ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/16

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
2
はね @crescentbird

ドングリをたくさん集めて冬支度を始めよう。あちらこちらにドングリを埋めて冬支度しよう。けれどもみんな忘れてしまうから、雪の森でそっと土に帰ろうか。そしたら春には小さな森が出来るかな。小さな花くらい咲くかもね。 #twnovel

2010-10-16 00:13:20
ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 休日出勤で我々天使達は聖堂に集められると天使長の厳しいお言葉を浴びさせられた。「ちょっとでもイケると思ったら矢はバンバン撃ってこい!」イブまで一ヶ月以上もあるのになぁ。愛のキューピット達はお疲れ気味だが天使長の追加注文に凍りついた。「TLの中も撃ってかまわん!」

2010-10-16 00:13:36
夢名 七志 @mumei7c

「当社のロボット達には、それぞれの型に与えられた大きな役割があります。子供型ロボットは未来の希望の為に。青年型ロボットは将来の発展の為に。大人型ロボットは現在の繁栄の為に。老人型ロボットは過去を伝える為に。全ての型は、人間の出来ない事を実現する為に存在します。」 #twnovel

2010-10-16 00:15:11
添嶋譲 @literaryace

さて困った。お土産を買っていこうと思うのだけど、君がなにが好きなのかを僕は知らない。佐藤だったらおでんとかビールとかそんなんでいいんだけど。店内を3周しておすすめ!って書いてあったエクレアと午後の紅茶を持ってレジを通る。こんなんでも喜んでくれるかな。甘いかな。 #twnovel

2010-10-16 01:16:35
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 胸に刺さった矢を抜こうとして、後端部分を掴むのだが、抜けない。何度もなんども抜こうとするが、そのたびに胸が痛む。仕方が無いので矢を半分にした。動きやすくなったけれど、矢はまだ半分体の中に入ったまま。今も矢を抱えて僕は生きている。

2010-10-16 07:24:09
sarae @siro_sarae

ぼくの部屋は蔦の中だ。世紀末流行った様式みたいに、緩やかな茎と朝日が透ける鮮やかな葉が窓を飾る。ぼくは毎日目が覚めるごとに、それを眺めている。あと何回、あの装飾が枯れるまでぼくは目覚めるだろうか。ぼくはO・ヘンリィを読まない。 #twnovel

2010-10-16 10:09:50
kyo365 @kyo365

【駐車場】 橋を渡った所に駐車場があった。僕は暑い日も寒い日も同じブレザーを着て駐車場を往復していた。昼抜きで。ボスは毎日何かしら無理難題を吹っかけてきた。僕は立ち向かったり、いなしたりしながら、駐車場を往復した。 その橋が見える喫茶店。今はその駐車場もない。 #twnovel

2010-10-16 11:36:32
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

沈みゆく夕陽を横目に見つつ廊下を行く。委員会が思いの外長引いた所為で既に下校時刻は過ぎていた。一緒に帰ろうと云っていた彼ももういないだろう。思いつつ差しかかった階段の脇から手が伸びる。おかえり、と身を寄せる彼は大型の猫みたいだ。自由気ままな癖に淋しん坊なのだ。 #twnovel

2010-10-16 12:12:19
しーな@GO2完走 @xsheeenax

売られる直前までつないでいた弟のちいさな手はどのくらい大きくなっただろうか。自分のてのひらをぼんやり眺めながら考える。元気だろうか。まだ幼かったから、もしかしたら自分に姉がいることなんて知らないのかも知れない。それでもいい。こんな姉は、あの子には不必要な存在だ。 #twnovel

2010-10-16 12:48:25
ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 私は試験のマークシートを見直すと、午後からの実技に備えてシュミレーションの為に目を閉じる。「そこ、寝ないでくださいね」試験官に注意された。今日は『二度寝検定三級試験』の日だ。ゆとり教育が爆発状態の時代にふさわしい資格を私は習得しようと指先で鉛筆をクルクル回す。

2010-10-16 13:49:50
140字物語 @shortshortshot

三歳の娘は朝起きると家中の生き物にあいさつする。「パパ、ママおはよう」おはよう。今日も偉いね。「シロ、みかんおはよう」犬と猫だ。「亀さん、金魚さんおはよう」名前考えなきゃな。「お花さん、もやしさんおはよう」「あと、お顔半分のお姉さんおはよう」おい、最後のは何だ。 #twnovel

2010-10-16 14:08:39
ヒデユキッス @hideyukiss

#twnovel 伊勢屋の裏帳簿を見つける為に使用人として潜り込んだ隠密の通称吹き矢の梅子は正体がバレて土蔵に監禁される。同じ隠密でやはり吹き矢を使う六三郎が救出に現れたが、土蔵は伊勢屋の用心棒に囲まれてしまう。「戦うぞ!俺の吹き矢を使え」梅子はすごく嫌な顔をして首を横に振った。

2010-10-16 14:51:40
wacpre @wacpre

結婚指輪をなくす夢を見た。焦っていると、妻がベランダの下に落ちていたと言って持ってきてくれた。感謝するところで目が覚めた。左手を見ると、ちゃんと指輪はついている。ほっとして、左側を見ると妻がいない。部屋を探しても見つからない。まさかと思いベランダに行くと・・・ #twnovel

