スコトゥスの「共通本性」をめぐって。

中世哲学のキー概念である「共通本性」(natura communis)について繰り広げられたツイートをとぅぎゃってみたよ。スコトゥスの「(共通)本性(/自然)」の問題→アヴィセンナ「馬性は馬性でしかない」(時々ライプニッツ登場)→天使の本性としての共通本性→共通本性が問題なのではなく実体論の問題→アヴェロエス『形而上学』註解→アリストテレス『形而上学』Z巻を中心とする実体論の受容の問題→アヴェロエスを前提とする、トマスの『存在と本質について』とスコトゥスの違いの問題、という流れみたい。
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しんじけ @shinjike

山内 志朗 「ライプニッツにおけるアヴィセンナの声──共通本性の系譜──」 http://t.co/X0jYAOJ1 

2011-11-30 19:06:25
よぬす @Yonus_Mendox

@shinjike ここでの「実在論/唯名論」の意味を知りたい所でございます.

2011-11-30 19:08:13
しんじけ @shinjike

「共通本性」って何でしょう得体が知れない。

2011-11-30 19:08:32
しんじけ @shinjike

前掲、この共通本性は普遍でも個物でも、現実態でも可能態でもないものである。つまり、普遍の基盤となる「共通本性」を事物の中に認め、そして本来の意味での普遍は、この共通本性を基盤として、能動知性によって概念として構成されるものだと考えるわけである。・・・共通本性とは一体何なのか。

2011-11-30 19:19:09
護眠官 @yukiphilo

@yonus_mendox @shinjike 山内先生は岩波からスコトゥス本を出されましたが、ほぼ同時期に水声社から出た『別冊 水声通信 坂部恵』に寄せられた「レアリスム」という短編も僕には心に残りました。 

2011-11-30 19:21:33
しんじけ @shinjike

@yukiphilo 文献紹介ありがとうございます。山内本を少し当たってみます。 @yonus_mendox

2011-11-30 19:24:51
護眠官 @yukiphilo

@shinjike @Yonus_Mendox 見当違いかもしれませんが、個人的には、排中律が適用されないものとしてnatura communisが措定されてるところが実にわかりにくく、また面白いところだなあと思っております。僕も、もっと勉強します。よき一日を☆:-)

2011-11-30 19:28:35
しんじけ @shinjike

山内志朗『存在の一義性を求めて』用語解説の「本性(natura)」の項に、共通本性について少し説明がありました。

2011-11-30 19:35:32
しんじけ @shinjike

@yukiphilo 共通本性というのは、アヴィセンナの「馬性」のことですけど、おっしゃるとおり、排中律が適用されない領域として、共通本性が考えられているようです。まださっぱりわかっていませんが、山内『存在の一義性について』p.173-を参照ください。@Yonus_Mendox

2011-11-30 20:06:04
よぬす @Yonus_Mendox

山内書は買う.買うが,たぶん三月になってから......

2011-11-30 20:08:44
よぬす @Yonus_Mendox

@yukiphilo 代表としての機能に着目するのでなければ,単純代表もまたひとつの個物に過ぎない,ということでしょうか.

2011-11-30 20:50:08
護眠官 @yukiphilo

@Yonus_Mendox また、思い切りいい加減なことをいいますがw、おそらくはそういうことなのかなと思います。だからこそ、ビュリダンのように単純代表を認めないで、質料代表の方に包摂させる主張も出てくるのではと思います。素人の妄言、失礼千万です(汗)。

2011-11-30 20:58:28
Adam Takahashi @adamtakahashi

この「共通本性」の説明だと何がなんだか全く分からないのだけれど・・・、テキストに即してスコトゥスの意図を考えると、何が問題になっているのかは分かる気がするのです。この問題が論じられる主なるテキストの一つは、『オルディナティオ』の第二巻の、d. 3, part 1 ですかね。

2011-11-30 21:27:26
Adam Takahashi @adamtakahashi

ここでスコトゥスが考えようといっているのは、本当は「天使」の問題なのですね。アリストテレス的観点だと、普通「実体」というのは「形相+質料」という組み合わせで考えられており、この場合の「形相」というのは、そのエッセンスですね。例えば、「木でつくられた机」がある場合、これは何?と

2011-11-30 21:29:26
Adam Takahashi @adamtakahashi

と聞かれたら、「木です」とは言わないで、「机です」というわけで、「木で作られた机」の「形相=本質」は、「木」ではなくて、あくまで「机」なわけです。それにたいして、その本質と成っている「机」を、個々に具体化するのが、「質料」となっている「木」になる。

2011-11-30 21:30:45
Adam Takahashi @adamtakahashi

だけれど、「天使」というのは、定義上、マテリアルではない実体だから、といっても、違う天使がいるわけで、質料がないのに、天使を個体化しているのはなんなのか?ということに話が転じていく途上で、この「共通本性」の議論が登場する

2011-11-30 21:32:26
Adam Takahashi @adamtakahashi

スコトゥスは、最初から「天使」の話をするのは、ちょっとハードル高いから、手始めに、普通のマテリアルな実体の話からはじめよう、というのが、先ほどのテキストのスタート。で、アヴィセンナの「馬性は馬性でしかない」という話は、最初の結論部に出てくる話で、実はそこまではオーソドックスに

2011-11-30 21:34:40
Adam Takahashi @adamtakahashi

オーソドクスでもないのだけれど、アリストテレスの『形而上学』を註釈する体裁で進むわけです。例えば重要なアリストテレスのフレーズは、「個々の事物の実体はその事物に特有なものであり、他の何ものにもぞくしないものである」とか、「一とは、量の第一の尺度になること」であるとか。

2011-11-30 21:36:22
Adam Takahashi @adamtakahashi

個人的には、実はスコトゥスのこのアリストテレスの読みの背後には、アヴィセンナではなく、彼自身きちんと明記しているように、アヴェロエスの影響もあるのだと思います。というより、テキストを読めば、そうしか読めない・・・。

2011-11-30 21:37:35
Adam Takahashi @adamtakahashi

「共通本性」と研究者が通常言うのは、結局、天使を、他のものとは違うものとして、それ自体として規定するような、実体性って、いったい何なんですか、という、そういう話なわけです。

2011-11-30 21:39:09
Adam Takahashi @adamtakahashi

「「自然は自らを限定する」が『個体原理論』の結論だった」(http://t.co/YgQBgbm1)と山内先生は仰っているけれど、それは当然の話で、スコトゥスも、「それ自体から」を「つまり、それの自然から」と読み替えているように、「それ自体が、自らを規定する」のは、同じことを

2011-11-30 21:44:42
Adam Takahashi @adamtakahashi

繰り返しているだけだと思う。

2011-11-30 21:45:09
サラマンダー @Salamander_K

勉強になりました。アリストテレスの「個々の事物の実体はその事物に特有なものであり、他の何ものにも属しないものである」っていうのは、『形而上学』Ζ13ですね。Ζ13からは逃げ続けてきたので、いずれ勉強しなければいけないなあ。

2011-11-30 21:47:29
Adam Takahashi @adamtakahashi

そうなんですよね、だから、スコトゥスというのは、二世代前くらいまではアヴィセンナの影響云々といわれていたのだけれど、普通に「アリストテレス&アヴェロエス『形而上学』(大註解)受容史」の一局面なのかもしれないのですよね、すくなくともこの問題に限っては。

2011-11-30 21:50:15
Adam Takahashi @adamtakahashi

というか、若い世代の何人かは、『形而上学』Ζ巻の受容史の問題として、このスコトゥスの「個体化」の議論も研究している、という現状が既にあると思います。

2011-11-30 21:51:24
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