つかちゃんとかたおもいのふゆ

☆ @___c_i_k_

りょういちさん(25)に片思いするＪＫ1とか…りょういちさんはりょういちさんなので彼女持ちだよぉ

☆ @___c_i_k_

中三の時にいった文化祭で惚れこんでダンス部に入部したのに、二年生はサボって男子と喋ってばかりで三年生は大会に向けて忙しくて、腹立つから部活に行かなくなる。中学の時の先輩の紹介でダンスの先生を紹介してもらう。映画の端役やＣＭにちょろっと出てるプロアマ中間の人。

☆ @___c_i_k_

5～8人のグループレッスンで、月謝ではなくスタジオ代含むレッスン代をその場で払う。先生はレッスン後自分の練習に移るからそのままスタジオにいて、レッスン終わりの生徒と入れ違いに先生と同じチームの人達が練習に来る。チームの練習は好きに見ていいっていうから時々残って見学する。

☆ @___c_i_k_

見学してたら話し掛けてくれた。高校生なんだ、へー、部活は？って聞かれて、先輩達がやる気なくてつまらないんです、っていったら、そっかあ、でも、せっかく部活であるのにもったいないね、部活は青春なのに！って、ちょっと暑苦しいけど、踊るととってもかっこいい。つかださんって人。

☆ @___c_i_k_

つかちゃんって呼んで！って、ほぼひとまわり違うのに。先生にも、呼ばれたいみたいだから呼んであげて、っていわれるから、つかちゃん、って呼ぶ。他の生徒の子達も。レッスンに行くと必然的につかちゃんにも会う。一回制服で行ったら、え、ここ俺の母校！と高校の先輩なことがわかる。

☆ @___c_i_k_

えー、今ダンス部そんなことになってるの？俺らの時と違うんだね…としょんぼりされる。じゃあ今度、ＯＢ連れて遊びに行くよ！そうしたら、三年生と話す機会にもなるし、二年生もやる気出すかもしれないし、ってつかちゃん自ら計画を練ってくれる。ＯＢの人達の凄さは今でも有名だから皆に凄く喜ばれる

☆ @___c_i_k_

土曜の全体練の時に色んな代の人を連れて本当にきてくれる。先輩皆喜んでて写真とか撮ってる。先輩達が知ってる代も連れてきてくれてた。一年生にも構ってくれて、先輩達にどう？一年生と仲良くしてる？ってつかちゃん遠回しに練習につくようにしてくれる。二年生、喋ると皆いい人だった。

☆ @___c_i_k_

つかちゃんが三年生に何か言ってくれたみたいで、その日以降から二年生が積極的に一年生に話し掛けてくれるようになる。基礎練とか文化祭の遣り方とか、つかちゃんの代の文化祭映像も見せてくれた。つかちゃん、今の方が凄いけど、昔からめちゃくちゃ飛んでた。かっこよかった。

☆ @___c_i_k_

つかちゃんの文化祭見ましたよ、って言ったら、かっこよかった？って即聞かれた。素直に認めたくなかったので、あんなに昔から飛んでるんですね、って言ったら、好きな子が見にきてたから、かっこつけちゃったの、って。だからかっこよく見えたのかな、って納得。

☆ @___c_i_k_

レッスンは続けて通った。学校以外の人と話すのが楽しかったから。文化祭シーズンが近付いてきたらつかちゃん、今年は久々に見に行こうかなぁ、ラストはまだ学年男女合同でリアデラなの？って。レッスンは減らして部活に宛てる。つかちゃんに側転を教わる。皆に披露したら振りとして採用された。

☆ @___c_i_k_

部活につかちゃんが指導しにきてくれる。あんなに年上の人と普通に話せるのすごいね！って同級生に感心されるけど、でも、つかちゃんすぐ皆に馴染んでた。文化祭本番も本当に見にきてくれて、差し入れに部員みんなに大量のドーナツを買ってきてくれた。側転、一番綺麗だったよ、と褒めてくれた。

☆ @___c_i_k_

今日のレッスン後は生徒の子達とご飯を食べに行くことになっていた。チームの人とは出入口で擦れ違って、何故か私だけつかちゃんに呼び止められて、これ、とCDの入った袋を手渡される。部活の同級生がつかちゃんにCDを借りる約束をしたらしい、LINEで。そんな話、あの子から一言も聞いてない

☆ @___c_i_k_

つかちゃんと適当に話を合わせてCDを受け取る。翌日部活でCDを渡すと、ごめん、ちゃんと説明してなくて、と謝られる。つかちゃんと連絡取ってるんだ、って聞くと、うん、文化祭前に教えに来てくれた時に交換したんだ、って。私はつかちゃんの連絡先は何一つ知らない、取ろうと思ったこともない

