに教育しても組織が階層化し、細かいところまで目が届かなくなると、それだけサービスは下がります。そしてそれが致命的になるのが接客業です。
2013-12-05 05:04:34どんな社長だって自分の会社を潰したいバカはいません。どんな社長だって自分の会社が100年続く会社でありますようにと心から祈っています。しかし、実際には接客業では日々新しいヒーローが生まれ、かつての大手は倒産企業になります。それは接客業にとって大規模化は倒産への道だからです。
2013-12-05 05:05:35どんな品種もつくれる製造設備で個々のユーザーに合わせて注文生産しているというのも、接客業にはありがちな問題です。とかく、お客様は神様です、お店はお客様のためだけにあるという考え方で店を運営しているとメニューが増えすぎる。結果コストもかさむし、利益は低くなるのです。
2013-12-05 05:06:24学習塾でも大規模化するとこういう事があります。私はAO入試を専門にしている塾をしている友達に一般入試もしようかといわれたときに反対したことを昨日のことのように覚えています。お客さんがなんと言おうと、専門特化したほうが倒産の危険性は減ります。
2013-12-05 05:07:18ワタミにしたところで、お客さんがいろんなメニューがほしいというから、いろいろメニューを用意したのに、ふたを開けてみるとそいつが地鶏一本の塚田農場に通い始めたりしているわけです。そういうこともあり、最近では専門特化に舵を切り始めました。あの桑原社長は相当な切れ者です。
2013-12-05 05:08:17あと、あふれんばかりの創造性が売りものという業界も考えものです。個人の才能に大きく依存するからです。これは食い物屋であるワタミも、服のユニクロもそうです。こういう分野というのは、商品の善し悪しがかなり個人の創造性に依存するのです。だからよくない。
2013-12-05 05:09:18作業現場に密着して管理監督しなければならないというのも、他人任せの経営が普通はできないので拡大が困難な業種の一例です。飲食業界やアパレルではとりあえず店長を粗製濫造して対応するのですが、やはり限界があります。実はワタミやユニクロのような会社の肝は社員教育にあります。
2013-12-05 05:11:15人手によるサービスが事業の決め手というのも競争がきつくなる要因です。どんなにがんばっても、細かい行き届いたサービスができるのはやはり小規模なほうに分があります。どれだけサービスするか、どういうメリハリでやるかはマニュアルでは網羅しにくいからです。
2013-12-05 05:12:07そもそもやはり利益が全部帰って来るオーナーと、給料をもらう(それもさして高い給料ではない)スタッフではモチベーションが違います。これがサービスの差になります。
2013-12-05 05:12:50地元というイメージや地元との結び付きで事業が成立する場合も厳しい。これも飲食業だとよくありがちです。たとえば私は仙台出身ですが、うまい牛タンや刺身がない店にわざわざ足を運ぶ気にはなれません。
2013-12-05 05:13:45特に仙台に居るときはそうです。ワタミがどんなに素晴らしい流通か分からないけれど、日本で一番おいしいカキは、石巻からもってきた採れたてのそれだと信じている宮城県人です。やっぱりそういうのが求められがちな業界では大規模化は難しい。
2013-12-05 05:14:35受験産業もその一つです。なんで各県によって強い塾がぜんぜん違うのかというと、その地域を代表する進学校の試験に合わせた対策をできる塾がそれぞれ違うからです。
2013-12-05 05:16:10