2010-10-16 15:00:03
たくわん @takuwan_takusan

割り箸を取り出したら、いっしょに幼児が出てきた。割り箸の袋には「ようじ入り」と書かれていた。独り身で寂しかった僕は「つま」の入った割り箸を探した。しかし気がついた頃には3児のシングルファザーになっていた。――しばらくの月日が経って、子供好きの嫁さんをもらった。 #twnovel

2010-10-16 16:38:12
土岐 @t_ineka

#twnovel よぎる灯火のひとつに君の名が刻まれている。それは決まった軌道を辿りながら、月日の速さで時の中を進んでゆく。星? いいや、星じゃない。山沿いの路線を走る列車の、アルミの窓枠に針で刻んだ文字のことだ。君が失われても、他愛ない悪戯だけは今も走り続けている。

2010-10-16 18:27:14
@ttmmsys

#twnovel ハエが、蟻の巣の脇に止まる。その背後から、まるで猫のように、ハエトリグモが忍び寄ってくる。近づいては止まりを繰り返しながら距離を縮め、そして、一瞬で飛びかかり、捉えた。両者は一塊になって転げ回るが、クモの足は獲物をがっちりと掴んで離さない。やがて動かなくなった。

2010-10-16 18:42:40
@QuaibunBocchi

昔──といっていいだろう──C駅からほど近い喫茶店で別れ話をされた。彼女は支払いを済ませてリンゴをみっつくれた。秋田の人で実家から送られてきたという。僕は帰ってカレーを作った。リンゴをおろして加えてみた。甘くて食えたものじゃなかった。 #twnovel

2010-10-16 19:01:12
よしのちほ @chiho_yoshino

旅行の帰り、東京は人が多いと、あらためて感じた。こんな中で、よくもまあ私、生きてるもんだ。こんな中で、よくもまあ私、あなたと出会えたもんだ。ただの偶然かもしれないけれど、すごいことだと、あらためて感じた。改札口で待っているあなた。ただいま。そして、ありがとう。 #twnovel

2010-10-16 20:10:05
小高まあな◎11/11文フリさ-03〜04 @kmaana

冬の海はやっぱり寒い。温かい缶コーヒーを抱えながら、水面を見つめる。暇さえあれば僕はここで海を見ている。夏に溺れた僕を助けてくれた、あの子がまた現れるんじゃないかと思っている。会いたい。彼女のあの優雅な泳ぎ方。下半身魚だったけど、そんなこと関係ないんだ。 #twnovel

2010-10-16 20:15:40
Az/2024年の卓これ以上増やさない @RN666

#twnovel 「何をしているんですか?」敵国へ通信を急いで切断し、冷や汗をぬぐう男に聞いた。通信は敵国に情報を悟られる、自身の身に危険が及ぶとされる行為だ。「リスクを冒すことで、勇気を得ているんだ。戦争で勝つためにね。」だから何度でもかけるよ。そう言って男は受話器を持った。

2010-10-16 20:40:06
すわぞ @suwazo

#twnovel 「小さい頃は幸せだった。でもある朝突然、パパとママは羊になってたの。羊たちは人間のままのあたしに、お前は誰だエミはどこだって叫んだわ。あたしがエミなのに。よくもエミを殺したなって包丁を向けられて家から逃げ出した。そしてこうなったの」少女娼婦はそう語って微笑む。

2010-10-16 20:50:19
リオ @urufffayn

のどがね、ゆるゆると熱いの。「ここ?」あなたは唇を滑らせる。もう過ぎて行っちゃったわ。「本当?じゃ、過ぎていかないようにしようか。熱いのを忘れないようにね。」唇が重なりワインが入ってくる。柔らかくて熱くてくらりとする。酔っているのはあなた?それとも私? #twnovel

2010-10-16 20:52:40
夢名 七志 @mumei7c

そろそろ衣更えだなと、冬物の扉を開けたが一番よく懐いてたコートが動こうとしない。触れると冷たくなっていた。いつも元気な部屋着達もおとなしくしている。仕舞われる夏物達も毎年の様に我儘をしたりしない。静かな衣更え。疑似生命の部屋着が居なくなる時は、季節替わりが辛い。 #twnovel

2010-10-16 21:45:02
山田一人 @hitori_kazuhito

#twnovel やつれた顔をした友人に何かあったのかと訊いてみた。右眉毛に住むウゲジ族と左眉毛に住むサゲジ族の領土争いが絶えず、まともに寝られない状況だという。私は剃刀で彼の鼻の上で繋がっていた眉毛を剃ってあげた。それ以来、両族の領土がはっきりしたため争いはなくなったそうだ。

2010-10-16 21:52:36
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel 一人でバーへ来る女性はいないと思っていた。バーへ通い出すと何回か一人の女性を見かけるようになった。もちろん僕は声をかけない。彼女らはただ一人で飲みたいから来ているのだから。その中の何名かの女性は声をかけてもらうのを待っていると僕が気づくまでにはまだ数年かかる。

2010-10-16 22:29:26