マズルブレーキ小話~ガス噴出反動を推定しようとする
さて、実際の無反動砲の諸元をひとつ確認してみましょ。まず独軍の7.5cm LG40から。弾頭の運動エネルギーは銃器界隈ではよくジュールで表すんですが、火砲では数字が大きくなり過ぎるきらいがあるので、ソ連伝統の重量トンメートルにします http://t.co/HtWquA7237
2013-12-26 23:14:41で、弾頭の運動エネルギー≒反動ですから、この無反動砲の反動がどの程度のものなのかも同時にわかる。いきおい、どの程度の反動が燃焼ガス噴出によって相殺されているかもわかり、つまり装薬量あたりに生じる燃焼ガス噴出がもたらす反動もわかる?
2013-12-26 23:25:27しかし、ここで私は頭を抱える。無反動砲の装薬のうち、後方への燃焼ガス噴出によって反動を相殺する働きをしているのは、装薬量全体のうちどの程度の割合なんだろうか? これは見当もつかない。考えても判るわけもないので、ここでは仮に全装薬量の半量が反動相殺に働いてると考えてみる
2013-12-26 23:30:53先のLG40に戻る。LG40の弾頭の運動エネルギー(即ち反動)は35.6tf·mで、装薬量は1.21kg。このうち半分の0.605kgの装薬から生じるガス噴出反動によって35.6tf·mの弾頭発射反動が相殺されている、とすると…… http://t.co/KyfeslTGzB
2013-12-26 23:38:43少なくともLG40の後方噴出ガスに限って言えば、装薬量1kgから生じる燃焼ガスの噴出反動は59.36tf·mくらいだ、とわかる。もっとも、これだけ眺めても比較対象がないので、何のこっちゃイマイチわからない
2013-12-26 23:40:07LG40だけ見てもイマイチ正確では無いかろうし、ここでデータのあった他の無反動砲も見てみる。装薬量1kgから生じる燃焼ガス噴出反動は、結構バラついてるものの平均すると46tf·m。ここで平均取るのが妥当とも思えないけど、不正確は承知 http://t.co/y1wX6K28qM
2013-12-26 23:47:15ここらで無反動砲から離れて通常火砲に戻ってみる。ここでは85mm D-5戦車砲、122mm D-25戦車砲、61式 90mm戦車砲の3つを見てみる(なおこのチョイスに特に意味はない)。とりあえず反動の違いに着目してみるとおもしろい http://t.co/FNATgvMqfS
2013-12-27 00:08:09ここで、先に無反動砲の諸元をもとに出した「装薬量1kgから生じる燃焼ガスの噴出反動は平均46tf·m」を思い出してみる。通常火砲で砲口前方に噴出するガスでも同様な反動が生じているはずだから、実際には弾頭反動に加えてガス反動があるはず http://t.co/s4IjxZP0TE
2013-12-27 00:12:21弾頭射出による反動と、砲口前方へのガス噴出による反動を足したものが火砲全体にかかる総反動となると仮定してみる。このなかでガス反動が占める割合は、例に挙げた火砲ではだいたい30%弱になる http://t.co/2IHFHbFsDm
2013-12-27 00:20:27言い換えると、先に例に挙げた火砲では、仮に砲口前方への噴出ガスを完全にゼロにすれば反動が30%は減ることになる(かもしれない)わけです。そして噂に聞く限りでは、61式戦車砲のマズルブレーキによる反動軽減効果は20%とも聞きます。もっと見当はずれの数字になると思ったのに、意外に近い
2013-12-27 00:23:45パンターのKwK42 L/70のマズルブレーキは反動の70%を吸収していた、と白背表紙にある これは単純な側方への偏向じゃなく、砲身を引っ張る効果を持つマズルブレーキだった、と見ていいのかな
2013-12-27 00:28:5561戦車砲のマズルブレーキは3方向にだいたい同じくらいの孔が空いてます。これによって仮にガスが前方に1/3、左右にそれぞれ1/3と振り分けられているとすると、前方噴出ガス反動も1/3になると考えてもいいのかも。これなら反動軽減効果20%ってのもピッタリな
2013-12-27 00:29:12そういうわけで、すげえいい加減な計算ではありますが、マズルブレーキによる反動軽減効果が実際どんなもんなのかを無理やり推定してみようとした、という話でした。確実に色々間違っていますので、どうか真に受けぬよう……あるいは実際詳しい方は、もし良ければ教えてくださいな
2013-12-27 00:32:19そも「装薬量1kgから生じる燃焼ガスの噴出反動は平均46tf·m」ってのが相当怪しい。無反動砲の例を見るに、大初速になるほど装薬量あたりのガス噴出反動が増してるような気配もある。腔圧が増すとかガス噴出速度が上がるとかするんだろうな http://t.co/m8Qta0y4E5
2013-12-27 00:37:51いまいち尻切れ気味ではっきりした着地点が見えませんでした。先の一連のツイートは、実際火砲について教育を受けていないし教科書めいた本一冊持っていないアカウントのツイートであることを念頭に置いて頂きたく
2013-12-27 00:40:56しかして、こうして85mm D-5と122mm D-25の反動を比べてみると、同じ砲架に載ってる火砲とはとても思えないくらい反動に差があるなあ。弾頭反動だけ見てもD-5が300tf·mなのにD-25は815tf·mもある。2.7倍ぞ?
2013-12-27 00:44:32D-5からD-25になって反動は2.7倍、でも後座長は1.75倍。駐退器の直径(滑塞の面積が大きいほど抵抗力も大きい)はよくわからないけど、後座長が伸びた割に駐退液量はさほど増えていないので、たぶん直径は増していない。これで大丈夫だったってのが凄いことだなあ
2013-12-27 00:49:13@FHSWman 85mm級だとある程度連射することも想定にあったでしょうから、多少オーバースペック気味な駐退復座器の設計になってたのを、122mm加農砲身の搭載とともに寿命を犠牲にして駐退力を高めた、とかもありそうな
2013-12-27 00:50:38T-34-85とパンターはたまに比べられるけども、実はその搭載砲の規模も近い。85mm D-5の反動が300tf·mであるのに対してパンターの反動は7.5cm KwK42は293tf·m。赤軍が鹵獲パンターに対する85mm砲搭載を検討していたのも納得よね
2013-12-27 00:51:37ということは、IS-2の122mm D-25戦車砲は、パンターのKwK42砲架をベースに122mm加農を積むくらいの無茶をやってしかも成功しちゃった戦車砲だとも言えない事もないわけです。無茶な
2013-12-27 00:54:22どうもこうソ連の戦車砲を見てると、ドイツのそれは砲塔スペースの余裕だとかを気にし過ぎだ、もっとデカい砲を小さい戦車に積めたはずだと思えてきちゃう。でも実際のとこ、やっぱりソ連のほうが無茶なんだろうなあ
2013-12-27 00:56:21