茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1113回「歯無しになった、話(木村秋則編)」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月9日の連続ツイート。 本日は、昨日歩きながらふと思い出していたこと。
1
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1113回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日歩きながらふと思い出していたこと。

2013-12-09 07:09:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(1)『プロフェッショナル 仕事の流儀』のV字型のテーブルがあるスタジオに、「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんが来る前、ディレクター(当時)の柴田周平さんは、そわそわしていた。「木村さん、歯を入れてくるかな」と柴田さん。木村さんは、口の中も「自然農法」で、歯が一本もないのだ。

2013-12-09 07:12:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(2)木村秋則さんの歯が一本もなくなったのは、無農薬、無肥料のリンゴ栽培に挑戦している時、リンゴがなかなかできずに貧乏のどん底になり、弘前の夜の街で呼び込みのアルバイトをしている時に、間違えてその筋の人に声をかけてしまって、「お前オレを知らないのか」と殴られたのがきっかけ。

2013-12-09 07:14:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(3)「それがよ、茂木さんさ、前歯がなくなったらさ、その周りもぼろぼろ、なくなっていってしまったのよ」と木村秋則さん。結果として、木村さんは一本も歯がなくなった。笑うと、池のコイが餌をもとめて大口を開けているときのような、迫力のある姿になる。木村さんのトレードマークだ。

2013-12-09 07:15:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(4)結局、『プロフェッショナル』の収録の時、木村さんは歯を入れてこなかった。だから、今でも、その日のVTRを見ると、木村さんが太陽のように明るく笑って、その笑顔に歯が一本もない、というその神々しい姿を確認することができる。木村秋則さんは、リンゴも口の中も、自然農法!

2013-12-09 07:17:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(5)ところで、木村秋則さんは歯が一本もないのに、驚くほど滑舌がよい。言葉が、とても聞き取りやすいのだ。それだけではない。歯がないのに、何でも器用においしそうに食べる。『プロフェッショナル』でも、木村さんが、メロンをおいしそうに食べているシーンが映されていた。

2013-12-09 07:18:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(6)一度、ある講演会で木村秋則さんの話をしていて、「だから、みなさん、歯が一本もなくても、人間は立派に生きていけるんですねえ」と言ってから、はっと気づいた。その会合は、歯科医師会の集まりだったのだ。もう遅い。慌てて見回すと、先生方、なんとはなしに気まずい雰囲気だった。

2013-12-09 07:19:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(7)先日木村秋則さんにお目にかかった時、「歯無し」になった経緯をより詳しく聞いたら、驚愕の事実が。なんと、途中からは自分で抜いていたのだという。「えっ、どうやって?」「いや、ペンチでさ。内側にぐいって押し込んで、抜くのよ」「麻酔は?」「そんなもん、しないでよ。」「うげっ」

2013-12-09 07:21:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(8)つまり、貧乏で歯医者さんに行くお金もなかったから、木村さん、工夫して、自分で歯を抜いていたのだというのだ。『奇跡のリンゴ』の木村秋則さんは、まことに、底知れない人である。ぼくは、心から敬愛申し上げております。木村さんの歯のない表情を見ると、イヤされるのだ。

2013-12-09 07:22:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

はは(9)ところで、歯がなくて何も困ることはないのかと言えば、あるのだという。木村秋則さんは、熱い食べものが苦手。「ラーメンなんてさ、熱くて歯茎やけどしそうだものね。」歯は、噛むという機能だけでなく、熱いものと歯茎の間の緩衝剤でもあるらしい。やっぱり歯はあったが方がイイネ。

2013-12-09 07:24:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1113回「歯無しになった、話(木村秋則編)」でした。

2013-12-09 07:24:54