☆ @___c_i_k_

つかちゃんとこんなLINEをしたとか、どういう音楽が好きだとか、その子からつかちゃんの話を聞くようになる。つかちゃんって彼女いるのかなぁ、って、その子もつかちゃんって呼んでることに気付く。レッスン生も皆つかちゃんって呼んでるけど、学校で聞くその響きは違和感でしかなかった

☆ @___c_i_k_

レッスン終わりにつかちゃんを見ても、この人あの子とLINEしてるんだ、ってなんだか、冷めた目で見るようになってしまう。何が自分をそうさせてるのかわからないけど、つかちゃんのことを軽く避けるようになる。けれどつかちゃん情報はその子から逐一入ってくるから、変な気分だ。

☆ @___c_i_k_

つかちゃんとデートしたい、とその子が言い始める。つかちゃんと横浜行きたい、赤レンガに行ってみたい、つかちゃんドライブ好きなんだって、連れて行って貰いたい〜、って段々リアルになっていく。テスト期間に入って部活がなくなったので、その後どうなったかは知らない、落ち着かない。

☆ @___c_i_k_

先生から再来週のレッスンは休ませて欲しいといわれる。先生達のプロのお仕事の本番があるから練習時間に宛てたい、と。生徒皆快諾して、練習後個別に声が掛かる。その本番の裏方を手伝ってくれないか、って。報酬は出ないけど、空いてる時間はチケット代を払わずに好きにステージを見ていいって。

☆ @___c_i_k_

スタジオに到着してすぐにストレッチを始めるつかちゃんに、今度裏方手伝ってくれるんだって？ありがとうね、と久しぶりにまともに会話する。つかちゃんはやっぱりつかちゃんで、自分が何を以って避けていたかがわからなくなる。先生達の本番をステージで見るのは初めてで、楽しみにしてます、と伝える

☆ @___c_i_k_

裏方といっても前の人達が使った小道具をはけたり、出演者の人に飲み物を配ったりと簡単なものだった。出演者の人は皆このステージに立つことでお金を貰っているんだと思うと、なんでか自分まで緊張した。先生達の番は客席から見てていいよ、と言われたので手伝いの子達と客席の一番後ろで見学する

☆ @___c_i_k_

凄かった、圧巻だった。客席の盛り上がりもステージの先生達も、自分が文化祭で披露したそれとは全く比にならない、強い熱気と隙のないパフォーマンスがそこにあった。皆、すごいね、かっこいいね、しか言えなくて、曲が終わると客席の誰より負けないくらい大きな歓声を先生達に送った。

☆ @___c_i_k_

バラシは出演者の人も手伝ってくれて、重い機材とかは全部持って貰った。つかちゃんも先生も、客席に知り合いが来てるようで、ちょこちょこ話してた。つかだ、って聞き慣れない呼び方に思わず顔を上げたら、つかちゃんと女の人が話してた。そうだ、つかちゃんの苗字ってつかだっていうんだ。忘れてた

☆ @___c_i_k_

この後皆で打ち上げあるんだけど、一緒にどう？と先生達に誘われる。お代は俺等が持つから、今日のお礼。あ、お酒とタバコは皆NGね、来る時は親御さんに連絡いれてね、って先生。お母さんがいいよって言ってくれた。帰る子も行く子もいて、先生達の後ろをついてお酒のあるお店の敷居を初めて跨いだ

☆ @___c_i_k_

全部で二十人くらいいて、帰り易いようにって一番出入口に近い席に座らせて貰う。ビールジョッキに囲われてオレンジジュースで乾杯する。当たり前だけど、周りは殆ど皆年上の初対面で、高校生です、って言うと歓声が上がった。先生達の内一人は必ず近くにいてくれたから安心してご飯を食べれた

☆ @___c_i_k_

そういえばつかちゃんってつかだって苗字でしたね、っていったら、どうしたのいきなり、って笑われる。さっき客席でそうやって呼ばれてたから、っていうと、ああ、なるほど、こっちの皆はつかちゃんって呼んでくれてるからね、って納得。高校の同級生だよ、って教えて貰う。じゃあ私の先輩でもある。

☆ @___c_i_k_

好きだった子ですか、って思いついたままきいてみる。つかちゃんはジョッキの持ち手を指でなぞりながら、そんな話もしたなあ、と珍しく弱気な声。うん、そうそう、その子。内緒だよ？誰にも言ったことないんだから、って人差し指を口にあてて小声でいわれる。小指を差し出されてそれに応える