2013年12月18日

真珠星の彼方、望月の君

綺羅(@kiraboshi219)さんによる薄桜鬼の創作小説第6弾です。 ~内容~ 御陵衛士の時間第3弾。 続きを読む
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綺/羅 @thrianta_satin

真珠星の彼方、望月の君       綺羅

2013-12-18 18:40:21
綺/羅 @thrianta_satin

   真珠星の彼方~1~

2013-12-18 18:40:48
綺/羅 @thrianta_satin

豊かに重なる緑の葉の間を、陽の光が斜めに貫いて、それは彼の刀のよう。 私のこころを全て攫って、彼はこの場所を去った。

2013-12-18 18:41:18
綺/羅 @thrianta_satin

あの光。美しく妖艶な煌きを放つ刀は彼自身。 冷たくて、全てを断ち切る刀を、我が身の如く振るう彼は、 優しくあたたかく、生きる道を許してくれる人。 相反するものを秘めた、本当は情熱的な人。

2013-12-18 18:41:46
綺/羅 @thrianta_satin

名前を想うだけで胸が熱くなる、 とても、とても大切な音。 名前を口にするだけで、こんなにも愛しさが溢れてくる。 それは今も、私だけじゃないと信じられる。

2013-12-18 18:42:14
綺/羅 @thrianta_satin

紫の髪結い紐が風に揺られるたびに、 あの低く優しい声が、私の名前を呼んでいるような気がするから。

2013-12-18 18:42:27
綺/羅 @thrianta_satin

日課の庭の掃き掃除が終盤に差し掛かった頃、 巡察に出ていた隊士の方々が帰っていらした。 「おかえりなさい」 私は彼らの通行の邪魔にならないように、道を開けて小腰を折る。

2013-12-18 18:42:54
綺/羅 @thrianta_satin

お昼時に戻られるなんて、昨晩から巡察に出ていて、何か問題が起こったのかな……。 隊士の皆さんの足が通り過ぎていくのを、頭を下げたまま見ていたら、 「よう、お疲れさん」 ぽん、と頭に大きな手が置かれた。 この声は。

2013-12-18 18:43:23
綺/羅 @thrianta_satin

「原田さん」 顔を上げると、にこにこした原田さんが立っていた。 でもちょっと疲れが見える。

2013-12-18 18:44:00
綺/羅 @thrianta_satin

「お疲れ様です、あの、大丈夫ですか?」 原田さんは肩に担いだ槍を持ち直し、ふうっとため息をついた。

2013-12-18 18:44:23
綺/羅 @thrianta_satin

「ああ、無駄に終わっちまったからな。 でも、千鶴に心配されるほど、ばてちゃいねえよ」 私は余計な事を言ってしまったと思って、口を噤んだ。

2013-12-18 18:44:41
綺/羅 @thrianta_satin

原田さんはそんな私を見て、いつもの余裕たっぷりの笑みを浮かべてみせる。 「それより千鶴」

2013-12-18 18:44:59
綺/羅 @thrianta_satin

「あ、はいっ」 「最近、好い人ができたんだろ?」 「!!!!」 私は思わず、箒から手を放してしまい、それがからんと良い音をたてた。

2013-12-18 18:45:23
綺/羅 @thrianta_satin

「い、いいい、好い人って」 頬が熱くなるのを感じ、手のひらで押さえて隠す。

2013-12-18 18:45:39
綺/羅 @thrianta_satin

原田さんは、私にぐっと近づき、首筋に顔を寄せて、 「ほら」と何気なく言うのだけれど、私の体は固まって立ち尽くしてしまっていた。

2013-12-18 18:46:00
綺/羅 @thrianta_satin

「いい匂いがする。 それに、なんか内側から輝いてるんだよな。 それって、恋してるからだろ?」 口をぱくぱくさせるだけの私の肩を叩き、にやにや笑いながら、原田さんは去って行った。

2013-12-18 18:46:29
綺/羅 @thrianta_satin

さ、斎藤さん、私、そんなにわかりやすいですか……!?

2013-12-18 18:46:51
綺/羅 @thrianta_satin

南中に差し掛かる時、私は顔を真っ赤にしたままで、慌てて箒を拾い上げた。

2013-12-18 18:47:20
綺/羅 @thrianta_satin

「っくしゅん!」 「わっ、一くん、びっくりさせるなよ!」

2013-12-18 18:47:58
綺/羅 @thrianta_satin

「すまぬ。 いや、くしゃみは自然と出るものだ。抑えるのは至難だ」 俺と平助は、伊東さんに貸し与えられた書物を読むために、 なにゆえか肩を並べて見台に向き合っていた。

2013-12-18 18:48:27
綺/羅 @thrianta_satin

一人で読んでいると眠くなるから、と俺の所に来た平助だったが、 どうやら居眠りをしていたらしく、俺のくしゃみで目が覚めたのだろう。 平助は凝った体を解そうと身動きし、 正座した俺の足をつついてみるも、俺が動じないので途端につまらなそうな顔をする。

2013-12-18 18:49:03
綺/羅 @thrianta_satin

「なんで痺れが切れないわけ? って言うか一くん、胡坐かいたりしないよな」 「日々の鍛錬の成果だ。 胡坐では背筋が曲がり、気持ちも曲がる気がするのだ」 「ふうーん。鍛錬で痺れなくなるもんなの?」

2013-12-18 18:49:49
綺/羅 @thrianta_satin

「とにかく触るな。 あんたは伊東さんに言われたところまで読み終えていないのだろう。 もう昼になるのだぞ」

2013-12-18 18:50:08
綺/羅 @thrianta_satin

「俺は別に困らない」 「そんなこと言わずに!短くまとめて、要点だけでも」 平助はまるで捨てられた仔犬のように、必死で縋ってくる。

2013-12-18 18:50:46
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