北極星 (Poula)さんの恋

北極星 (Poula) @hokkyokusei1

そんなこと、言えるはずがありません。しばらく、以前よりもっと押し黙って、半泣きの状態で治療をうけるあたしに、とうとう運命の日がやってきました

北極星 (Poula) @hokkyokusei1

いつも通りに治療をした後で（つまり、留年を確定した後で）、彼があたしに言いました。『もう、明日から治療に通わなくてもいいですよ。ここまで治れば、もう大丈夫。あとは自分で薬を塗るだけで、きっと元通りの皮膚にもどります。』

北極星 (Poula) @hokkyokusei1

あたしは目の前が真っ白になりました。どうしたらいいかわからなくなって、とっさに『いやです！』と叫んでしまいました。あたしが彼に対して答えた、恐らく最初の言葉です

北極星 (Poula) @hokkyokusei1

涙がどうしようもなくあふれてきて、話せない。大事なことを言いたいのに。それでやっとあたしが絞り出せたのは、『どうして、こんな事を？』という、消えそうな小声でした

北極星 (Poula) @hokkyokusei1

彼は、いつもと全く同じ、優しい声で、『（あたしの本名）さんと毎日お話しできる、言い訳が欲しかったんですよ。』そういって、あたしの頭をぽんと叩いて、いつも通り、ふらりと、処置室から出て行ってしまいました

北極星 (Poula) @hokkyokusei1

それで、もう、アウトでした。気がついたら、２年もたたないうちに、あたしの苗字が変わっていました。 おしまい