【ニンジャの二次創作でございます】ソー・スウィート・ソー・サッドネス #1
- simanezumi88_n
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作業効率を高めるために、工場内では木魚エレクトロが常時鳴らされ、覚醒効果のあるセンコめいた香りが空調装置から流れてくる。さながら、ブッダがおわすと伝えられるゴクラクの顕現か。はたまたここは安息を得られるアノヨか。 22
2014-01-03 10:24:27シサキは四つのポリ缶を無理に抱え上げ、酔っ払いサラリマンのような足取りでよろよろと作業場を往復する。ちと重てぇな、まあ大した事はねぇさ。おおブッダ、貴方が目を瞑っている間にあんな事になろうとは!まさか!そんな! 23
2014-01-03 10:26:47ヨッパライめいて左右にふらつくシサキのポリ缶が、偶然にも壁に立て掛けてあったデッキブラシに当たる。必要だったのはただそれだけの事だった。 24
2014-01-03 10:29:49バランスを失ったデッキブラシが倒れ、無機質な壁沿いに置いてあったバケツに先端がヒット。バケツも横倒しに転がっていく。「シット!面倒だぜ…」シサキが舌打ちしながらその様子を見るが、再び作業へ戻る。 25
2014-01-03 10:32:59バケツの中に溜まっていた水と雑巾が廊下に零れ出す。壁沿いを伝い、排水口へ向かって流れ出す。まるでネオサイタマにヘドロめいて溜まった悪意が溢れ出ていくように。排水口から、潜み憩っていたバイオネズミが驚き、慌てて外へ施設の奥へと走り出す。 26
2014-01-03 10:36:33バイオネズミが狭い廊下や側溝を脇目もふらずに右へ左へとひた走る。余りに気が動転しているのか、体をあちこちにぶつけ傷が増えていくが全く気づく様子は無い。偶然か、薄暗い照明で照らされた廊下の壁際にあったレバーを踏んづける。 27
2014-01-03 10:40:11ガコン。乾いた音を立て、扉が開く。扉には「入るな危険」「命が危ない」の威圧的ショドー文字。扉の動きにより、迂闊にも誰かが床に置いていたネコネコカワイイシールの貼られた金属缶が転がり、壁沿いのパイプへ吸い込まれていく。 28
2014-01-03 10:44:20金属缶は、ネオサイタマの裏路地に生息する蜘蛛の巣のように複雑怪奇な配管迷路を流れ込み、いつしかシサキの作業する部屋へ辿りついていた。だが、如何なる偶然か、突貫工事の影響か、パイプに穴が開いているではないか!穴から転がりだし、シサキめがけ落ちてくる金属缶! 29
2014-01-03 10:46:40ガツン!「グワーッ!」口笛を吹いていたシサキの脳天に金属缶がヒット!ポイント倍点!思わずポリ缶を取り落とし、蹲るシサキ。インガオホー!だが、事はそれだけでは終わらなかった。これから語る大惨事のほんの前触れですらない僅かな一撃。 30
2014-01-03 10:49:46ネコネコカワイイの蠱惑的でカワイイなシールとは裏腹に、中身は厳重管理されていた筈の塩酸!アブナイ!衝撃で蓋が外れ、中身が溢れ出る!なんだってんだ!俺にはこれからタノシイな時間が待っているんだぞ!ブッダシット!だが、運命は無慈悲だ。 31
2014-01-03 10:53:19無論、シサキは頭部への衝撃とネオサイタマ社会システムからドロップアウトした己の人生の不遇により、それが何であるか、また中身の危険性も知る由も無い。中身がシサキの頬に振りかかる。「アバーッ!」激痛!絶叫!涙!錯乱! 32
2014-01-03 10:56:33なんだよこれ、なんなんだよこれ!あのコの豊満な胸が!バリキドリンクが!ポリ缶を全てそこへ打ち捨てて、シサキはもがきながら何とか外への扉へと向かう。しかし、なんたることか!ポリ缶の中身の液体とネコネコカワイイ金属缶の中身…塩酸が零れ、混ぜ合い、地獄のケミストリーを起こす! 33
2014-01-03 10:59:36KABOOOM!途端に辺りに立ち込める異臭と煙。ズブズブ、ズブズブ、と不吉な音がシサキの耳へも漏れ聞こえてくる。早く…早く…外へ…。悪夢めいた煙が、更に作業場全体へ拡散され、シサキの姿を覆い隠していく。 34
2014-01-03 11:02:39「アバーッ!アバーッ!」呼吸困難となり、苦しむシサキ!薄暗く白く霞んだ部屋の中、絶叫だけが響き渡る!絶叫と何かに当たる物音が忙しなく響き、やがて、ドブン!と何か重たい物が液体へ落ちる音。 35
2014-01-03 11:05:53だが、地獄のケミストリーは全てを飲み込み加速していく。悪夢の煙はとうとう空調配管や給排水配管を伝い、プラント中へ広がっていく!なんたることか!先ほどのバイオネズミが開いた室内へも煙は侵入し、更なる小爆発を引き起こす。POM!POM!POM!POM!POM! 37
2014-01-03 11:12:59爆発の衝撃と火花により、室内で厳重管理されていた筈の金属ケースが倒れ中身が露わになる。おお!なんということか!それは試作された超小型ニューク・カギヤ!施設の非常時に運用される筈の危険兵器! 38
2014-01-03 11:16:19KABOOOOOOOOOOOM!!!…こうして、臨海コンビナートにある生産プラント工場は地獄もかくやという凄まじい爆発炎上を起こしたのであった。 40
2014-01-03 11:22:28やがて、ひっそりとオツヤめいて静かになった地獄の様子を、どこからか現れた一つの影が狂気じみた険しい表情で睨みつける。瓦礫を踏みしめながら何事か呟くと、その影はひっそりと闇へ消えていった。 41
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