【ニンジャの二次創作でございます】ディア・デッド・デイズ #3
- simanezumi88_n
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「外はこんな騒動なのに、まるでこの日が来る事を分かっていたみたいだし、何よりこれは何かしら?」ナンシーの指が指し示すそれは壁に目立たず貼られていた古ぼけた写真。 22
2013-12-12 22:10:39その写真には、男が二人女が一人。そして、雷神のエンブレムが施された、例のユーレイそっくりな戦車が写っていた。「それに、これは何?」チャを飲み終えたユノミの底。そこにも雷神の意匠。 23
2013-12-12 22:40:44ギンイチがふと呟く。「そういえば、僕たちもなんで無事なんだろう?」「カラテってヤツ?」「たぶんそれも正解の1つ。後は恐らく…ニンジャ耐性…」 24
2013-12-12 22:43:01若い男女が身を強張らす。ナンシーが圧し殺した声で呟く。「あなた達もニンジャと会ったことがあるのね」「……」その間にも、マスターの拳は固く固く握られている。 25
2013-12-12 22:45:08「あんた…何者だ」「ジャーナリストよ」「………インガオホー、巡り合わせ、年貢の納め時、か… 」「「マスター?」」「人には色々な過去がある。お前さんたちも何かあったのだろう。俺の目は誤魔化せん」マスターが入口の「開」と書かれた札を裏返す。 26
2013-12-12 22:47:39そして、マスターはアベ一休のポスターの裏にあるボタンを押す。重苦しい音と埃を巻き上げながら壁がスライドしていく。「ついてきてくれ」 27
2013-12-12 22:49:45ビポッ。密やかに部屋の中央に鎮座していた古めかしいUNIXが起動する。儚く青白いディスプレイの光を便りに、一行はタタミ4枚半分の部屋に入る。「あの頃、アイツ…スドウは優れた戦車乗りだった。綺麗な彼女のために戦っていてな。俺は技師として、アイツらとよくつるんだもんだ」 28
2013-12-12 22:52:05「アイツは、あのイクサが終わって全てに片がついたら結婚する、と言ったきり…、オムラとヨロシサンの実験台になった」UNIXの画面に映し出されたのは巨大戦車の設計図、そして誓約状。 29
2013-12-12 22:54:42ニンジャスレイヤーとロストウェポンの果てしなきイクサは未だ続いていた。(((グググ…、こやつは実際珍しいギッシャ・ニンジャのグレーターニンジャ…。儂に体を預ければ即座に物言わぬガラクタにしてやろうぞ)))(((黙れナラク))) 31
2013-12-12 22:57:57ニンジャスレイヤーは、猛攻ではあるがじりじりとした攻め方を見せる相手に違和感を覚えていた。果てしなき鬼ごっこの中でやがて浮かび上がる黄金立方体。 32
2013-12-12 23:00:13合間合間を精密に縫う様なニンジャスレイヤーの猛攻でボロボロになったゴキブリ戦車のヘッドライトから、憤怒と共に郷愁漂う掠れたフィルムのようにあるイメージが放射される。古き時代。力と勢いと夢で歯車が噛み合った、今はもう戻れない時代。 33
2013-12-12 23:02:380と1の満ちる瓦礫の海の中、ニンジャスレイヤーは、更なるイメージを虚空のスクリーンを通じて知覚する。若い戦車乗り。更なるイクサと恋人の治療費のために誓約状にハンコを押す姿。莫大な金額のリース料。自らの体を担保に借金を返すべき一文。 34
2013-12-12 23:04:45全てはフジキドのニューロンへ、刹那の01の奔流の中をもって伝えられた。希望は絶望へ、楽しみは哀しみへ、そして怒りへと還元された、かつての日々を思い起こす。(((フユコ…トチノキ…)))「だが、オヌシの感傷に付き合う暇は無い!」 35
2013-12-12 23:07:06虫食いだらけのファイルを紐解きながらマスターの話は続く。「…騙されたと気づいた時にはもう手遅れだった。圧倒的パフォーマンスを見せる戦車は確かに出来上がった。ただし、永遠に生身の身体で地上へ降りることは出来ないがな」 37
2013-12-12 23:10:16「紙切れ1枚とハンコの一押しで、オムラの最新戦車とヨロシサンのバイオ技術による凄腕戦車乗りを直結させた実験台の出来上がり。要塞のような施設に厳重な守り。そして電子戦争。莫大な手間と資金のかかる実験の全ては忘れ去られていった」 38
2013-12-12 23:12:29UNIXディスプレイ上では、0と1の列が特定のパターンを刻み始めていた。「今夜のように酸性雨が強く降る夜、スドウはその戦車から通信を送ってきたものだ。こんな風に、力を見せたい、俺らに会いたい、とな」 39
2013-12-12 23:15:12「それでどうしたいワケ?ちっぽけな自分にアンタイセイしてるだけ?」「…スドウに謝りたい。この騒動でわかった。アイツは…ただ俺らを探すためだけに周りに迷惑をかけている。俺はもう隠れずに…立ち向かう」「こんなに巻き込まれたんだから、ちゃんとケジメしてよね、マスター」 40
2013-12-12 23:18:05マスターの決意とニンジャスレイヤーの叫びに共鳴するかのように、ゴキブリ戦車の表面にヒビが入りだす。穴の空いた装甲や撃ち尽くした機銃がボロボロと落ちていく。中から現れた新たなボディは、正に先頃ゲームセンターで見た機体と同じ物。 42
2013-12-12 23:20:39明らかに濃密さを増した殺意と破壊とカラテを目の当たりにし、ニンジャスレイヤーもジュー・ジツを構え直す。一段と強く降りだす重金属酸性雨。暗黒メガコーポから打ち棄てられた地平に再びカラテの嵐が巻き起こる! 43
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