BECK・NANAでは描けない?やわらかロックが鋭く描く若者の現代性

今までの漫画と違う!小学館より発売中の石川ローズ氏著 ネクストジェネレーション部活漫画「やわらかロック」。ゆるいテイストの深淵から汲み取れる現代の若者の感受性や思考をサルベージし、わかりやすく解説する。
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マンガをまなぶ @mangawomanabu

やわらかロックが鋭く描く若者の現代性① 小学館より発売した石川ローズ氏やわらかロック。いわゆる部活漫画に該当するが、かつてのそれとは一線を画している。スラムダンクなら全国制覇、タッチなら甲子園、そう、かつての若者が持っていた向上心、ブレイクスルー思考がこの漫画には無いのだ。

2013-12-08 01:48:18
マンガをまなぶ @mangawomanabu

やわらかロックが鋭く描く若者の現代性② 若者がバンドするなら普通武道館を目指すのが正当な思考だ。いや、かつての、という言葉を付け加えなければならない。現代の若者はブレイクスルーしない。突破しない、ということはつまり他者とは争わないということだ。平和主義ということだろうか。

2013-12-08 02:10:20
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やわらかロックが鋭く描く若者の現代性③ いや平和主義ではない。何故なら現代の若者にも確かに欲望があるからだ。桜木花道や達也も自らの欲望を満たすためブレイクスルーを試みた。好きな女に認めてもらう為、社会的評価を得ようとしたのだ。しかし現代の若者にはそんなまわり道は不必要なのだ。

2013-12-08 02:37:29
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やわらかロックが鋭く描く若者の現代性④ 例えば第一話にある、「みんながボーカルをやりたがっている」という感覚だが、非常に欲望に素直だ。或いは、誰しもが最初はそうかもしれないが、それぞれが各自のパートの重要性を知りバンドとしてまとまって行くのが以前の感覚だった。

2013-12-08 08:31:48
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やわらかロックが鋭く描く若者の現代性⑤ だが、この漫画ではそうならない。練習もしないので演奏も下手なままである。何故なのか。それは、この四人の欲求が順当にバンドとして上達して得られるものではないからである。この四人は自分たちが欲しているものが何なのか確実に理解しているのだ。

2013-12-08 08:58:54
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やわらかロックが鋭く描く若者の現代性⑥ 向上心とは迷いから生じる。現在の自分への不満や、誰かを振り向かせる為、向上せねば、という発想が生まれる。しかし、これは非常に間接的な思考で、自分が真に欲するものが実は不明瞭で、他者の評価に委ねることで自信を納得させようとしているのだ。

2013-12-09 00:13:22
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やわらかロックが鋭く描く若者の現代性⑦ ではこのやわらかロックの四人の欲求とは何なのか。それは、四人が四人であるということに他ならない。四人の関係性は既に確立され、向上する必要がない。ボーカル教室にボーカル以外の全員が参加するのも、関係性を均等に保つためである。

2013-12-09 01:29:32
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やわらかロックが鋭く描く若者の現代性⑧ 四人が四人である以上、誰の方が上だとか余計な争い事が生じず、結果平和主義となり、四人は仲良し、という図式になる。以前の部活漫画では最終回で確立されていた関係が、第一話で既に完成、そこからスタートという全く新しい関係性が描かれているのだ。

2013-12-09 13:13:17
マンガをまなぶ @mangawomanabu

やわらかロックが鋭く描く若者の現代性⑨ かつての部活漫画で描かれた関係性、「関係の破壊・突破からの構築」ではなく、現代の若者が持つ、「完成からスタートし破壊せず保持し続ける関係性」、それを鋭く描いているのがやわらかロックなのだ。新たなスタンダードとなるか、この新感覚に期待したい。

2013-12-10 08:54:49