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ハビトゥス(habitus)について──トマスにおける

社会学において術語として使われることも(たまに)ある言葉 habitus について、@adamtakahashi さんが(少しだけ)語ります。 ※参考:三上 茂(1974)「トマス・アクィナスのハビトゥス論と教育」   『アカデミア』人文・社会科学編 第96号   http://www.d-b.ne.jp/mikami/habitus.htm
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縮限 @contractio

habitus は含蓄が多すぎて、術語としては使えないよなぁ。

2010-10-18 13:54:57
縮限 @contractio

@yukiphilo 簡単にいうと、habitus という言葉で名指されようとしている事柄は、解明されるべき事柄なのであって、そうてあるからには、現象を、この言葉で以て説明しようとするのはおかしなことだ、といいたい訳です。

2010-10-18 20:54:25
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

「ハビトゥス」(habitus)とは、ラテン語の「se habere」(・・・の状態にある)の名詞化されたもの。したがって、文字通りの意味では「ハビトゥス」とは「状態」のことだ。だが、西欧の哲学史の文脈では、この「ハビトゥス」という概念は、より特殊な意味を担ってきた。

2010-10-19 04:04:37
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

(おそらく、アヴェロエスの『「霊魂論」大註解』の影響の下で)この概念を練り上げた人物として、十三世紀のキリスト教神学者トマス・アクィナスがいる。トマスの議論は、彼以後に使用されてきた「ハビトゥス」という概念の意味を理解する際に有益と思われるので、ここでそれを簡単に紹介したい。

2010-10-19 04:05:25
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

トマスにおいて「ハビトゥス」という概念は、いかなる意味を持っていたのか?この問題を考察する前に、トマスが、人間に備わっている「能力」(potentia)を、どのようなものとして考えていたのかを把握する必要がある。トマスは、「何が正しいのか」または「何が善なのか」を人間が判断する際

2010-10-19 04:06:39
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

、人間に本来備わっている知的能力(知性)が、potential な状態から actual な状態へと移行する必要があると考えていた。潜在的な状態から能動的な状態への移行という人間の知性の性質を論じる際に、 トマスは一方で神における知性と、(直接的な言及はないかもしれないけれど)

2010-10-19 04:07:32
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

他方で人間以外の動物との対比を前提としている。彼によれば、神にとって、知的能力は常に現実的に働いている状態であり、知性が存在しつつも働いていないという事態は存在せず、また、人間以外の動物においては、そもそも知性が自然的に備わっていない。したがって、トマスの想定によれば、

2010-10-19 04:08:05
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

、この世界に存在するものの中で、人間のみが、知的能力を自然に有しながらも、その能力が常に現実的に働いていないという特殊な状況に置かれていることになる。

2010-10-19 04:08:20
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

このように、人間の知的能力についての想定を踏まえることで、トマスが導入した「ハビトゥス」という概念の意味を理解することができる。彼は、まず、人間に本来備わっている「能力」が、いかなる条件が整うことで、現実的な働きを持つことになるのか、すなわち実際の「行為」へと結びつくのか、

2010-10-19 04:09:19
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

ということを問題とした。そして、ここで言う条件とは、例えば、日々刻々と変わる現実といった人間にとって外的かつ偶然的ものではなく、あくまで人間に内的に備わった(簡単に言い換えれば、習慣付けられた)もののことである。

2010-10-19 04:09:32
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

以上を踏まえると、人間に本来備わった「能力」が実際の「行為」へと現実化する際の、人間にとって内的な諸条件を、トマスは「ハビトゥス」と考えたと結論できる。付記すれば、「ハビトゥスにおいてある知性」(intellectus in habitu) と言えば、

2010-10-19 04:10:06
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

(赤ちゃんとかの)潜在したままの知的能力でも、また既に現実化した判断でもなく、或る種の判断をするように習慣的に仕向けられている知性のことを意味している。

2010-10-19 04:10:47
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

例えば、現時点で建築をしていているわけではない建築家、みたいなもの(いわゆる、アガンベンが誇大妄想的に語っている、「思考の潜勢力(potentia)」)。

2010-10-19 04:11:01
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

以上のような「ハビトゥス論(?)」から私たちは何を学ぶか(もしくは、学ばないか)。トマスは、具体的な「ハビトゥス」として英知、賢慮、正義、節制などを挙げているが、このようなものをただ挙げるだけでは、現代においては有効とは全く言えないだろう。

2010-10-19 04:11:49
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

一応ポジティブな案としては、一つは、それこそブルデュがそうしたように、「ハビトゥス」というものを(あくまで分析の)入り口として、具体的なコンテキストに密着したうえで、人間の習慣(の差異)と実践(の差異)との繋がりを社会学的に分析するか、

2010-10-19 04:12:21
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

もしくは哲学的には、アーレントが『人間の条件』で示したように、potential な人間が、actual な人間に転じるためには、どのような条件が揃う必要があるかを考察することかもしれない。

2010-10-19 04:17:14
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

アガンベン大先生が『バートルビー』等で論じた、「為すことも為さないこともできる」という「(思考の)潜勢力(potentia)」の議論が、アリストテレスの『霊魂論』の註釈で展開された「知性」(intellectus)の区分に依拠していることは、再度強調しても良いのかもしれません。

2010-10-20 06:11:55
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

昨日参照した論考で三上氏も正確に指摘しているように、中世の Arabic-Latin の一つの伝統において、人間の「知性」は三つの状態に区分されていました。一つは、赤ん坊の知的能力のように完全に「潜在的」である状態、二つ目に、「建築をしていない建築家」のように、知識を所有している

2010-10-20 06:15:29
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

が、現時点では建築を行っていない第二の「潜在的」な状態、第三に「建築をしている建築家」のように、知的能力が完全に「現実化」している状態。アガンベンは、第二の状態、すなわち「ハビトゥスにおいてある知性」(intellectus in habitu)に、特に注意を喚起しました。

2010-10-20 06:21:12
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

知的能力が、完全に潜在的な状態と、完全に現実化した状態との間にある、「ハビトゥスにおいて」ある状態を、アガンベン大先生は「潜勢力という状態にある知性とは、何かが了解されるにあたっての志向のことに他ならず、それは純粋な認識可能性、純粋な受容可能性のことに他ならない」と述べている。

2010-10-20 07:37:26
Adam TAKAHASHI @adamtakahashi

また「potentia とは、存在することも存在しないこともできるということである限り、定義上、真理の諸条件をまぬがれ、矛盾律の作用をまぬがれる。存在することができるとともに、存在しないことができる存在は第一哲学において偶然的なものと呼ばれる」らしい・・・。

2010-10-20 07:38:22
縮限 @contractio

おはよう社会。 高橋さん(@adamtakahashi)のツイートを追加しました。 http://togetter.com/li/60930

2010-10-20 08:24:10
しんじけ @shinjike

@adamtakahashi *かなり、魑魅魍魎な物言いです・・・。* とあるが、それがpotentiaにかかっているとすると、「偶然」についての、純粋に論理学的な規定と思われ、すっきり理解できるのだが、どうだろう。つまり、◇¬Pあるいは¬□P(つまり、Pの否定が可能)として。

2010-10-20 14:19:16
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